- 著者
-
今井 芳昭
- 出版者
- The Japanese Group Dynamics Association
- 雑誌
- 実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
- 巻号頁・発行日
- vol.26, no.2, pp.163-173, 1987-02-20 (Released:2010-11-26)
- 参考文献数
- 23
- 被引用文献数
-
1
5
日常の対人関係において, 一般的レベルでの被影響の認知および影響者に対する満足度が, 6種類の社会的勢力 (参照・専門・魅力・正当・賞・罰) とどのように関連しているかを検討した。大学生229人 (31人の会社員・公務員・自由業, 19人の主婦を含む) に, ふだん頻繁に接触している人の中から自分にとって最も影響力のある人 (影響者I), 2番目に影響力のある人 (影響者II) を選択させ, 社会的勢力・被影響の認知・満足度に関連する31項目 (7件法) に, それぞれの人について評定させた。各尺度の信頼性を因子分析・α係数で検討した後, 林の数量化I類・重回帰分析でデータ解析を行った。主要な結果は次の通りである。1. 被影響の認知と関連する社会的勢力は, 全体的に見ると, 参照勢力・罰勢力および正当勢力 (影響者I) ・専門勢力 (影響者II) であった。2. 影響者に対する満足度と関連する社会的勢力は, 主に魅力勢力であった。3. 1・2で述べた点について, 重回帰分析を用いて影響者ごと (父・母・夫・友人・職場の上司・クラブの先輩・クラブの同輩) に結果を出したが, 影響者I・影響者IIを通じて一貫した傾向をもつ影響者間の差異は見出されなかった。4. 影響者の種類を水準として社会的勢力ごとに一要因の分散分析を行ったところ, 参照勢力は影響者間に有意差のないことが見出された。また, 被影響の認知が相対的に大きいのは, 父・母・夫であり, 満足度が大きいのは, 友人・クラブの同輩であった。