著者
高島 淳史
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2003, pp.150, 2003

1.はじめに 中心市街地の衰退は、人口の郊外流出やモータリゼーションの進展を背景に全国的な問題となり、はや数十年が経つ。しかし、いまだ有効な対策がなされていないため、中心市街地の空洞化は進行している状況にある。そのため、現在中心市街地活性化の必要論、不必要論が議論されている。中心市街地再開発・再編成の必要性は以下のようにまとめることができる。_丸1_交流拠点としての「都市の顔」の役割、_丸2_コミュニティの保持、_丸3_都市のコンパクト化、_丸4_高齢者にとって住みよい環境、_丸5_環境に配慮した車に過度に依存しない生活の場である。以上のような観点から、全国各地で中心市街地活性化が行われている。本発表では、沼津市中心市街地活性化区域内の商店街を対象とし、中心市街地の現在までの経過を把握し、問題点を明らかにする。また、商店街の機能を把握した上で、商店街の活性化がどのように進められてきたのかを経年的に追う。その結果、商店街にもたらされた影響について考察し、活性化への問題点を探る。2.沼津市中心市街地の変遷1930年代の沼津市における商業の中心は、沼津港を核として旧国道1号以南にあった。しかし、1932年の西武百貨店をかわきりに、駅周辺に大型店が進出し、買い物客は交通の面でも便利な駅前に集まるようになり、旧国道1号以北に商店街が形成され、アーケードを整備し、商業の中心は移っていった。高度経済成長期が軌道に乗った1960年頃から70年にかけて中心市街地の人口は急激に増加したが、70年代に入るとモータリゼーションの影響を受け、中心市街地では人口流出が始まった。大型店(1000_m2_以上)については、1970年以降中心市街地に7店舗、郊外に38店舗と郊外化の傾向が強まっているといえる。 3.中心市街地活性化に向けての商店街の役割と活動大手町商店街、仲見世商店街の商店数、年間販売額は高く、依然商業の中心は駅南にあるといえる。一店舗当たりの年間販売額では、大手町商店街だけが際立って高い。仲見世商店街は店舗数が多いことで商店街の年間販売額を引き上げているが、各店舗の年間販売額は決して高くはない。一方、駅北は商店街ごとの商店数、年間販売額において、全体的に停滞もしくは減少を示している。また、駅北にあるイトーヨーカドーをキーテナントとしたイシバシプラザは、大型駐車場を完備しており、徐々に売上を伸ばしている。駅南の大手町商店街、仲見世商店街と駅北のイシバシプラザを活性化の核として、以上の現状より中心市街地の各商店街は、さまざまな年間行事を企画実践し、中心市街地のイメージアップと認知度の向上を図っている。また、若手を中心とした商店主の間に、まちづくりNPO設立の動きもあり、本格的な活動が始まっている。
著者
森 雅秀 永ノ尾 信悟 高島 淳 冨島 義幸 原田 正俊 山部 能宜 松本 郁代 鷹巣 純 矢口 直道 西本 陽一
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究は、アジアにおける仏教儀礼の形成と展開、変容をテーマに、さまざまな領域の研究者による共同研究の形式で進められた。参加した研究者はインド学、仏教学、歴史学、人類学、美術史、建築史、宗教学等の分野で、多角的な視点から研究をおこなった。そのための枠組みとして王権論、表象論、空間論、技術論、身体論という5つの研究領域を設定した。とくに顕著な研究成果として灌頂に関する論文集があげられる。代表的な仏教儀礼のひとつである灌頂を取り上げ、その全体像を示すことに成功し、儀礼研究の新たな水平を開いた。また研究の総括として、儀礼と視覚イメージとの関係についての国際シンポジウムを開催した。
著者
渡辺 公三 高村 学人 真島 一郎 高島 淳 関 一敏 昼間 賢 溝口 大助 佐久間 寛
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

フランス人類学の定礎者マルセル・モース(1872-1950)はデュルケームの甥であり、フランス穏健社会主義の指導者ジョレスの盟友であり、ロシア共産主義の厳しい批判者であった。その人類学分野以外での活動もふくめて思考の変遷を、同時代の動向、学問の動向、学派(デュルケム学派社会学)の進展との関係を視野に入れて明らかにし、現代思想としての人類学の可能性を検討する。そのうえでモースの主要業績を明晰判明な日本語に翻訳する。