著者
佐和 隆光
出版者
東京大学
巻号頁・発行日
1971

博士論文
著者
植田 和弘 森田 恒幸 仲上 健一 佐和 隆光
出版者
京都大学
雑誌
特別推進研究
巻号頁・発行日
1991

発展途上国における環境保全型経済発展のあり方とその可能性に関する分析をすすめた。アジア諸国においては、日本における公害対策の進展が経済成長をしながらすすめられたことをもって、日本を持続可能な発展のモデルとみる傾向がある。そこで、日本の公害対策のうち最も成功したと言われている硫黄酸化物対策に焦点をあてて、中国および韓国を対象として環境政策の発展過程に関する基礎的データを収集・分析するとともに、政策の発展経緯をその経済性に着目して詳細に比較分析した。その結果、その同質性と特異性が明らかになり、後発性の利益を実現するための条件を解明した。開発プロジェクトの持続可能性の条件について、流域開発事業を事例に、環境費用・環境便益の社会的評価方法と開発プロジェクトの環境配慮の評価システムに着目して分析を加えた。その結果、開発インパクトと流域管理の国際比較に関する体系的なデータベースの構築が不可欠であることが確認された。環境政策の経済的手段について、ドイツ排水課徴金、公害健康被害補償制度賦課金、環境補助金、排出許可証取引制度、デポジット・リファンド制度、ごみ有料化、直接規制を取り上げ、その理論と実際の乖離とその原因について、理論の通説的理解の再検討と実証分析を行うことで検討をすすめた。その結果、これまでの経済理論の想定が非現実的であること、通常のミクロ経済理論が集合的意思決定の要素を十分に考慮できていないために、実際に導入されている経済的手段の合理性を説明できないことを論証した。また、財政学的な検討を加えることで、実際に導入されている経済的手段を費用負担のあり方の一形態として理解できることも明らかにした。