著者
山口 二郎 宮本 太郎 遠藤 乾 空井 護 高橋 伸彰 村上 信一郎 齋藤 純一 杉田 敦 中北 浩爾 小川 有美 小原 隆治 遠藤 誠治 野田 昌吾 宇野 重規 田村 哲樹 宇野 重規 田村 哲樹
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2007 (Released:2007-04-01)

本研究はグローバル化した金融資本主義の矛盾が明らかになる一方、民主政治による政策決定が円滑に進まないという困難な状況において、民主政治をどう再生させるかという問いに取り組んだ。基礎的な再分配政策に加えて、雇用、生活支援などのサービスを市民社会の自発性を引き出す形で展開することで、新たな福祉国家モデルを追求するというのが21世紀的な危機に対する処方箋となることを明らかにした。
著者
宇野 重規
出版者
東京大学社会科学研究所
雑誌
社會科學研究 (ISSN:03873307)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3/4, pp.153-172, 2011-03-15

本稿は「労働」と「格差」について, 政治哲学の立場からアプローチする. 現代社会において, 労働は生産力のみならず社会的なきずなをもたらし, さらに人々に自己実現の機会を与えている. 対するに格差は, 社会の構成員の間に不平等感や不公正感を生み出すことで, 社会の分断をもたらす危険性をもつ. このように労働と格差は, 正負の意味で政治哲学の重要なテーマであるが, これまでの政治哲学は必ずしも積極的に向き合ってこなかった. その理由を政治思想の歴史に探ると同時に, 現代において労働と格差の問題を積極的に論じている三人の政治哲学者の議論を比較する. この場合, メーダが, 政治哲学と経済学的思考を峻別するのに対し, ロールズは, ある程度, 経済学的思考も取り入れつつ, 独自の政治哲学を構想する. また, 現代社会が大きく労働に依存している現状に対しメーダが批判的であるのと比べ, ネグリのように, あくまで労働の場を通じて社会の変革を目指す政治哲学もある. 三者の比較の上に, 新たな労働と格差の政治哲学を展望する.
著者
宇野 重規
出版者
東京大学社会科学研究所
雑誌
社會科學研究 (ISSN:03873307)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3/4, pp.21-37, 2008-03-14

戦前はジャーナリスト,戦後直後は労働運動指導者として知られた鈴木東民(1895-1979)は,1955年以降,3期12年にわたって釜石市長をつとめた.本稿は,釜石市長としての鈴木東民の仕事を,歴史的な視点から再評価することを課題としている.鈴木東民市政の力点は,道路や学校など地域社会の基盤整備と,広報等を通じての,市民間の交流と対話の空間の創出にあった.本稿ではこれらの政策を,<地域に根ざした福祉政治>,および<開かれた土着主義>として分析する.本稿の最終目的は,釜石市にとってだけでなく,およそ近代日本史における鈴木東民とその市政の意義を再評価することにある.
著者
宇野 重規
出版者
東京大学社会科学研究所
雑誌
社會科學研究 (ISSN:03873307)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.153-172, 2011

本稿は「労働」と「格差」について, 政治哲学の立場からアプローチする. 現代社会において, 労働は生産力のみならず社会的なきずなをもたらし, さらに人々に自己実現の機会を与えている. 対するに格差は, 社会の構成員の間に不平等感や不公正感を生み出すことで, 社会の分断をもたらす危険性をもつ. このように労働と格差は, 正負の意味で政治哲学の重要なテーマであるが, これまでの政治哲学は必ずしも積極的に向き合ってこなかった. その理由を政治思想の歴史に探ると同時に, 現代において労働と格差の問題を積極的に論じている三人の政治哲学者の議論を比較する. この場合, メーダが, 政治哲学と経済学的思考を峻別するのに対し, ロールズは, ある程度, 経済学的思考も取り入れつつ, 独自の政治哲学を構想する. また, 現代社会が大きく労働に依存している現状に対しメーダが批判的であるのと比べ, ネグリのように, あくまで労働の場を通じて社会の変革を目指す政治哲学もある. 三者の比較の上に, 新たな労働と格差の政治哲学を展望する.This article focuses on the problem of labor and inequality from the perspective of political philosophy. In contemporary society, labor is important not only as a source of productivity, but also as a social relationship and an opportunity for self-realization. On the other hand, inequality divides the society by aggravating the sense unfairness among its members. This shows the importance of the theme of labor and inequality for political philosophy, but these two themes haven't been fully discussed by political philosophers. The article analyses the reason of their reluctance in the history of political thought. And by comparing three contemporary political philosophers, Dominique Méda, John Rawls and Antonio Negri, it considers the future possibility of political philosophy for the problem of labor and inequality.
著者
宇野 重規 小田川 大典 森川 輝一 前川 真行 谷澤 正嗣 井上 弘貴 石川 敬史 仁井田 崇
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01 (Released:2013-05-21)

本研究はアメリカ政治思想史を、共和主義と立憲主義という視点から捉え直そうとする試みである。その際に、建国の思想から、19世紀における超越主義とプラグマティズム、20世紀におけるリベラリズム、リバタリアニズム、保守主義へとつながる固有の思想的発展と、マルクス主義やアナーキズムを含む、ヨーロッパからの思想的影響の両側面から検討することが大きな主題であった。3年間の検討をへて、ヨーロッパの王政に対する独特の意識が、アメリカ共和政とそのコモン・センスに対する信頼を生む一方で、政府権力に対し個人の所有権の立場から厳しい制約を課す立憲主義を発展させてきた、アメリカ思想の弁証法的発展が明らかにされた。
著者
宇野 重規
出版者
東京大学社会科学研究所
雑誌
社會科學研究 (ISSN:3873307)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.99-123, 2006-09-30

90年代前半には, それまでの「社会科学」像を支えていた認識枠組みそのものを問い直す動きが活発化した.本稿は, このような動向を, 1993年から94年にかけて刊行された『岩波講座 社会科学の方法』の諸論文を素材に検討する.その際, 重要な論点となるのが, 戦後社会科学の初期条件であり, とくに日本資本主義論争と総動員体制の影響をめぐる諸議論を検討する.また, その時期に設定された, 「近代西欧」との対比で「日本」を論じる問題意識についての批判的考察についても, 検討する.これに対し, 「社会学の時代」と称されることのある90年代後半以後における社会科学の展開は, 90年代前半における社会科学の見直しの結果と必ずしも直結していないことを論じた上で, 最後に, 両者の成果を結びつけ, 社会のトータルな把握とそれに基づく批判的な知的営為としての社会科学という課題を提示する.