著者
石田 智子 小沼 守 小野 貞治 村上 彬祥 佐野 忠士
出版者
獣医麻酔外科学会
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.7-12, 2014 (Released:2014-10-29)

ウサギ160症例における麻酔関連偶発死亡症例を調査した。American Society of Anesthesiologists Physical Status(ASA)分類に必要であった検査のうち、ASA分類ⅠでもX線検査で4.7%(2/43)、ASA分類IIの血液検査で22.6%(12/53)、画像診断で30%(15/50)に異常が認められたため、積極的な術前検査によりできるだけ信頼度の高いASA分類をする必要性があると考えられた。避妊手術や去勢手術では麻酔関連偶発死亡例はいなかったが、子宮疾患や尿路結石、消化管閉塞の症例のうち、麻酔危険度の高いASA分類III以上(ASA分類III1例;ASA分類IV2例)で麻酔関連偶発死亡例が各1例あった。麻酔関連偶発死亡症例は全体で1.9%(3/160)となったが、すべて24時間以内(手術開始1時間後2例、18時間後1例)に心停止で死亡した。今回の結果から、ASA分類III以上のウサギでは、麻酔関連偶発死亡率が高くなるため、手術開始から24時間以内は十分なモニタリングには行うべきであると考えられた。
著者
川添 永典 五藤 武志 佐野 忠男 吉田 正義
出版者
Japanese society of turfgrass science
雑誌
芝草研究 (ISSN:02858800)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.13-20, 1987

芝草の侵入害虫チガヤシロオカイガラムシ (<I>Antonzna gyanais</I> Maske11) の経済的な合理的な防除法を確立するため, 四国地方のゴルフ場におけるこの虫の分布状態を調査するとともに, 接触殺虫剤・浸透殺虫剤を用いてその防除効果に影響する要因を分析して調査し, 検討した。<BR>(1) 高知県下の8つのゴルフ場でこの虫による被害を調査したところ, 1つのゴルフ場を除いて, 7つのゴルフ場でこの虫の被害がみられた。この虫の伝播は芝草の移動によって行われるので, 芝草の生産地ではこの虫の防除を励行するとともに, 芝草を入れる場合はそれに寄生する害虫を防除して定植することが望ましい。<BR>(2) 高知県の土佐カントリークラブにてこの虫の2化期の1令虫の発生する時期を中心にして, 1984年7月31日と8月11日個々に各種農薬を散布して防除効果を比較した。防除価の最も高いのはスプラサイド乳剤1000倍3l区で, 88.5% (7月31日) と79.9% (8月11日) の数値が得られた。しかし, この虫は単性生殖を営み, 産仔数は約200, 年2回の発生であるので, 高い防除効果でもすぐ元の密度にかえることが推察される。<BR>(3) ビニフェート乳剤1000倍3l区では66.2% (7月31日) と63.0% (8月11日) の数値が得られた。<BR>この両者の成分量を比較すると, スプラサイド乳剤は50%, ビニフェート乳剤は24%であるので, ビニフエート乳剤の場合はスプラサイド乳剤の約1/2の成分量しか散布していないことになる。もし, ビニフェート乳剤500倍3l/<I>m</I><SUP>2</SUP>で散布したならより高い防除価を得られたと考えられる。<BR>ダイアジノン乳剤は1000倍1l区では35.1% (8月11日) と低い防除価である。これはダイアジノン乳剤はガス化があるため残効性が短かいことによると考えられる。<BR>(4) 7月31日と8月11日における両散布区の防除効果の傾向はほぼ同様な傾向を示した。2化期は1化期に比較してこの虫の密度は高く, 虫の生育は不斉一でいつでも卵が存在することが推察される。<BR>(5) 1985年, 浸透殺虫剤の粒剤 (アルフェート粒剤SDI―83Y3%粒剤をコガネムシ類の幼虫に使用する薬量 (9<I>g</I>~10<I>g</I>/<I>m</I><SUP>2</SUP>) で防除試験を行ったが, 防除効果はあがらなかった。また, この虫の活動期にSDI―83Y粒剤1Og, /<I>m</I><SUP>2</SUP>回散布 (7月27日と8月19日) を行ったが, 防除効果はあがらなかった。<BR>(6) 浸透殺虫剤SDI―83Y3%粒剤を1<I>m</I><SUP>2</SUP>当り50gを散布して防除価を調べたところ, 86.2%という比較的高い数値が得られた。この虫に対して浸透殺虫剤を使用する場合は, 少なくともコガネムシ類の幼虫に対して使用する以上の薬量を施用する必要があろう。<BR>(7) 吸収口型のチガヤシロオカイガラムシに対して浸透殺虫剤を使用する場合は, 粒剤より乳剤の方が有利であろう。また, 急速に植物体内の濃度を高めるために芝刈りをして散布することも有効と思われる。<BR>(8) 芝焼きを1985年3月7日に, 不利な条件下で行ったが, 比較的防除効果があがった。芝草の根元が乾燥する12月~1月行えば, さらによい効果が得られるものと思われる。
著者
佐野 忠史
出版者
近畿大学原子力研究所
雑誌
近畿大学原子力研究所年報 = Annual Report of Kindai University Atomic Energy Research Institute (ISSN:03748715)
巻号頁・発行日
no.57, pp.9-22, 2021-03-31

[要旨]241Amは原子炉運転中の核燃料或いは使用済燃料中に含有されている半減期が432.6年のα核種である。241Amの中性子捕獲断面積は大きな事から原子炉の核設計上、考慮すべき要な核種である。一方、核分裂断面積については捕獲断面積と比較し小さいが、高速炉や加速器駆動未臨炉での核変換の対象となっていることから、核分裂断面積の高精度化は重要である。そこで、本研究では241Am核分裂断面積の精度向上の観点から、京都大学臨界集合体実験装置にH/235Uが約49の炉心を構築し241Am/235U核分裂率比を測定した。その結果、241Am/235U核分裂率比として0.0451±0.0002を得た。MVP3.0とJENDL-4.0を用いた場合、そのC/E値は0.986±0.004であった。更に異なる核データライブラリに収納されている241Am断面積がC/E値に与える影響を検討するために、241Amのみ使用する断面積をJENDL-4.0からENDF/B-VII.1またはJEFF-3.2に変更した計算を実施した。その結果、ENDF/B-VII.1を用いた場合は0.975±0.004、JEFF-3.2を用いた場合は0.954±0.004であった。[Summary]241Am is an α-nuclide with a half-life of 432.6 years, which is contained in nuclear fuels during reactor operation and spent fuels. 241Am is one of the important nuclides in the nuclear design of nuclear reactor because of its large neutron capture cross section. On the other hand, the fission cross section of 241Am is smaller than the capture cross section, but it is important to improve the accuracy of the fission cross section because 241Am is a target nuclide of transmutation in fast reactors and accelerator-driven systems.In the present study, a critical core with about 49 of H/235U nuclide ratio in the Kyoto University Critical Assembly was constructed and 241Am/235U fission rate ratio was measured. As a result, the measured 241Am/235U fission rate ratio was 0.0451 ± 0.0002. The C/E value with MVP3.0 and JENDL-4.0 lead to 0.986 ± 0.004. On the other hand, the further MVP3.0 calculations, where only the 241Am cross sections were taken from JENDL-4.0, ENDF/B-VII.1 or JEFF-3.2 all other nuclides were done from JENDL-4.0, were carried out to examine an impact of the difference of 241Am cross section among these nuclear libraries to the fission rate ratio. The C/E values calculated with respective 241Am cross sections from ENDF/B-VII.1 and JEFF-3.2 were 0.975±0.004 and 0.954±0.004, respectively.
著者
岡田 丈夫 佐野 忠
出版者
日本細菌学会
雑誌
実験医学雑誌
巻号頁・発行日
vol.16, no.9, pp.923-945, 1932

著者ハ毎日同一牧場ヨリ得タル且ツ可及的滅菌的ニ探取セシメタル生混合牛乳ヲ探集後1時間以内ニ極メテ注意シテ運搬セシメ毎日共都度櫨査ヲ施シ新鮮ナル状態ニアルカ否ヤカヲ櫨定ノ上燕於テ購入シ. 直ニ冷藏庫ニ保管シ20°. 40°. 60°. 80°. 100°. 120°. 140° 等ノ温度ニ30分間加熱シ. 「共加熱牛乳ヲ以テ幼マウス」ヲ飼養試驗セリ. 「而シテ共試驗ニ供セシ幼マウス」ハ儘重4-5瓦ニシテ健康ニシテ運動活濃ナル且ソ可及的同腹ノ幼マウスヲ選揮ノ上試驗ニ供セリ。<BR>尚ホ上記條件ヲ具備スル多數ノ豫備幼マウス3ヲ飼養シ速ニ補充ヲナサシムル準備ニ供セリ。<BR>而シテ各ζ異ナレ'レ温度ヲ加ヘタレ牛乳ヲ用ヒテ幼マウスヲ飼養シ其消化及ビ盟重ノ壇加竝ビニ動物ノ死亡率ヲ検索シ。各項ニ就キ10頭ヅ・ヲ飼養シ其ノ平均値ヲ求メ. 本試驗ノ成績トナセリ。<BR>尚ホ進ンデ余ノ前編ニ於テ既ニ發表セシ所ニヨリ明瞭トナレル種々ノ豊類中牛乳湾化ヲ助クルCaCl<SUB>2</SUB>及ビNa<SUB>4</SUB>P<SUB>2</SUB>O<SUB>7</SUB>ヲ牛乳中ニ加ヘ甚聾類液混加牛乳ヲ用ヒテ動物ヲ飼養セリ. 而シテ共稀繹液製法ハ生牛乳ヲ以テ璽類液混加生牛乳ヲ作り・其濃度ヲ1/10molヅ・低下スルmol生牛乳液ニ製作シ夫レニ同一温度ヲ加ヘ. 或ハ最初ニ同一温度ニ加熱セル牛乳ヲ以テ各1/10molヅ、低下スル前記聾類牛乳海ヲ製シ. 其各製品ヲ以テ幼マウスヲ飼養シ其ノ消牝發育ノ朕態ヲ観察セリ。<BR>次イデ. 尚ホ前記CaCl<SUB>2</SUB>. Na<SUB>4</SUB>P<SUB>2</SUB>O<SUB>7</SUB>ノ稀葎溶液及ビ「ベプトン・ステルケ・ゲラチン」ヲ前離ノ隼牛乳ニ混加シ各 異ナレル温度ニ加熱シタルモノヲ製シ. 幼マウスヲ飼養シ或ハ生牛乳ニ最初CaCl<SUB>2</SUB>久ハNa<SUB>4</SUB>P<SUB>2</SUB>O<SUB>7</SUB>ペプトン・ステルク・グラチン等ヲ混加シ. 然ル後ニ前同様ニ各く異ナル温度ヲ加ヘタルモノヲ作製シ幼マウスヲ飼養セリ。<BR>尚ホ均質牛乳ヲモ對照的ニ試驗ニ供シ. 毎同食餌投奥前體重ヲ測定シ. 消化竝ビニ發育状態ヲ観察セリ。<BR>其ノ試驗ヲナシタル10頭ヅ、ノ平均數ヲ算シ各項ノ試驗成績ノ値トナセリ。<BR>而シテ共ノ結果トシテ生牛乳ニ温度ヲ加フルニ從ヒ温度竝ビニ温度作用時間ニ逆比例シテ動物ハ豪育不瓦ナリ。<BR>Na<SUB>4</SUB>P<SUB>2</SUB>O<SUB>7</SUB>及ビCaCl<SUB>2</SUB>ハ或一定量ニ於テ牛乳ヲ浩化可良ナラシムルモノニシテ從ツテ動物發育艮ナレドモ過剰竝ビニ少量ノ場合ニハ不艮ナル成績ヲ得タリ。<BR>而シテ「ベプトン・ステルク・ゲラチン」ヲ牛乳ニ混加スルニ於テハ共混加前ニ於テ熱ヲ加洋タル場合ニハ高熱ヲ加ヘタルモノ瓦好ニシテ。混加後ニ熱ヲ加ヘタルモノハ低熱ニ於テ饅重肇育艮好ナル結果ヲ得タリ。而シテ多數ノ幼マウス飼養ニ於テ抵抗力最モ強キハ粟毛及ビ栗斑ノモノニシテ黒色及ビ黒斑ハ之レニ次ギ. 白色ハ最モ抵抗力弱キ事ヲ實驗セリ。<BR>尚又Na<SUB>4</SUB>P<SUB>2</SUB>O<SUB>7</SUB>ニ依ル榮養品ハCaCl<SUB>2</SUB>ニ依ル榮養品ヨリモ發育佳良ニシテ。ステルケニ依ル榮養品ハ他ノ「ベプトン」竝ビニ「ゲラチン」ニ依ル榮養品ヨリモ頁好ナル發育ヲ得ルモノナリト結論セリ。
著者
名内 泰志 亀山 高範 宇根崎 博信 三澤 毅 佐野 忠史 八木 貴宏
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会 年会・大会予稿集 2011年春の年会
巻号頁・発行日
pp.170, 2011 (Released:2011-04-18)

KUCA C架台で軽水減速未臨界炉心を作成し、炉外の熱中性子捕獲反応で発生する2.223MeV ガンマ線を測定した。炉外で熱中性子束分布を計測し、それをもとに2.223MeV ガンマ線検出効率を炉心組成情報を用いずに求め、炉外での捕獲反応率を導出した。同反応率は、炉心組成をもとに中性子輸送計算で求めた中性子漏洩数と合致した。