著者
伏見 岳人
出版者
拓殖大学国際日本文化研究所
雑誌
拓殖大学国際日本文化研究 = Journal of the Research Institute for Global Japanese Studies (ISSN:24336904)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.105-140, 2023-03-25

本論文は、「オンライン版後藤新平文書」に所蔵されている桂太郎や小松原英太郎らの後藤新平宛書簡などの資料を読み解き、台湾協会学校、東洋協会専門学校、拓殖大学に至るまでの学校運営に、後藤がいかに関わっていたのかを、一次資料に基づいて論じたものである。草創期の台湾協会学校に対する台湾総督府の補助金交付や、日露戦後の東洋協会への組織改編過程、桂没後の小松原会長時代の拓殖館設立構想などに関する後藤の関与の実態を明らかにした上で、大正八(一九一九)年に小松原の後を継いで東洋協会会長と拓殖大学学長に就任する過程を、当時の資料からあらためて再現し、植民地経営に尽力する人材育成に後藤が強い関心を抱いていた様相を歴史資料から考察する。
著者
渡辺 達徳 宇野 重規 嵩 さやか 飯島 淳子 岡部 恭宜 北島 周作 宇野 瑛人 姥浦 道生 伏見 岳人 犬塚 元 水野 紀子 坂田 宏 島村 健 巻 美矢紀 稲葉 馨
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2016-04-01

「人口減少社会」に関する基礎的・横断的研究の遂行という本研究の目的に沿って、平成29年度は、前年度に個別研究班が行った分析をもとに、海外研究者を含む学外の研究者を招いた研究会を開催することを通じて、全メンバーによる意見交換、研究進捗状況の確認と今後の課題を共有することに努めた。研究会において特に注目したテーマは、東日本大震災における社会資本の役割、私人間における障害を理由とする差別の禁止、個人の自立を支援する行政の法的統制などである。その上で、それぞれの個別研究班において、上記の研究会において得られた知見をも組み入れつつ、平成29年度に予定された研究が以下のとおり進められた。すなわち、基礎理論班においては、前年度までの検討を展開させ、人口の概念の再定位を検討した上で、人口減少社会を論ずるための理論的枠組みを提示するための検討を行った。また、制度班においては、人口減少社会への対処としての食い止め策と課題対応策との関係を整序し、体系的な制度設計の方向づけを試みた。さらに、政策班においては、前年度に行われた研究をもとに、人口減少社会の問題の所在と構造を把握した上で、問題の進行状況や問題の所在を異にする諸都市の特性をも十分に考慮に入れながら、条件不利地域・地方都市・三大都市圏という類型化を意識しつつ、フィールドワークも含めた研究を進めた。各研究者による研究成果は、後掲「研究発表」のとおりである。