著者
吉村 治正 正司 哲朗 渋谷 泰秀 渡部 諭 小久保 温 佐々木 てる 増田 真也
出版者
奈良大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2018-04-01

内閣府世論調査では、実際の生活実感と乖離する調査結果が現れることが少なくない。本課題では、これが調査実施過程の技術的な不足による非標本誤差の大きさによると考え、実験的な社会調査の実施を通じて、その影響を測定した。主たる知見は①人口構成の変化以上のペースで回答者が高齢者にシフトしている、②難易度が高い質問が多く最小限化行動が生じている、③複数回答方式を多用したために順序効果が顕著に表れている、④「わからない」を抑制することで中間回答が過大に表れている、といった点で集計結果に偏りを生んでいる可能性が高いことが指摘された。
著者
佐々木 てる
出版者
関西社会学会
雑誌
フォーラム現代社会学 (ISSN:13474057)
巻号頁・発行日
no.9, pp.9-19, 2010-05-29

人口減少社会を迎え従来の外国人政策の見直し、さらには移民政策に関する議論も登場している。しかし外国籍者をめぐる課題も山積している。こういった問題の背景には、これまで社会統合の視点が欠けていると同時に、統合すべき社会像が一向に見えてこないためである。つまり外国籍者をあくまで一時的な滞在者としてあつかうか、もしくは将来国民としてあつかうか、国家レベルでの方針が定まっていない。今後永住者、すなわち実質的な移民をどうあつかうかが、今まさに問われている。こういった現状を踏まえた上で、本稿では現在日本にいる外国籍者、特に永住者を将来的な国民として社会統合する立場を前提とし議論を進める。具体的には日本国籍を取得した在日コリアン、すなわちコリア系日本人の事例から考えていく。コリア系日本人は後天的に国民になった人々であり、彼らの歩んできた道を振り返ること、彼らが求めてきたことを考えることは、社会統合政策を考える上で参考になる。具体的にはコリア系日本人の歴史、国籍取得の背景、さらに現代的な課題を提示していく。そして彼らをとりまく日本社会のまなざしを考え、今後の日本の外国籍者に対する社会統合政策を考えていくことにする。結論を述べれば、コリア系日本人という試みは、日本人というネーションを内部から変容せる可能性を持つものといえる。その意味で彼らの存在は今後の日本社会の向かう国民像の一つを示しているといえる。
著者
佐々木 てる
出版者
Japanese Council on Family Relations
雑誌
家族研究年報 (ISSN:02897415)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.21-34, 2016-07-10 (Released:2017-02-14)
参考文献数
10

これまで在日コリアンの2 世、3 世にとって恋愛そして結婚における「民族的な違い」とは大きな壁であったことは報告されてきた。すなわち「朝鮮人との結婚はゆるされない」「日本人ではなく同胞と結婚すべきだ」という言説はよく聞かれるものであった。     これに対して近年では、通名であった人々も民族名で生活するケースも増えてきた。 そうなると名前だけではオールドカマーか、ニューカマーなのか、さらには出身国が中国か韓国か台湾かなどの区別もつかないことがあり、最初から「違い」を前提としたつきあい、そして結婚に至るケースがある。グローバリゼーションが進展するなか、民族的な差異は他の多くの差異(年収、出身地域、学歴、文化資本など)の一つに解消されている感もある。     では未婚社会と言われる現代において、(旧来的な)「民族的差異」は本当に婚姻を疎外する要因になっていないのか。そもそも在日コリアンの若者世代は、恋愛において民族の違いに意味付けをするのか。ここでは聞き取り調査の結果をもとに、昨今の在日若者世代の結婚、恋愛観について述べていくことにする。
著者
佐々木 てる
出版者
家族問題研究学会
雑誌
家族研究年報 (ISSN:02897415)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.21-34, 2016

<p>&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;これまで在日コリアンの2 世、3 世にとって恋愛そして結婚における「民族的な違い」とは大きな壁であったことは報告されてきた。すなわち「朝鮮人との結婚はゆるされない」「日本人ではなく同胞と結婚すべきだ」という言説はよく聞かれるものであった。 <BR>&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;これに対して近年では、通名であった人々も民族名で生活するケースも増えてきた。 そうなると名前だけではオールドカマーか、ニューカマーなのか、さらには出身国が中国か韓国か台湾かなどの区別もつかないことがあり、最初から「違い」を前提としたつきあい、そして結婚に至るケースがある。グローバリゼーションが進展するなか、民族的な差異は他の多くの差異(年収、出身地域、学歴、文化資本など)の一つに解消されている感もある。 <BR>&nbsp;&nbsp;&nbsp;&nbsp;では未婚社会と言われる現代において、(旧来的な)「民族的差異」は本当に婚姻を疎外する要因になっていないのか。そもそも在日コリアンの若者世代は、恋愛において民族の違いに意味付けをするのか。ここでは聞き取り調査の結果をもとに、昨今の在日若者世代の結婚、恋愛観について述べていくことにする。</p>