著者
仁科 祐子 長江 弘子 谷垣 靜子
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.74-81, 2019 (Released:2019-08-28)
参考文献数
51
被引用文献数
2 1

目的:日本の訪問看護師の行う訪問看護実践における判断について定義することを目的とした.方法:日本国内で発表された33文献を対象として,Rodgersの概念分析方法を用い分析を行った.結果:4つの属性:【生活者としての対象をよく知る】【先を見通す】【対象者の生活に即したケアを共に考える】【対象者中心思考で熟考する】,3つの先行因子:【生活の場での看護の特徴】【専門職的判断への意志】【看護師個人の能力】,2つの帰結【判断の内容】【対象者に最適なケアの実施】が抽出された.結論:日本の訪問看護師の行う訪問看護実践における判断は,対象者中心思考で熟考することを基盤とし,生活者としての対象をよく知り,先を見通しつつ,対象者の生活に即したケアを共に考えるプロセスである,と定義した.このプロセスにより対象者の状態,ケア,関わり方が決定され,対象者に最適なケアの実施に至る.
著者
谷垣 靜子 乗越 千枝 長江 弘子 岡田 麻里 仁科 祐子
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.111-115, 2016 (Released:2016-06-24)
参考文献数
16

目的 : マグネット訪問看護ステーションの管理者を対象に職員の定着のためにどのような組織育成を行っているのか, 管理者の考えや取り組みを明らかにする.方法 : 訪問看護ステーション管理者6名を対象にインタビューを実施し, 質的帰納的分析を行った.結果 : 管理者は, ≪看護実践を共有し訪問看護のレベルをあげる≫努力をし, ≪利用者・家族の期待に応える≫ため≪多職種とチームを組む≫ことで【訪問看護の使命を示す】ことに取り組んでいた. また, 管理者は, ≪スタッフの強みを伸ばす≫≪スタッフの主体性を育む≫ことに努め, ≪スタッフのワークライフバランスを考える≫ことで【スタッフ個々の個性を活かし育む】職場づくりに取り組んでいた.結論 : 訪問看護ステーションの管理者は, 訪問看護のレベル向上と職員の労働環境整備に取り組むことで, 職員の定着を図っていることが明らかとなった.
著者
仁科 祐子 谷垣 靜子
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.2_113-2_121, 2009-06-01 (Released:2016-03-05)
参考文献数
62

本研究は,訪問看護に従事する看護職の,職場での対人葛藤に関連する要因を明らかにすることを目的とした。A県内の訪問看護師182名を対象とし,郵送法による無記名自記式質問紙調査を実施した。調査内容は対人葛藤尺度,アサーション尺度,社会的スキル尺度,職場内サポート尺度,職場外サポート尺度,基本的背景であった。有効回答の得られた145名(平均年齢は43.8±8.0歳)を分析対象とした。重回帰分析の結果,職場内サポートと雇用形態(常勤か非常勤か)が対人葛藤の関連要因であった。すなわち常勤であって職場内サポート認知が低い者ほど,対人葛藤が高いことが明らかとなった。対人葛藤を低減させるためには,まず職場内サポートを充実させることが必要である。
著者
人見 裕江 中村 陽子 小河 孝則 畝 博 井上 仁 仁科 祐子
出版者
島根大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

グループホームやデイサービスにおける痴呆症高齢者ケアの実態と美容を取り入れたケアの効果について、事例分析、免疫機能、動脈硬化指数、家族に及ぼす美容の効果、およびスタッフをはじめとするケア提供者へ及ぼす影響について検討した。免疫機能、動脈硬化指数では変化が明らかではなかったが、認知症高齢者の表情が豊かになり、言語も増す傾向が示され、スタッフや家族への相互作用があることが示唆された。化粧が及ぼす生理・心理的反応に関する基礎的研究(北川・人見、2006)を行い、手軽にできる口紅について、心理的変化および脳活動・自律神経機能に与える影響について検討した。口紅をつけた結果、これまでの報告にもみられるように、化粧による気分の高揚や積極性の向上などの心理的変化が認められた。しかし、このような心理的変化では、脳活動。自律神経機能には有意な影響を与えないことが示唆された。京都、イスタンブール、ベルリンにおける第20-22回アルツハイマー病協会国際会議に参加し、世界の認知症ケアに関する情報を得た。A老年性痴呆疾患治療病棟における攻撃的行動のある認知症高齢者に対するスタッフの態度とバーンアウト症候群との関係をパイロットスタデイとして調査した。攻撃的行動を否定的に捕らえるスタッフはバーンアウト傾向にあることが示唆され、認知症ケアにおける看護介入の方策、およびスタッフ教育について、検討する必要性が急務であることが示めされた(人見・中平・中村・他、2006)。そこで、大阪および山陰地方の介護施設のスタッフ約1、500人を対象に、調査研究を行った。また、代替療法を用いた介入研究を地域の病院における療養型治療病棟や特養において実施し、本人だけでなくスタッフおよび家族への波及効果がある傾向が示された。今後、全国の痴呆症ケアに関わる病院や施設および事業所等に勤務するスタッフの態度とバーンアウト症候群との関係を明らかにし、介護提供者の教育システムを構築に関する示唆を得ると共に、提言をする予定である。