- 著者
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西嶋 啓一郎
仲間 浩一
- 出版者
- 社団法人日本造園学会
- 雑誌
- ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
- 巻号頁・発行日
- vol.63, no.5, pp.569-572, 2000-03-30
- 被引用文献数
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景観研究にとって,特定の意味づけが風景イメーシとして実景に投影される過程を明らかにすることは,風景生成の内容を理解する鍵になる。本論では,歴代の通信使の紀行文と漢詩集をテキストにし,瀬戸内海鞆浦での風景生成を考察した。その結果,通信使の風景記述方法には,次のパターン化された図式が確認された。通信使は,過去の通信使の風景記述を受け継ぎ,洞庭湖や瀟湘八景の風景イメージを実景に投影するため,鞆浦の空間の実体的な要件を確認した。そして,その認識により主体の内面に特定の意味づけが行われた結果,「日東第一形勝」という風景が生成された。このことにより,通信使による鞆浦での風景の生成と定着が明らかになった。