著者
佐藤 和彦 池辺 八洲彦 藤代 一成
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.45, pp.187-188, 1992-09-28

現在多種類の自然言語辞書(以下辞書とよぶ)が利用されているが,ユーザーの立場から見ると辞書にはいくつか不備な点が認められる。それらは大別して構造的な欠点と内容的な欠点の2つに分類することができる。構造的な欠点の多くは通常の辞書が「紙」という媒体で構築されていることを原因とする欠点で,内容的な欠点とは辞書が扱う情報に関する欠点である。文献では,内容的な欠点の一例として英和辞書における単語の語源情報の取扱いの不備が指摘されている。自然言語の時的発達に関する情報をまとめて語源情報という。語源情報には,その単語に関する意味,語形,用法などの歴史的変化の情報が含まれる。当研究室では,英和辞書に普遍的に見られる語源情報の不備を新しい視点から改善した辞書システムを,高度データベースシステムとして構築するプロジェクトが進行中である。その一部として本報告では,大学受験生(高校生),一般社会人を対象とした英単語学習システム構築を念頭におき,語源情報の一部である印欧原語語根から生じる単語間の関連の利用可能性と有効性の調査結果について述べる。
著者
藤田 拓也 安藤 由悦 佐藤 和彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.141, pp.29-34, 2011-07-09
被引用文献数
1

研究活動を進める上で,関連研究の動向を知るために学術論文などの文献の探索・調査は重要な作業である.研究室に所属する学生が論文を収集する場合,類似のテーマを研究していた先輩が過去に収集した文献情報は大いに活用できる.しかし,研究室において文献情報を共有資源として活用する場合,経年により陳腐化している可能性が考えられる.本研究では,文献情報の鮮度を保つために,論文の著者名や所属などの情報をもとに継続研究を自動的に検索する参考文献管理システムを提案し,そのプロトタイプを関発した.本稿では,システムの概要と開発したプロトタイプについて報告する.
著者
佐藤 和彦 倉重 健太郎 岡田 吉史 佐賀 聡人
出版者
CIEC
雑誌
コンピュータ&エデュケーション (ISSN:21862168)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.94-99, 2011

問題解決型のソフトウェア開発演習は,与えられた課題に対するゴールまでの道筋を学生自身が探し出し,解決を目指すグループ演習である。グループごとに開発の進め方や解決方法が異なるため活動状況が見えにくく,グループの能力差によって指導方法も大きく異なる。本研究では,「活動状況」「グループ特性」「課題」の3つの見える化を演習に取り入れることでそれらの問題を解決し,学生のやる気を引き出す「見える」ソフトウェア開発演習を実現する。本稿では演習に取り入れた見える化の工夫について述べるとともに,平成18年度と平成22年度に難易度を変えて同じ課題を実施した演習結果について評価を行う。
著者
佐藤 和彦
出版者
東京学芸大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1987

1987年度から、1989年度にかけて、日本中世の民衆運動に関する史料の蒐集と研究をおこなった。日本中世の民衆生活・思想などに関する研究は、西岡虎之助、林屋長三郎氏らの段階を経て、近年、横井清・三浦圭一、網野善彦らの仕事によって多くの成果を生みだしている。本研究は、これらの成果に学びつつ、日本中世における民衆の生活、生産、思想、芸能、宗教、闘争などを民衆運動として総合的に把握し、その特質を解明しようとした。作業の第一歩は、民衆運動に関する史料を調査し、それを蒐集することからはじめられた。東京大学史料編纂所、京都府立総合資料館などにおいて史料を調査した。ついで、民衆運動の展開した地域におもむき、文献史料の残存状況、伝承などの残存状況を調査した。1987年度は若狭国太良荘(現福井県小浜市)、備中岡上原郷(現岡山県総社市)などの調査をおこない、1988年度は、若狭国太良荘、1989年度には、京都府、および、近紀岡葛川(現滋賀県大津市)などの調査をおこなった。その結果、太良荘地域において3点の新史料を発見した。なお、各年度ともに、中世民衆運動についての関連文献リストを作成し、1989年度において研究報告書を作成した。なお、今後、このような研究を深めるためには、つぎのようなアプロ-チが必要となろう。すなわち、中世民衆の武装の問題、対領主意識の変化、闘争参加のさいの「いでたち」(服装)、当該段階の権力の本質などを追究することである。さらに、アジア諸国やヨ-ロッパ諸国の封建社会における階級闘争と対比させつつ、日本中世の農民闘争のもつ階級闘争としての成果と現限とを明らかにすることが必要である。このことは、日本中世の民衆運動の本質を解明するための基礎作業となるであろう。