著者
棟朝 雅晴 高井 昌彰 佐藤義治
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.35, no.9, pp.1815-1827, 1994-09-15
参考文献数
19
被引用文献数
4

本論文では集団分割に基づく並列遺伝的アルゴリズムにおいて、効率的な個体交換を行う交換アルゴリズムを提案する。集団分割による並列遺伝的アルゴリズムは、個体からなる集団をいくつかの部分集団に分割し、それぞれを並列計算機のプロセッサに割り当てて遺伝的アルゴリズムを実行することにより、中粒度の並列処理を実現するものである。この手法においては集団の一様化による探索効率の減沙を防ぐために部分集団間で通信ネットワークを介した個体交換を行う必要がある。マルチプロセッサシステムにおいてプロセッサ間通信量を減少させることがその性能を向上させる上で重要であるが、並列遺伝的アルゴリズムに関する従来の研究では、個体の交換がその必要性とは関わりなく一定世代ごとまたは一定確率で行われており、並列処理の効率が悪いと考えられる。本諭文で提案する個体交換アルゴリズムSigma-Exchangeは各部分集団内の適合度分布を観測し、適合度分布の標準偏差の値が一定割合減少した場合にのみ交換の手続きを起動することにより、少ないプロセッサ間通信でより精度の高い解を速く得ることを目的としている。提案する手法の有効性を示すために、非同期のメッセージ受渡しによる中粒度並列計算機であるマルチコンビュータネットワークを前提としたシミュレーション実験を行った。その緒果、代表的な組合せ最適化間題について、提案する手法が有効であることが示された。
著者
越中 勝行 高井 昌彰 佐藤義治
雑誌
情報処理学会研究報告グラフィクスとCAD(CG)
巻号頁・発行日
vol.1993, no.92(1993-CG-065), pp.17-24, 1993-10-22

コンピュータグラフィックスにおいて、煙、炎、雲のような境界の曖昧なオブジェクトやその自然な振る舞いを可視化するためのモデリングが必要とされている。近年、このような現象に対してparticle systemによるモデリング手法が提案されているが、粒子の複雑な振る舞いを表現するために各粒子間の相互作用を考慮すると膨大な計算量が必要となる。一方、セル構造オートマトンは形式的な並列計算モデルで、比較的単純な状態遷移規則によって複雑な挙動を表現できるという特徴がある。そこで、本論文では、Margolus近傍形を用いたセル構造オートマトンに力学的量を付加した粒子運動モデルを提案し、そのグラフィックス応用の幾つかを基に本モデルの適用性を検討する。
著者
小幡 明彦 佐々木 和雄 佐藤義治 上野 英雄
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1996, no.69, pp.1-6, 1996-07-25
被引用文献数
6

ビデオ画像通信を用いて遠隔のオフィスの状況を見せることで、近接感を提供するビデオアウェアネスの研究が注目されている。オフィスが近接していることにより、思い立った時、廊下で偶然出会った時等、偶発的に会話が行われ、共同作業者との人間関係の維持や、新しいプロジェクトの生成に重要な役割を果たしていることが知られている。本稿では、近接者間で偶発的に発生するコミュニケーションのモデルを示し、モデルに基づく設計により、過去の実験システムで明らかにされた問題点が解決できることを示す。また、オフィスでのコミュニケーション観察結果、簡易なプロトタイプによる予備実験の結果を報告し、ビデオアウェアネスシステムの利用効果について考察する。A great interest has developed in providing awareness via video to support a sense of proximity. Proximity permits unplanned contact and provides mechanism for bringing together potential partners as well as for maintaining existing collaborative relationships. In this paper, we propose an unplanned communication support method based on a group interaction model and show how this method solve problems addressed in previous researches. Effects of video awareness system is also discussed based on observations of office communication and our experiment using a preliminary prototype system.
著者
山口 直彦 棟朝 雅晴 赤間 清 佐藤義治
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.43, no.7, pp.2359-2367, 2002-07-15
参考文献数
10
被引用文献数
1

インターネットに代表されるパケット通信ネットワークにおいて,ネットワーク資源を有効に使用するという観点から,遺伝的アルゴリズムを用いて複数の経路を生成し,それらの代替経路間で負荷を分散するアルゴリズムが提案されている.本論文では遺伝的アルゴリズムを用いた負荷分散ルーティングに対し,評価の高速化によりネットワークの状態観測を迅速に行うため,経路の評価にリンクの負荷を考慮したメトリックを導入し,さらにそれを用いてネットワークの負荷状態を反映した代替経路生成を行う遺伝的操作の実装を行う.ネットワークシミュレータを用いたシミュレーション実験により提案する手法の有効性を検証した.In packet switching networks such as the Internet,to utilize network resources effectively,routing algorithms with genetic algorithms have been proposed which generate alternative routes by genetic operators to balance loads among them and prevent congestions.This paper proposes adaptive genetic operators based on link load metric for the genetic routing algorithms in order to realize rapid evaluations of network load status and effective generations of alternative routes.Through simulation experiments performed on a network simulator,we show the effectiveness of the proposed method.