著者
作田 庄平
出版者
日本マイコトキシン学会
雑誌
マイコトキシン (ISSN:02851466)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.217-224, 2013-07-31 (Released:2013-12-10)
参考文献数
30

アフラトキシン汚染防除に有効な抗カビ剤は無く,これまで効果的なアフラトキシン汚染防除法は存在しなかった.しかし最近,アフラトキシン非生産株を圃場に施用し,生産株と拮抗させることでアフラトキシン汚染を防除するバイオコントロールの手法が実用化された.また,アフラトキシン生産阻害物質を生産する細菌を用いる手法の有用性も示されている.本稿では,バイオコントロールによるアフラトキシン汚染防除の有用性と問題点について概説する.
著者
作田 庄平
出版者
マイコトキシン研究会
雑誌
マイコトキシン (ISSN:02851466)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.79-86, 2010-07-31
被引用文献数
16 4

<i>Aspergillus parasiticus</i>によるアフラトキシン生産あるいは<i>Fusarium graminearum</i>によるトリコテセン生産に対する阻害活性を指標として,微生物の代謝物および精油を対象に活性物質の探索を行った.その結果,放線菌の生産するアフラスタチン類,ブラストサイジンAおよびS,ジオクタチンAがアフラトキシン生産を強く阻害することを見出した.また,精油成分であるディルアピオール,アピオールおよびスピロエーテルがアフラトキシンG<sub>1</sub>を特異的に阻害することを見出し,さらにスピロエーテルはトリコテセン生合成の鍵酵素であるTRI4の酵素活性を阻害しトリコテセン生産を抑制することを示した.また,特異的なトリコテセン生産阻害物質として精油からプレコセン類およびピペリトンを単離した.得られた阻害物質はアフラトキシンあるいはトリコテセン汚染防除剤開発におけるリード化合物として有用であり,それらの作用点はより効果的な薬剤を得るために重要であるばかりでなく,カビの二次代謝産物生産調節機構を解明する上での貴重な情報を与える.
著者
熊谷 進 小西 良子 作田 庄平 高鳥 浩介 PRAPEUK Tangmunkhong AMNART Poapolathep
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

カビ毒高濃度汚染地域であるタイにおいて、カビ毒を代謝し解毒する微生物や動物組織を探索するために、タイのカセサート大学と共同で収集したカッサバ栽培農地を中心とした土壌から分離した細菌と真菌のカビ毒代謝活性を調べた。カビ毒としてアフラトキシン(AF)、オクラトキシンA(OA)、ゼアラレノン(ZEA)を各試料に添加し培養した後に培養物を分析に供した。その結果、一部の菌によってAFB1とOAが代謝変換されることが認められた。また、タイ中央部において飼育されているウマ・ヒツジ・ブタの糞便および糞便に由来する嫌気性菌による上記カビ毒の代謝も合わせ調べたが、明瞭な代謝変換は認められなかった。動物組織に関しては、ブタやニワトリ等の家畜ならびにマウス等の実験動物の肝臓組織によるAFB2の代謝およびヤギ組織におけるゼアラレノンの代謝を検討したところ、各種動物の肝臓分画によるAFB2からAFB1への代謝の可能性が示唆され、ヤギの諸臓器におけるゼアラレノンからゼアラレノールへの代謝が認められた。