著者
酒井 博 佐藤 徳雄 奥田 重俊 秋山 侃
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.101-107, 1976-10-25 (Released:2009-12-17)
参考文献数
11

沖繩における放牧用人工草地の雑草調査を行ない, 雑草の種類, 群落区分, その動態について, 次のような結果をえた。1) 雑草の種類は主に熱帯, 亜熱帯に分布するものが多く, 温帯に属する内地の種類と異なるが, 草種全体の生活型組成では大きな差異は認められない。2) 沖繩本島安田の草地は, スダジイ林を伐採して造成したもので, キク科の一年生雑草が多い。立地条件や放牧強度の差異によりワタナ-チチコグサ群落, バヒアグラス群落, ツルメヒシバ群落, イヌタデ群落, コバナビメハギ-ヒメジソ群落, リュウキュウイチゴ群落が成立し, 群落間に遷移がみられる。3) 石垣島, 与那国島では, 半自然草地を含んで群落を区分した。海岸風衝地域では半自然草地のコウライシバ-ソナレムグラ群集がみられる。隆起珊瑚礁を母材とする石灰質土壌上の草地はチガヤ草原から造成されたものが多く, チガヤ-スズメノコビエ群集が広くみられる。第3紀層砂岩に由来する酸性土壌上では, 前歴が耕作地の草地にノジアオイ-オガサワラスズメノヒエ群落が, 前歴がススキ草原の草地にカラスキバサンキライ-ススキ群落がみられる。4) 種の結びつきをもとに, 前記の群落間の類似関係を明らかにし, 人工草地における土壌条件や家畜の放牧圧などに対応した雑草群落の動態について考察を行なった。
著者
佐藤 徳雄 渋谷 暁一 三枝 正彦 阿部 篤郎
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.408-413, 1993-09-05
被引用文献数
5

速効性の硫安を基肥および追肥に用いる慣行栽培を対照区として, 肥効調節型被覆尿素を用いた水稲 (品種チヨホナミ) の全量基肥不耕起栽培 (LP区) を試み, 次の結果を得た. 1) LP区の水稲は生育のごく初期に対照区よりやや劣るものの, 6月初旬以降は草丈, 葉色, 茎数および乾物重のいずれにおいても対照区より優った. 2) 対照区では, 湛水直後に急激な土壌無機態窒素の消失が起こり, 稲体は窒素欠乏状態 (クロロシス) を追肥時期まで示した. これに対してLP区の水稲は, 栽培期間中正常な生育を示した. 3) LP区の玄米収量は, 登熟期が高温・多照で経過した1990年が57.1kg/a, 低温・寡照で経過した1991年が51.2kg/aで, 対照区よりもそれぞれ55%および33%優った. 対照区の低収量の原因は, 施肥窒素が湛水とともに消失し, 主としてm^2当たり穂数が少なくなり, 籾数の確保が不充分であったためと考えられる. 4) LP区の窒素吸収量は, 対照区に比べて分げつ盛期以降は著しく優り, 成熟期には対照区の1.57倍に達した. 施肥窒素の利用率は, 全量基肥区のLPが63.2%, 対照区の基肥硫安が8.5%, 幼穂形成期の追肥硫安が52.8%, 穂揃期の追肥硫安が41.5%であった. 5) 以上の結果から, 水稲の不耕起直播栽培に対する肥効調節型被覆尿素の全量基肥施用効果が大きいことが明らかになった.
著者
佐藤 徳
出版者
富山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

エージェンシー感とは「行為を引き起こしたのは自分だ」という感覚のことである。エージェンシー感がどのように成立するかについては主に二つのモデルがある。一方の説では順モデルによる動作の感覚結果の予測がエージェンシー感の成立に関わっているとされ、別の説では行為に先行する思考とその行為が一致し、他に原因が考えられなければ、エージェンシー感が体験されると考えられている。本研究では、エージェンシー感を、より基底にある非概念的、かつ、前反省的な感覚運動レベルのエージェンシー感と、概念的かつ反省的なエージェンシー判断に分け、前者の指標として感覚減衰、後者の指標として顕在的なエージェンシー判断を用い、前者が主に順モデルによる予測と実際の結果の一致性に、後者が順モデルによる予測と実際の結果の一致性と先行思考と結果の概念的一致性の双方に依存することを示した。また、順モデルによる予測と実際の結果の一致性や先行思考と結果の概念的一致性などの複数のエージェンシー判断手掛かりのうち、どの手掛かりがエージェンシー判断に大きな影響を及ぼすかは、それぞれの手掛かりの相対的な信頼性如何であることを示した。
著者
神保 至 佐藤 徳幸 中島 歩
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1995, no.2, 1995-03-27
被引用文献数
1

従来のプログラミング理解システムは、主にプログラミング教育を目的として開発・利用されてきており、ソフトウェア保守などの実用的な場面にはあまり応用されていない。そこで我々は、プログラム理解システムをソフトウェア保守作業の支援という、より実用的な場面(具体的には業務処理プログラムを理解する場面)に応用し、ソースコードから機能仕様レベルの情報を導出することを試みている。本稿は、そのために必要となる知識構造モデルについて述べたものである。
著者
神保 至 佐藤 徳幸 大熊 義嗣
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.51, pp.203-204, 1995-09-20

企業のソフトウェア開発部門では、新規ソフトウェアの開発と比較して、既存ソフトウェアの保守作業工数が増大する傾向にある。これは、そのソフトウェアの不完全な仕様書しか残っていないために、多くの時間がそのプログラムの理解作業に費やされていることが一因である。そのために、最近注目を集めているのがリバースエンジニアリングである。しかし従来のリバースエンジニアリング・ツールの多くは、プログラムに対して構造的な分析のみを行ない、制御フロー図やデータフロー図などを出力するものであった。すなわち、保守作業自体を実施するのに有用な情報が得られる反面、そのプログラムが全体としてあるいは部分的に、どのような機能を果たすプログラムであるか(仕様情報)はわからなかった。このような仕様情報を出力するためには、プログラムの意味的な理解を行なわなければならない。そこで本稿では、プログラミング教育を主な目的とした、アルゴリズムに基づくプログラム理解手法をリバースエンジニアリングに応用し、C言語プログラムのソースコードから設計仕様書レベルの情報を導出するプログラム理解システムについて述べる。