著者
佐田久 真貴
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
認知行動療法研究 (ISSN:24339075)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.159-169, 2018-09-30 (Released:2019-04-05)
参考文献数
19

本研究は、心理教育とセルフモニタリングを用いて皮膚むしり行動への介入を行い、約3カ月で奏効した症例研究である。皮膚むしり行動は、その症状が重篤になると精神疾患の皮膚むしり症と診断され、その決定的なエビデンスのある治療はいまだ確立していない。本報告では、皮膚むしりをやめたいと訴えるクライエントへ1回30分、計9回のセッションが実施された。心理教育では、習癖(くせ)のメカニズムと対策案、爪かみや皮膚むしり体験者の情報などのオリジナル資料を用いた。ホームワークでは、皮膚むしり行動に拮抗する適応的な代替行動の試行とセルフモニタリングが導入された。その結果、皮膚むしり行動を制御できる自分自身に気づき、複数の代替行動が増加、皮膚むしり行動も減少した。効果は半年後にも維持されていることが確認された。
著者
藤原 直子 大野 裕史 日上 耕司 佐田久 真貴
出版者
一般社団法人 日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.383-392, 2012 (Released:2013-09-18)
参考文献数
20
被引用文献数
1

本研究は、発達障害児の親に対するペアレント・トレーニングにスタッフとして参加した大学院生のうち、親面接を担当した5名を対象に、参加後の変容について検討した。親面接担当スタッフは、事前にペアレント・トレーニングに関する学習や演習を行い、実際のペアレント・トレーニングでは親への講義やグループワークにおける面接を担当した。ペアレント・トレーニング参加後、子育て支援に対する効力感に関して、託児担当スタッフには変化がみられなかったが、親面接担当スタッフは5名中3名で有意に向上し、「育児不安に対する支援」と「支援環境の整備」は5名全員に向上が認められた。また、面接の進め方に対する親からの評価が高くなり、スタッフの面接技術や話し方が変化したと推察された。これらの結果から、ペアレント・トレーニングにスタッフとして参加し、親への講義や面接を行うことが、発達障害児の親および子育てに対する支援者を養成する一助となる可能性が示唆された。
著者
石原 辰男 佐田久 真貴 佐久間 徹
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.25-32, 2000-03-31 (Released:2019-04-06)

われわれは、自閉的行動をもつ幼児に対してフリーオペラント事態における指導を実施し、それに続いて机上の課題学習指導を導入した。絵カードの命名課題において呈示された絵カードの名前を言うことができないときに、その指導から逸脱する行動が認められた。そこで、Koege1(1995)に示唆を得て、わからないときに「これなに?」と質問するように指導した。今回われわれのとった手続きは、Kogel(1995)とは異なるものであったが、本児は質問行動を獲得し、指導から逸脱する行動は低減し、自発的な命名反応も増加した。さらに、フリーオペラント事態や日常の場面へも般化した。Koegelの手続きとわれわれのそれとを比較検討したところ、いずれの場合においても「これなに?」の質問が獲得されるためには、社会性強化子や他の自然強化子が有効に機能し、同時に物の名前を教えてもらって聞くことも強化機能を有する必要のあることが示唆された。
著者
田辺 雄一 岸田 広平 佐田久 真貴
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.160-163, 2019-11-01 (Released:2019-11-03)
参考文献数
14

本研究の目的は,日本の小学校教師の抑うつ症状に対する教師ストレッサー及び自動思考の影響を検討することであった。日本の小学校教師164名を対象として,教師ストレッサー,自動思考,抑うつ症状について質問紙調査を行った。構造方程式モデリングにより,教師ストレッサーはネガティブな自動思考を介して抑うつ症状に正の影響を与えることが示された。さらに,ポジティブな自動思考は,抑うつ症状に負の影響を与えることが示された。最後に,日本の小学校教師の抑うつ症状に対する今後の研究と実践の課題が議論された。
著者
石原 辰男 佐田久 真貴 佐久間 徹
出版者
一般社団法人日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.25-32, 2000-03-31

われわれは、自閉的行動をもつ幼児に対してフリーオペラント事態における指導を実施し、それに続いて机上の課題学習指導を導入した。絵カードの命名課題において呈示された絵カードの名前を言うことができないときに、その指導から逸脱する行動が認められた。そこで、Koege1(1995)に示唆を得て、わからないときに「これなに?」と質問するように指導した。今回われわれのとった手続きは、Kogel(1995)とは異なるものであったが、本児は質問行動を獲得し、指導から逸脱する行動は低減し、自発的な命名反応も増加した。さらに、フリーオペラント事態や日常の場面へも般化した。Koegelの手続きとわれわれのそれとを比較検討したところ、いずれの場合においても「これなに?」の質問が獲得されるためには、社会性強化子や他の自然強化子が有効に機能し、同時に物の名前を教えてもらって聞くことも強化機能を有する必要のあることが示唆された。