著者
伊田 瞳 安達 太郎 森田 麻里子 河本 輝敬 渡部 良雄 新家 俊郎 相良 博典
出版者
一般社団法人 日本女性心身医学会
雑誌
女性心身医学 (ISSN:13452894)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.363-368, 2022 (Released:2022-03-31)
参考文献数
14

エジンバラ産後うつ病自己評価票(Edinburgh Postnatal Depression Scale, EPDS)は産後うつ病のスクリーニングとして本邦で広く用いられるが,ほとんどが日中の医療機関受診時に評価され,産後うつ症状やEPDSの日内変動についての報告は少ない.一方で,Twitterをはじめとしたソーシャルネットワーキングサイト(以下SNSとする)は母親の情報交換,経験や感情を共有するためのプラットフォームとして近年大きく需要が高まっている.我々は特定のハッシュタグを用いEPDSの点数を併記した上睡眠についてのTwitterへの自由投稿を促すオンライン上のイベントを開催し,うつ症状を有する産後女性の睡眠における特性を評価した.今回同研究のサブ解析によりEPDS点数の日内変動の可能性が示唆されたため報告する.2020年1月11日午後8時よりオンライン上であらかじめ著者らが指定したハッシュタグ「#0歳児ママ睡眠ツイオフ」を用い,産後の睡眠についてTwitterで投稿するよう呼びかけた.同時にウェブ上で回答できるEPDSのURLを付記し,投稿に併記するよう呼びかけた.開催から24時間で2,326ツイートの投稿を認め,うち2,195ツイートの投稿にEPDSが付記されていた.投稿されたEPDS点数の中央値は9±0.6点であり,投稿の57%にあたる1,241ツイートがEPDSのカットオフ値である9点以上を有していた.また,午前4時をピークとして明け方にEPDSスコアの中央値が上昇に転じる現象が認められた.我々の調査において,先行文献に比してEPDS点数が総じて高値であり時間帯によって変動が認められた.産後うつ症状が日内変動をきたす可能性や,実臨床でのEPDS点数が実際の点数より低く報告される可能性について注意していく必要を示唆する.
著者
伊田 瞳 須賀 達夫 逸見 和範 原 史郎 青木 康弘
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.207-210, 2022-04-28 (Released:2022-04-28)
参考文献数
14

【背景と目的】吸入療法は薬剤師による指導を始めとした吸入指導介入が重要である.指導介入は複数回に渡り同様の内容で行われることが望ましいが,薬剤師による指導介入の回数と内容を検討した報告はこれまでにないため,本研究ではこれを報告する.【対象と方法】埼玉県北部を中心とした薬剤師会を通し保険調剤薬局薬剤師にアンケートを送付した.【結果】75名から有効な回答が得られ,内21名は1患者当たりの吸入指導回数を1回以下,54名は2回以上と回答した.両群を比較すると2回以上と回答した群は有意に吸入デバイスの扱いに自信を有していた.また2回の吸入指導内容を比較すると,2回目指導時は1回目指導時に比べ有意に指導時間が短く,指導項目数が少なく,デバイスや説明書を用いた説明を行わず,指導者や患者による実演を行っていなかった.【結語】本研究結果を機に,同地域では定期的な勉強会やより密な医薬連携を図るべく研究会が設立された.