著者
佐藤 悦子 梅澤 絹子 小林 茂雄
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.59-68, 1998-01-15
参考文献数
8
被引用文献数
2

The purposes of this study are to investigate how the hemline widths of jeans affect the body movements of healthy persons when putting on and taking off jeans, and how they are related to wearing comfortability. In the experiment, four types of jeans with different hemline widths were used. The types were classified as middle-slim (S1), middle-straight (S2), roomy-straight (S3), and soft-middle-straight (S4). Subjects were 30 healthy female university students. They were classified into three groups by body size: large, medium and small. After videotaping the subjects putting on and taking off each type of jeans, each subject was required to answer a sensory evaluation sheet consisting of 21 items using the SD method. They were also asked which leg they mainly used in their daily activities. The results were as follows: 1) With regard to required time for putting on and taking off each type of jeans, significant differences were found among the types of hemline width. For putting on jeans, the longer the time required, the narrower the hemline width was. This was shown as follows: S1, S2&gtS3, S4. Particularly, the large body size group, showed remarkable differences. For taking off jeans, S1 showed significantly longer time, while the large body size group showed significantly longer time than other groups. 2) Concerning the sense of comfort in wearing, S2 and S3 types showed significant differences. Particularly, the small body size group gave the highest points to S2; the items, such as, "suberigayoi," "hadazawarinoyoi," and so on. 3) Regarding which leg is used to step into and out of jeans, it was confirmed that the different types of hemline widths did not affect which leg was used for the movement.
著者
嶋守 一恵 近藤 啓子 小野寺 直人 佐藤 悦子 諏訪部 章 櫻井 滋
出版者
一般社団法人 日本環境感染学会
雑誌
日本環境感染学会誌 (ISSN:1882532X)
巻号頁・発行日
vol.32, no.5, pp.268-274, 2017-09-25 (Released:2018-03-25)
参考文献数
14

手指衛生は医療関連感染防止のために重要な感染対策であるが,その遵守は十分ではない.我々は,看護管理者に積極的な関与を促す「手指衛生向上プログラム」の導入が,擦式アルコール手指消毒薬(ABHR)使用率(L/1,000patient-days)とメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)発生率(件数/1,000patient-days)に与える影響を検討した.本プログラムは看護部目標の成果尺度として,ABHR使用率を一般病棟で15,クリティカル部門で30と設定し,各看護師長に目標達成を義務付けた.また,看護師長会議で毎月のABHR使用率とMRSA検出数を報告し,リンクナースと感染症対策室が目標達成の支援を行った.その結果,一般病棟のABHR使用率は,導入前の平成25年度は9.3であったが,導入後の平成27年度は17.5に増加し(p<0.05),目標を達成した.同時期のMRSA発生率は0.52から0.37に減少した(p<0.05).クリティカル部門のABHR使用率も,平成25年度の41.9から,平成27年度では78.8に増加し(p<0.05),MRSA発生率も1.84から1.63へと減少傾向を示した.以上により,手指衛生の推進を看護部の目標とし,病棟の中心的存在である看護師長の関与のもと組織全体が積極的に取り組むことが効果的であり,本プログラムは手指衛生の向上に有用であることが示唆された.
著者
湯本 理子 佐藤 悦子
出版者
日本地域看護学会
雑誌
日本地域看護学会誌 (ISSN:13469657)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.73-80, 2012-12-31

目的:本研究は,スピリチュアリティ評定尺度(SRS)を用いて,A県内の訪問看護師のもつスピリチュアリティに影響を及ぼす要因を明らかにすることである.方法:A県内の全訪問看護ステーション40か所の訪問看護師244人に対し,無記名自記式アンケート調査を実施し,183人から返信が得られ,うち回答に欠損のない173人(有効回収率70.9%)を解析対象とした.調査項目は,訪問看護師のもつスピリチュアリティをスピリチュアリティ評定尺度(SRS)を用いて測定した.先行文献より抽出されたスピリチュアリティに影響が想定される要因11項目との関連についての分析はt検定,多変量解析は数量化I類によった.結果および考察:平均年齢は44.0歳(±7.8),訪問看護師の経験年数は7.7年(±5.6)であった.訪問看護師としてのスピリチュアリティの平均得点は46.8点(±8.7)で正規分布に近い分布を示した.スピリチュアリティに影響を与えていると思われる11項目との関連は,多変量解析の結果,最も影響していた項目は「スピリチュアリテイに関心がある」「(スピリチュアリテイの)研修会に参加したことがある」であった.本研究において,スピリチュアリティに影響していたものは,「年齢」や「経験」ではなく,訪問看護師のスピリチュアリティに働きかけていくためには,それへの関心と学習の機会が重要であるといった示唆を得た.
著者
佐藤 悦子 小林 茂雄
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.47, no.7, pp.693-700, 1996-07-15 (Released:2010-03-09)
参考文献数
10

同一形態のセミフレアースカートで明き部位の異なる4タイプの実験衣を用いて着脱動作を行わせた.スカートを着脱する場合, 明きの部位が異なると動作の仕方や所要時間, 動作挙動およびイメージや着脱のしやすさなどに影響を及ぼすことが明らかになった.得られた結果は次のようである.(1) 動作の所要時間において明き部位4タイプの有意差は補助動作において顕著であった.(2) ファスナーの開閉操作は, 利き手優先群と明き方向側によって調節する群が見られた.(3) スカートへの脚の出し入れ操作は, 明き部位との関連性は認められず, 利き足および非利き足の使い分けが動作の難易性のとらえ方と関係していると推察される.(4) 明き部位が異なると着用感とイメージにも有意差が認められた.着脱のしやすさは左上前の前明きを最も着脱しやすいと回答する者が有意に多かった.
著者
佐藤 悦子 遠藤 みどり
出版者
山梨県立看護大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2000

平成14年度研究目標:平成12・13年の研究から「在宅療養者および訪問看護師の在宅でケアされること、ケアすることの体験には『ずれ』が生じている」ことが明らかになった。さらに対象を広げ、その信頼性を高める。研究方法:1)研究対象:本研究の趣旨を了解し協力が得られた在宅療養者9名訪問看護師8名2)データ収集方法:半構成的面接法を用いインタビューを1名に対し2回行なった。在宅療養者には「訪問看護を受けていること」を、訪問看護師には「看護を提供していること」をそれぞれ自由に語ってもらった。承諾を得てメモやテープレコーダーに記録し、それをデータとした。3)データ分析方法:データから体験している世界をできる限り忠実に読み取り、研究者が読み取ったものを再度対象者に返し、それを新たなデータに加え分析することで客観性を高めた。研究結果および考察:在宅療養者全員が、「来てくれることで安心」という体験をし、訪問看護師も「訪問が安心感をもたらしている」という体験をしていた。また、ストーマ造設療養者は「細かなところまで教えてもらっている」という体験や疼痛のある療養者は「痛くないように援助してもらっている」という体験をしていた。訪問看護師は療養者が語った看護ケアを提供している体験に加え、変調を予測した予防的な看護ケアやよりよい生活を思考し提供している看護の具体的なケアについての体験もあったが、在宅療養者から語られることはなく、そこに「体験のずれ」があった。目に見える医療処置や疼痛への専門的看護技術の提供は、両者の体験として語られ、両者の明確な自已決定の一致が存在する。しかし、「体験のずれ」は両者の自己決定のずれを表し、それは、看護職者が提供している自己の看護ケアの意味を在宅療養者に語ることの不足に起因していると考える。