著者
竹沢 尚一郎 関 一敏
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

本研究は、都市祭礼と山村の祭りの比較研究であり、都市祭礼として福岡市の2つの祭り(博多祇園山笠と博多どんたく港祭り)を、山村の祭りとして宮崎県東臼杵郡椎葉村の祭り(栂尾神楽)を取り上げ、文献調査を通じて個々の祭りの歴史と祭り研究の視点を確立すると同時に、現地調査を実施することでそれぞれの祭りの深い理解をめざした。その結果、いずれのケースとも祭りが地域社会と密接に結びつきながら遂行されてきたこと、とくに地域社会の中にさまざまな対立(年長者/年少者、男性/女性、参加者/観察者・加勢者など)を生み出しながら、それを超えて共同性や共同意識を生みだす働きをしていることが確認された。それぞれの祭りの固有性としては、山村の祭りは生業と密接に結びつきながら発展してきたこと、近代化と過疎化が進行する中でその機能が形骸化するのと対照的に、祭りがはたす成員のアイデンティティ付与の機能が強化されていることが理解された。また、それを観光資源として活用することに対しては、参加者の側に強い抵抗があることが理解された。一方、都市祭礼の方は、過去から現在にいたるまで、農村や周辺の市町村から都市へ人口と資源を吸引させる働きをしていることが確認され、そのために都市祭礼は構成要素間の競争をあおることで、ますます華美・勇壮・盛大になる傾向があることが理解された。都市祭礼と山村の祭りにおけるこれらの機能は、これまであまり研究されていないばかりか、現在進行中のものでもあり、今後の祭り研究の上で有効な視点になると判断される。
著者
関 一敏
出版者
日本文化人類学会
雑誌
民族學研究 (ISSN:00215023)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.402-407, 1997-12-30
著者
関 一敏
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 日本文化人類学会第54回研究大会 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
pp.A10, 2020 (Released:2020-09-12)

(1)呪術・宗教・科学という古典的主題は、それぞれの活動を担う人物からの離床度で測定できること(科学>宗教>呪術)。(2)うち宗教の人物像は「預言者」「修行者」「老賢者」に整理できること(ウェバー、キュング)。(3)呪術研究の課題は「呪者になる」「呪力のモノ化」「半分の真面目さ」にあること(モース)。以上をふまえて、呪者の人物像問題を深めてみたい。

1 0 0 0 OA 龍神の夢

著者
関 一敏
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 日本文化人類学会第48回研究大会 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
pp.115, 2014 (Released:2014-05-11)

福岡市西部の一公園内に新たな神社が発生しつつあり、近隣の神主の助力を得て、月例祭に50名ほどの参詣者を集めている。きっかけは龍神の夢を複数の人々が見たことによるが、古代・中世・近世と重層的な史実と伝承の濃厚な場所でもあり、参詣者たちは甦った聖地であるかのようにふるまう。とくだん劇的な出来事をともなわない場所に、自然発生的に来参する人々の心性を追う。
著者
関 一敏
出版者
東京大学文学部宗教学研究室
雑誌
東京大学宗教学年報 (ISSN:2896400)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.71-73, 1984-02-21

【書評】
著者
渡辺 公三 高村 学人 真島 一郎 高島 淳 関 一敏 昼間 賢 溝口 大助 佐久間 寛
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

フランス人類学の定礎者マルセル・モース(1872-1950)はデュルケームの甥であり、フランス穏健社会主義の指導者ジョレスの盟友であり、ロシア共産主義の厳しい批判者であった。その人類学分野以外での活動もふくめて思考の変遷を、同時代の動向、学問の動向、学派(デュルケム学派社会学)の進展との関係を視野に入れて明らかにし、現代思想としての人類学の可能性を検討する。そのうえでモースの主要業績を明晰判明な日本語に翻訳する。
著者
関 一敏
出版者
日本幼稚園協会
雑誌
幼児の教育
巻号頁・発行日
vol.84, no.12, pp.26-33, 1985-12-01