著者
河本 大地 豊田 大介 二階堂 泰樹 高 翔 佐藤 絢香 松村 歩美 谷口 空 西山 厚人
出版者
奈良教育大学次世代教員養成センター
雑誌
次世代教員養成センター研究紀要 (ISSN:21893039)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.157-166, 2016-03-31

本稿は、2015年に国が公開した新たなツールである地域経済分析システム(RESAS(リーサス))を、授業で活用するための提案である。RESASを活用することによりどのような授業を行うことができるのかを、中学校社会科(地理的分野)の場合について検討した。①調べ学習としての活用、②授業の入口としての活用、③問題解決学習としての活用の3つについて、計5つの授業案を提示している。検討の結果、RESASの活用はいわゆる「ビッグデータ」をもとにグラフや地図等を容易に作成できる点が大きなメリットとなることがわかった。使い方次第で、知識一辺倒の授業をひと手間で大きく変化させる、強く視覚に訴える授業を構成することができる。また、生徒自らが調べる対象に興味をもって向かうことができる。しかし、教材として用いるには、授業における様々な工夫が必要である。RESASにおける表示の改善も望まれる。
著者
佐藤 努 佐藤 絢 紺野 聖 木幡 修 江井 邦夫 佐藤 幸一
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.48100342, 2013

【はじめに、目的】障害者の自動車運転は,生活関連動作や職業関連動作として位置づけらており,多様化するニーズに即した社会参加を念頭とした支援を進めていく必要がある.障害者の自動車運転再開には,自動車への乗降動作や運転操作などの基本的動作に加えて,事故回避能力や状況判断能力の観点から理学療法士の役割は重要である.しかし,機器操作などの運転技術における専門的な実車検査等を医療サイドのみで実施することは不可能に近く,他職種が関与することが重要であり自動車学校との連携は必須となる.今回,スムーズな運転再開へ向けたシステムの構築および支援体制の確立の一環として福島県内の自動車教習所における障害者の受け入れ状況やその対応等をアンケートにて調査した.【方法】福島県内の指定自動車学校41箇所に対し,アンケート調査を実施した.アンケートは障害者の受け入れの状況および障害者用車両の有無,運転補助装置の詳細など26項目について質問を実施した.回収期間は,平成22年10月から11月末までの2ヶ月間で回収した.【倫理的配慮、説明と同意】自動車学校側に対し調査目的,調査対象などを書面により十分に説明し,同意が得られた場合に限り返送してもらうこととした.【結果】回答数は全41箇所中21箇所で,回答率51.21%であった.障害者の受け入れが可能は9箇所であり,条件付きであれば可能が12箇所であった.可能な障害分類においては右上肢障害,左上肢障害が12箇所,両上肢はわずか3箇所であった.また,右下肢障害は7箇所,左下肢障害11箇所,両下肢障害6箇所であった.障害者用車両の保有は4箇所であり,手動運転補助装置は6箇所であった.手動運転補助装置の具体的詳細に関しては,ハンドル回旋装置6箇所,パワステ付きハンドル5箇所,手動アクセル,ブレーキ4箇所,左ウィンカー4箇所であった.足動運転補助装置は4箇所であった.足動運転補助装置の具体的詳細に関しては,足踏みウィンカー1箇所,シフトチェンジ1箇所,サイドブレーキ2箇所,ホーン,ライトスイッチ1箇所,左足用アクセルペダル4箇所,ドアの開閉装置0箇所,パワステ3箇所であった.障害者に対する対応においては,施設内の段差等のバリアの解消されている教習所は5箇所,車椅子対応のトイレ設置は2箇所,トイレ介助が可能である自動車学校は5箇所であった.通常型送迎車における送迎が可能である自動車学校は11箇所,車椅子対応型送迎車は0箇所であった.また,施設内の移動介助が可能である教習所は7箇所,階段昇降介助が可能である自動車学校は6箇所という回答であった.【考察】障害者の運転再開では,道路交通法において身体的特性や障害の程度により安全に自動車運転が行える範囲での運転免許種別(臨時適性検査)が整備されている.また,管轄の警察署における適性検査も実施される.これらは,運転再開における設定条件の変更が主な目的となっている.運転技術の習得は,実車講習による運転操作判断能力などの運転適正を,より身近な環境で,より多くの障害者が習得できるシステムの構築が必要となる.そのため,各地域における自動車学校の協力が不可欠であり,協力体制を把握することが必要である.今回の結果より,福島県内自動車学校の多くは,条件付きであれば障害者への教習が可能であり,福島県各地域(県北地域,県中地域,県南地域,会津地域,いわき地域,相双地域)に存在していることが分かった.しかし,障害者への移動介助支援や車椅子対応のトイレの設置,段差のバリア解消など障害者への対応が未整備の自動車学校が多いことや障害者用車両,運転補助装置(手動運転補助装置,足動運転補助装置)を保有している自動車学校が少ないことから,個々の障害やニーズに即した自動車教習が困難な状況であると思われる.今後は,各医療機関に対し現段階における情報開示を進めていくことにより,スムーズな運転再開を図ることができると思われる.また、その地域に沿った整備や情報交換の方法などを含め地域支援体制(ネットワークづくり)を確立していく必要性が示唆された.【理学療法学研究としての意義】障害者の積極的な社会参加(自動車運転など)を念頭とした支援を進めていくにあたり,他職種(自動車学校など)が関与することが重要であり,各地域における状況把握が求められる.今回の自動車学校側へのアンケート調査は,その一端を担っていると言える.
著者
佐藤 努 佐藤 絢 木幡 修 鈴木 宏幸 坂田 真也 大波 清貴
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2016, 2017

<p>目的</p><p></p><p>脳卒中片麻痺患者における就労支援や社会参加を促していく上で,移動手段の選択は重要であり,その後の活動範囲に大きく影響を及ぼしている。自動車運転は,移動手段のひとつを担っているが,心身機能等の状態や制度上の問題により,積極的な運転再開と至っていないのが現状である。今回,アンケート調査を実施し自動車運転再開における現状を把握することを目的とした。</p><p></p><p>方法</p><p></p><p>2014年4月から2016年3月までに脳卒中片麻痺を呈して,当院回復期病棟へ入院した148名中,当院が独自におこなっている自動車運転評価を実施し,自宅退院となった37名を対象とした。方法としては,郵送にて対象者に対し調査目的,調査対象などを書面により十分に説明し,同意が得られた場合に限り返送してもらうこととした。アンケート内容に関しては,退院後における自動車運転の実施の可否など,12項目について質問形式にて実施し,2016年5月から7月末までの2ヶ月間を回収期間とした。</p><p></p><p>結果</p><p></p><p>回答数は,81.0%(30名/37名中)であった。アンケート結果は,自動車運転免許の保有者は24名,退院後に更新手続きを行った12名,入院中および退院後に臨時適正検査を受けた15名であった。自動車運転に関しては,現在も自動車運転を行っている者は21名であり,毎日運転をしている16名,週の半分程度1名,週に1回程度2名,月に1回程度2名であった。さらに,自動車運転の目的においては,仕事12名,買い物16名,移動手段14名,用事12名,趣味活動9名,特に目的は無い2名であった。運転を行っていない者は9名であり,入院前から1名,退院後から6名,半年前から2名であった。運転を行わなくなった理由に関しては,運転操作が困難のため1名,運転免許を有していないため1名,自動車が無いため1名,退院時に運転許可が出なかったため1名,特に理由は無い1名,家族の同意が得られないため3名であった。また,自動車運転における必要性に関しては,生活で必要であると答えた者25名であり,必要理由として,仕事の継続のため13名,楽しい生活のため12名,1人で自由に移動するため17名,便利だから14名であった。必要性が無いと答えた者3名の理由としては,自動車運転を諦めた1名,送迎サービスを利用1名,生活の中で必要性が無い2名,家族の協力があるため3名であった。</p><p></p><p>結論</p><p></p><p>日常生活における必要性だけではなく,社会参加や就労促進において自動車運転の可否は,移動手段として大きな影響を与えていることが推測された。自動車運転を取り巻く社会情勢の変化や道路交通法の改正により,障がい者における自動車運転の再開には,多くの課題がある。今後,自動車運転再開を円滑に遂行するにあたり,運転技能等の心身機能面や事故回避能力等の高次脳機能面などの関連性も含め検討し,障がい者の自動車運転支援プログラム確立へ向け,関係機関や家族との連携を図り,安全な移動の保障を進めていく必要性が示唆された。</p>
著者
佐藤 努 佐藤 絢 木幡 修 鈴木 宏幸 坂田 真也 大波 清貴
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.44 Suppl. No.2 (第52回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1412, 2017 (Released:2017-04-24)

目的脳卒中片麻痺患者における就労支援や社会参加を促していく上で,移動手段の選択は重要であり,その後の活動範囲に大きく影響を及ぼしている。自動車運転は,移動手段のひとつを担っているが,心身機能等の状態や制度上の問題により,積極的な運転再開と至っていないのが現状である。今回,アンケート調査を実施し自動車運転再開における現状を把握することを目的とした。方法2014年4月から2016年3月までに脳卒中片麻痺を呈して,当院回復期病棟へ入院した148名中,当院が独自におこなっている自動車運転評価を実施し,自宅退院となった37名を対象とした。方法としては,郵送にて対象者に対し調査目的,調査対象などを書面により十分に説明し,同意が得られた場合に限り返送してもらうこととした。アンケート内容に関しては,退院後における自動車運転の実施の可否など,12項目について質問形式にて実施し,2016年5月から7月末までの2ヶ月間を回収期間とした。結果回答数は,81.0%(30名/37名中)であった。アンケート結果は,自動車運転免許の保有者は24名,退院後に更新手続きを行った12名,入院中および退院後に臨時適正検査を受けた15名であった。自動車運転に関しては,現在も自動車運転を行っている者は21名であり,毎日運転をしている16名,週の半分程度1名,週に1回程度2名,月に1回程度2名であった。さらに,自動車運転の目的においては,仕事12名,買い物16名,移動手段14名,用事12名,趣味活動9名,特に目的は無い2名であった。運転を行っていない者は9名であり,入院前から1名,退院後から6名,半年前から2名であった。運転を行わなくなった理由に関しては,運転操作が困難のため1名,運転免許を有していないため1名,自動車が無いため1名,退院時に運転許可が出なかったため1名,特に理由は無い1名,家族の同意が得られないため3名であった。また,自動車運転における必要性に関しては,生活で必要であると答えた者25名であり,必要理由として,仕事の継続のため13名,楽しい生活のため12名,1人で自由に移動するため17名,便利だから14名であった。必要性が無いと答えた者3名の理由としては,自動車運転を諦めた1名,送迎サービスを利用1名,生活の中で必要性が無い2名,家族の協力があるため3名であった。結論日常生活における必要性だけではなく,社会参加や就労促進において自動車運転の可否は,移動手段として大きな影響を与えていることが推測された。自動車運転を取り巻く社会情勢の変化や道路交通法の改正により,障がい者における自動車運転の再開には,多くの課題がある。今後,自動車運転再開を円滑に遂行するにあたり,運転技能等の心身機能面や事故回避能力等の高次脳機能面などの関連性も含め検討し,障がい者の自動車運転支援プログラム確立へ向け,関係機関や家族との連携を図り,安全な移動の保障を進めていく必要性が示唆された。