著者
伊藤 敏幸 佐藤 俊夫 藤沢 有
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1987, no.7, pp.1414-1423, 1987-07-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
51
被引用文献数
8

α-位にメチルチオ基を導入したβ-ケトエステル類をパン酵母で還元すると,3-位がS-配置であるヒドロキシエステルがきわめて高い光学純度で得られることを見いだした。また,β-ケトジチオカルボン酸エステルのパン酵母還元では,とくにα-位に置換基を導入する.とβ-位のエナンチオ選択性のみならずα-位とβ-位のジアステレオ選択性も対応するカルボン酸エステルのパン酵母還元の場合にくらべていちじるしく向上することを明らかにした。このようにして得られた光学的に純粋なβ-ヒドロキシエステルは硫黄官能基の反応性の特長を活かして,マツハバチの性フェロモンである(2S,3S,7S)-2-アセトキシ-3,7-ジメチルペンタデカンを簡便な工程で立体選択的に合成することができた。
著者
高橋 富樹 大越 純雄 神力 就子 佐藤 俊夫
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.104-107, 1984-02-05 (Released:2009-06-30)
参考文献数
6

重水素濃度5%以下の水素試料中のD2含量は実際上無視できる濃度であるので,D2とHDを分離する必要はない.そこで,常温下モレキュラシーブ13Xカラム(キャリヤーガス:水素)に試料ガスを通すことで,素通りするHDのみを迅速定量する方法を考案した.これによれば,窒素,酸素とも完全に分離され,又,試料ガス中の微量不純物,水蒸気,二酸化炭素の吸着によるモレキュラシーブの劣化にも影響されない.検出限界は0.01%であった.重水素濃度5%以上の試料については,水素をキャリヤーガス(流速:300ml/min)として,-195℃下活性アルミナカラムで,約1分以内でHDとD2を分離定量する方法を確立した.
著者
藤沢 有 佐藤 俊夫 伊藤 敏幸
出版者
The Society of Synthetic Organic Chemistry, Japan
雑誌
有機合成化学協会誌 (ISSN:00379980)
巻号頁・発行日
vol.44, no.6, pp.519-531, 1986-06-01 (Released:2009-11-13)
参考文献数
83
被引用文献数
27 29

The baker's yeast mediated reduction of ketones with various kinds of functional groups provides a useful method for the synthesis of optically active secondary alcohols. Compared with the usual chemical methods using chiral metal hydride reagents, the advantages of the present method are the easier availability of the yeast, milder reaction conditions, i. e. at room temperature in water under air atmosphere, higher optical yield and chemoselectivity especially in the reduction of saturated ketones. Asymmetric reduction of carbon-carbon double bond and the carbon-carbon bond forming reaction of α, β-unsaturated carbonyl compounds are also accomplished by baker' s yeast. The products thus obtained are applied as chiral building blocks to the synthesis of various natural products.