著者
佐伯 万騎男
出版者
日本歯科薬物療法学会
雑誌
歯科薬物療法 (ISSN:02881012)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.191-194, 2019 (Released:2020-03-31)
参考文献数
13

Neuropathic pain is now defined by the International Association for the Study of Pain as pain caused by a lesion or disease of the somatosensory nervous system. The guidelines recommend tricyclic antidepressants, gabapentin or pregabalin, and duloxetine, a serotonin noradrenaline reuptake inhibitor, as first line. Mirogabalin, which is a novel ligand for the α2δ subunit of voltage-gated calcium channels, is being developed for treating neuropathic pain including diabetic peripheral neuropathy and postherpetic neuralgia. In this review, serendipitous discovery of pregabarin by Richard Silverman is discussed.
著者
佐伯 万騎男 江草 宏
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.144, no.6, pp.277-280, 2014
被引用文献数
1

骨粗鬆症治療薬は骨吸収抑制薬と骨形成促進薬に分類される.従来の骨粗鬆症治療薬は骨吸収抑制薬が主流であったが,破骨細胞と骨芽細胞の活性が共役する機構が存在するために長期的には骨形成が低下して効果が減弱したり副作用が生じたりする問題点があった.骨形成促進薬anabolic agent としてはヒト副甲状腺ホルモン(parathyroid hormone:PTH)製剤であるテリパラチドが現在唯一の治療薬である.我々は破骨細胞におけるnuclear factor of activated T cells (NFAT)シグナルをターゲットとした骨吸収抑制薬の創薬を当初の目的として,RAW264.7 細胞を用いたセルベースアッセイ系を構築し,様々な化合物ライブラリーを用いた創薬スクリーニングを行ってきた.スクリーニング中に多くのNFAT 活性化小分子化合物を発見し,これらの破骨細胞を活性化させる化合物が,anabolic therapy に使用できる可能性があるのではないかと考えた.Anabolic agent として唯一臨床応用されているPTH 製剤が血中のカルシウム濃度を上昇させるしくみの一つに,骨吸収の促進がある.したがって,PTH の骨吸収促進という教科書的事実に固執していたら,テリパラチドが骨形成促進薬として開発されることもなかったであろう.PTH の持続的投与は骨吸収の促進をもたらすが,間歇的投与intermittent PTH(iPTH)treatment によるPTH の骨形成促進作用に注目したことが,テリパラチドという骨形成促進薬の開発につながった.我々はこのテリパラチドの例をヒントに,あえて破骨細胞の活性化薬をスクリーニングすることから,新しい骨形成促進薬を開発できないかと考えている.
著者
江草 宏 矢谷 博文 佐伯 万騎男 横田 義史
出版者
大阪大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

本研究計画は、小分子化合物をId2遺伝子欠損マウスに由来する骨芽細胞および破骨細胞に作用させることで、新たな細胞内分子機構を探索することを目的として行われた。その結果、小分子化合物harmineは、破骨細胞分化に重要な役割をするNFATc1の活性をリン酸化酵素DYRK1Aの阻害を介して増強するが、同時に破骨細胞の分化抑制因子として作用するId2の発現を増強する結果、破骨細胞分化における細胞融合を著明に抑制することを明らかにした。
著者
佐伯 万騎男 上崎 善規
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

骨吸収性疾患の治療において破骨細胞分化を調節する小分子化合物は非常に有望な創薬候補として期待される。破骨細胞分化を調節するあらたな小分子化合物を見出すためcell-basedのスクリーニングシステムを開発し、harmineという非常に興味深い小分子化合物を発見した。harmineは破骨細胞分化に対し正負に働くシグナル(カルシニューリン-NFATおよびid2)を同時に活性化させるという興味深い性質をもつことが明らかになった。