著者
三宅 立記 今城 哲二 佐藤 忍 井藤 敏之 横塚 大典 辻畑 好秀 植村 俊亮
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌プログラミング(PRO) (ISSN:18827802)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.89-101, 2000-03-15

既存の企業情報システムを安価に再構築するインフラとして Web を利用するイントラネットの導入が急速に進行している.しかし,企業情報システムのイントラネット化には,システム開発の面で次のような問題がある.()システム開発を行うための技術としてHTML,Java等をシステム開発者が新たに習得する必要がある.()COBOL,PL/I等の正確な精度を保証する10進演算機構が利用できないため,金額処理を伴ったシステム開発が困難.()従来のクライアントサーバシステムや端末に比べてレスポンスが悪い.COBOLスクリプトは,これらの問題を解決するために日立製作所と日立ソフトウェアエンジニアリングが共同開発したスクリプト言語であり,次のような特長を有する.()企業内の情報システム部門で最もよく利用されているCOBOL85をベースにWebに必要な機能に絞り込んだ言語仕様.()メインフレーム系のCOBOLと同一精度の10進演算機能をサポート.()既存のCOBOL処理系の長所,短所の分析に基づいた効率のよい実装.これにより次の成果を得た.()金額計算など誤差の許されない分野の業務を Web上で心配なく稼動可能とした.()テストデバッガやカバレージのサポートにより大規模な開発プロジェクトでの利用を可能にした.()プログラムの保守性を向上する日本語プログラミング機能をサポートした.()優れた実行性能を実現できた.The introduction of intranet which allows to access Web technology is rapidly growing as the infrastructure to restructure existing business information systems within a reasonable cost. However, in terms of system development, use of intranet on the business systems poses the following problems. (1)The system developers must learn new technology such as HTML and Java as the technology for system development. (2)As the decimal arithmetic functions, which guarantee the precision such as in COBOL and PL/I, are not available, it is difficult to develop systems that involves accounting processing. (3)The response time might exceed those of the existing Client and Server systems or terminals. COBOL Script, which is a script language developed jointly by Hitachi Ltd. and Hitachi Software Engineering Co., Ltd. to solve these problems, has the following features. (1)The language specification, which consists of required functions for Web computing, is a subset of COBOL85, which is the most frequently used programming language in business information analysis of the pros and the cons of the COBOL processing system. We obtain the following results; (1)Applications requiring high precision such as accounting processing can be operated on Web. (2)The test debugger and the coverage functions make it possible to use in a large development project. (3)The Japanese programming facility provides good maintainability. (4)Good performance is achieved.
著者
佐藤 忍
出版者
香川大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

中東における建設ブームが生み出した海外雇用の機会は、資産形成の点でも、職業上の地位においても、魅力的な選択肢であり、国内における労働力利用率が3人に2人と低いフィリピンにとって、いわば千載一遇のチャンスであった。有力な後盾に恵まれた渡航チャンネルをもつ者のみが、この機会を享受しえた。1980年にはじまるフィリピン国内の経済危機は、海外雇用による外貨獲得を国際収支の救済策として浮上させた。すなわち、労働力輸出の開始である。1982年におけるフィリピン海外雇用庁創設は、その制度的な表現である。労働力輸出の本格化は、海外雇用の魅力が低下する過程でもあった。海外雇用は、生活維持のためのきわめて現実的な選択として一般化したのである。賃金水準は低下し、雇用期間は短縮した。73年時点で13万人にすぎなかった海外渡航者は、83年には40万人、91年には63万人へと雪だるま式に膨らんだ。渡航チャンネルをもたない者は、不正規のルートを開拓した。中東以外の渡航先として東、東南アジアの比重が高まった。同時に、海外雇用の女性化が進展した。海外雇用は、いまや2つのタイプに分極化している。船員、看護婦等の専門職種は、賃金水準や斡旋経費の負担といった点で、いまなお魅力を保持している。渡航者のおよそ3人に一人がこのタイプに属する。労働力輸出によって生み出された新型職種として、エンタテナ-やメイドといった不安定職種がある。渡航者の3人に一人を占めるまでになっている。不安定職種の危険性は、労働者保護への政策的な取り組みの緊要性をフィリピン政府に痛感させた。労働力輸出は、フィリピン経済の危機によって本格化し、海外雇用の変質と分極化とをもたらしたのである。
著者
兵頭 洋美 佐藤 忍 岩井 宏暁
出版者
日本植物生理学会
雑誌
日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集 第51回日本植物生理学会年会要旨集
巻号頁・発行日
pp.0802, 2010 (Released:2010-11-22)

トマト果実の成熟過程に伴う果皮の軟化はペクチン等の分解に起因することが報告されている。しかし、果実内部では種子形成が同時に進行していることからも細胞壁の分解のみでなく、合成も必要であると考えられる。本研究では、果実成熟過程におけるペクチンの合成・分解に関与する遺伝子の発現および酵素活性を組織別に比較することで、果実全体のペクチンの総合的な変化を考察した。ペクチン分解酵素であるポリガラクツロナーゼ(PG)、ペクチンメチルエステラーゼ(PE)に関しては、果皮・隔壁においてBreaker以降で強い発現・活性がみられた。またPEは果実内部の組織で発現・活性がみられず、PG阻害タンパク質であるPGIPは、外果皮・隔壁で恒常的な発現がみられた。一方、シロイヌナズナでペクチン合成に関わるガラクツロン酸転移酵素(GAUT1)と高い相同性を示すトマトの遺伝子(LeGAUTL)は、果実成熟過程に伴う発現の増加がみられた。以上からトマトの成熟過程において、ペクチンの分解とともに合成や分解抑制も同時に行われている可能性が示唆された。またペクチン性多糖は、同じ成熟過程にある果実においても、その分解により果皮の軟化に関与するとともに、外果皮や隔壁では合成により果実の形状維持に関わること、果実内部の組織では分解抑制により種子形成の保護に関わることが考えられ、組織の性質や機能に影響を与えていると思われる。
著者
佐藤 忍
出版者
「野生生物と社会」学会
雑誌
野生生物保護 (ISSN:13418777)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.31-42, 2013
参考文献数
16

In contemporary Japan, in order to ensure the sustainability of resources, the traditional practice of hunting is on the decline; this perspective on hunting wild animals is related to conveying a symbolic message to people living in the urban areas. In this report, I comprehensively investigate the concept of "attachment" or "kindness" to animals and try to verify whether the "Matagi" (bear hunters), who still practice traditional hunting in Japan, can be considered cruel. Once, I caught it at a place far away from a hunting area, and they were brought together and discussed. The object reached active hunters, retired hunters, wives, schoolchildren, educators, myself, and many others. Although, hunting appears to be a cruel act, to hunters, hunting comes naturally. However, they are only hunting their feeling are such kinds. We should bear in mind that hunting involves not just the killing of animals but also some special activities closely related to his occupation. I believe that an understanding of wild animals existing among people in the context of Japan's biodiversity would aid the development of the nation.