- 著者
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相澤 文恵
岸 光男
南 健太郎
米満 正美
- 出版者
- 有限責任中間法人日本口腔衛生学会
- 雑誌
- 口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
- 巻号頁・発行日
- vol.50, no.2, pp.189-197, 2000-04-30
- 被引用文献数
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7
1997年5月,宮城県内の某高等学校の生徒529名を対象に口臭,歯科保健行動,一般的保健行動,口腔関連の自覚症状に関する質問紙調査を実施し,口臭が心配になる頻度と状況にかかわる要因を分析した。自分の口臭が心配になることが「よくある人」は全体の11.4%おり,男女間に有意差は認められなかった。また,自分の口臭が気になる状況は「対話中」カ1最も多かった(46.7%)。さらに,対語中に自分および他人の口臭が気になるのは男子より女子に多く,女子のほうが口臭を強く意識する傾向にあることが示された。また,対話中に自分の口臭が心配になる人は,歯や歯ぐきの痛みや口腔内の乾燥感など,口腔関連の自覚症状を強く感じていることが示された。このことを男女別に分析した結果,男子では関連が認められるのに対して,女子では認められなかった。このことから,女子生徒においては口臭への意識と他の口腔状態の自覚とは独立している可能性が強いと考えられた。一方,口臭に対する意識と口腔診査の結果との関連を無作為に抽出した125名について分析した結果,口臭に対する心配が頻繁にある人のPMAおよびDTは,ときどきある人のものに比べて有意に低いことが示された。以上のことから,この年代においては口臭に対する心配には性差があり,口腔に対する関心度が高い人ほど口臭に対する心配が強い傾向にあると考えられた。したがって,口腔に対する過度の関心が自臭症のリスク要因の1つではないかと考えられた。