著者
佐久間 寛
出版者
日本アフリカ学会
雑誌
アフリカ研究 (ISSN:00654140)
巻号頁・発行日
vol.2018, no.94, pp.21-33, 2018-12-31 (Released:2019-12-31)
参考文献数
37
被引用文献数
1

本特集は,アフリカの脱植民地化に影響を及ぼしたことで知られる黒人文化総合誌『プレザンス・アフリケーヌ』創刊70周年に前後して同誌の共同研究を進めてきた文学・文化人類学の専門家による研究成果の集成である。『プレザンス・アフリケーヌ』誌は,A.セゼールやL.S.サンゴールといったカリブ・アフリカ出身の文化人にとってかけがえのない創作の場であったばかりでなく,政治,経済,歴史,教育等の専門家が集う学術分野を超えた集団討議の場でもあった。主要言語はフランス語であるが,英語圏からの執筆者もおおく,スペイン語やポルトガル語による作品も掲載された。また同誌は黒人のみに開かれていたわけではなく,創刊にはJ.-P.サルトルやA.ジッドといったフランスの白人知識人が参加した。またプレザンス・アフリケーヌは,アフリカ系知識人の作品を送りだしてきた出版社でもあり,第1回黒人作家芸術家会議をはじめとする歴史的イベントを組織した事業体でもある。序論である本稿では,言論媒体であると同時に多種多様な人々の交流と混淆を促す運動そのものでもあったプレザンス・アフリケーヌの相貌を概観し,この文化複合体を研究することの今日的意義を明らかにする。
著者
渡辺 公三 高村 学人 真島 一郎 高島 淳 関 一敏 昼間 賢 溝口 大助 佐久間 寛
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

フランス人類学の定礎者マルセル・モース(1872-1950)はデュルケームの甥であり、フランス穏健社会主義の指導者ジョレスの盟友であり、ロシア共産主義の厳しい批判者であった。その人類学分野以外での活動もふくめて思考の変遷を、同時代の動向、学問の動向、学派(デュルケム学派社会学)の進展との関係を視野に入れて明らかにし、現代思想としての人類学の可能性を検討する。そのうえでモースの主要業績を明晰判明な日本語に翻訳する。