- 著者
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佐藤 慎二
- 出版者
- 一般社団法人 日本臨床リウマチ学会
- 雑誌
- 臨床リウマチ (ISSN:09148760)
- 巻号頁・発行日
- vol.30, no.3, pp.145-153, 2018-09-30 (Released:2019-06-01)
- 参考文献数
- 20
- 被引用文献数
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1
特発性炎症性筋疾患(Idiopathic inflammatory myopathy: IIM)は骨格筋の炎症に伴う筋力低下を呈する疾患群であり,多発性筋炎(Polymyositis: PM),皮膚筋炎(Dermatomyositis: DM),封入体筋炎(Inclusion body myositis: IBM)に大別される.これまでIIM患者血清中には,特異的に見出される筋炎特異自己抗体(myositis specific antibodies: MSA)が報告されている.抗Jo-1抗体に代表される抗アミノアシルtRNA合成酵素(ARS)抗体,抗signal recognition particle(SRP)抗体,抗Mi-2抗体は古くから知られている抗体であるが,2000年代に入り新たなMSAが相次いで発見された.これらのほとんどが特定の臨床症状や病型と関連するのみならず,診断の補助,治療法の選択,予後の推定など実臨床上で非常に有用であることが明らかにされている.特に,悪性腫瘍合併DMに高頻度に見出された抗transcriptional intermediary factor 1-γ(TIF1-γ)抗体と主に無筋症性皮膚筋炎(Clinically amyopathic dermatomyosits: CADM)に見出されて急速進行性間質性肺炎(Rapidly progressive interstitial lung disease: RP-ILD)と密接に関連する抗melanoma differentiation-associated gene 5(MDA5)抗体が臨床的に重要である.