著者
伊藤 克哉 中川 慧 今城 健太郎 酒本 隆太
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第37回 (2023) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.3Xin409, 2023 (Released:2023-07-10)

機械学習による金融時系列の予測は実務的にも学術的にも重要な研究課題である。金融時系列は、ノイズが多く、非定常であり、更に機密情報を含む事があるため、分析が困難である。これらの課題に対して、本研究ではAugmentation and Bagging method for Confidential Data series Forecasting(ABCD-Forecast)という手法を提案する。ABCD-Forecastは「データ分析コンペティション」という現実の枠組みから着想を得ており、 多数の分析者が予測結果を送信し評価を受ける仕組みを仮想的に構築する。ABCD-Forecastでは、仮想的な分析者に多様な「ノイズ除去加工」をしたデータを配布する。この加工により多様で低ノイズなデータ生成が可能となる。コンペティション形式で、分析者から多様かつ正確なモデルを得、状況ごとに使い分けることで非定常な市場にも対処する。また、時系列を加工して配布することで、実際のコンペティションに於いても機密性を担保したデータ配布が期待される。本研究では実データを用いた実証分析により良好な予測精度が得られることを示した。
著者
今城 健太郎 南 健太郎 伊藤 克哉 中川 慧
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回 (2020)
巻号頁・発行日
pp.4Rin120, 2020 (Released:2020-06-19)

株式投資におけるポートフォリオ構築は金融分野で重要な課題である.本論文では,株式市場における共通因子をヘッジしたあとに残る残差リターン (residual return) という概念に着目し,その分布予測に基づいてポートフォリオを構築する新しい手法を提案する.提案手法の特徴は,単純なスペクトル分解を用いることで残差リターンの情報を抽出すること,および金融時系列に特有のスケール不変性を考慮した新しい深層学習のアーキテクチャを利用した分布予測を行うことである.本論文では,日本の株式市場のデータを用いた実証実験によって提案手法の有効性を示す.
著者
伊藤 克哉 南 賢太郎 今城 健太郎 中川 慧
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回 (2020) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.4Rin167, 2020 (Released:2020-06-19)

近年、金融分野において、機械学習的手法を用いた定量的な金融予測手法の開発が実務的にも学術的にも盛んである。 しかし、機械学習を用いた定量的金融予測モデルの開発には三つの困難がある。まず、原理的に全てのモデルは短命でかつ、ほとんどチャンスレートの正解率しか達成できない。次に、取引戦略という特殊なルールを一般的な機械学習モデルが学習することは難しい。最後に、高い予測精度とモデルの解釈性を同時に達成することが難しい。これらの問題に対処するべく我々は、Trader-Company法という新しいメタヒューリスティクスを用いた予測アルゴリズムを提案する。Trader-Company法は、単純な予測アルゴリズムであるTraderとTraderを管理するCompanyからなる。提案手法は、短命で弱いモデルが大量に存在する実際の金融市場の特性を反映している。また取引戦略の枠組み内で最適化を行うため、最適な予測戦略を作成できる。そして個々のTraderは人間に理解に可能な戦略からなるので解釈可能である。我々は提案手法の有効性を、実際の株式市場のデータを用いた実験で確認する。