著者
熊谷 進
出版者
日本マイコトキシン学会
雑誌
マイコトキシン (ISSN:02851466)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.15-21, 2008 (Released:2008-04-01)
参考文献数
11
被引用文献数
1 1

エルゴティズム、ATA症(alimentary toxic aleukemia)、七面鳥X病以外にも多数の人や動物の疾病が、かび毒を原因としたものであることが提唱されてきた。その例として、中国等におけるアフラトキシンによる人の肝臓がん、インドやケニヤで発生した人や動物の急性アフラトキシン中毒症、南アフリカ等におけるフモニシンによるウマの白質脳軟化症や人の食道がん、バルカン地方におけるオクラトキシンによる人の腎症などが挙げられる。最近では人の神経管欠損へのフモニシンの関与が提唱されている。しかし、こうした教科書的に語られるかび毒に起因する疾病は、必ずしも疫学的あるいは毒性学的証拠に十分に裏付けられているわけではなく、広く受け入れられているかび毒の毒性機序にも未解決の問題が残っているように考えられる。その例として、アフラトキシンの化学構造と急性毒性との関連、腎症と尿路系腫瘍におけるオクラトキシンAの関与、動物種によるフモニシン毒性の顕著な差異などが挙げられるであろう。
著者
村上 宝久 熊谷 進
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.31, no.12, pp.1370-1380, 1977-12-20 (Released:2011-10-19)
参考文献数
24

注射による三角筋拘縮症は, 三角筋部(主に中央部)に行われた筋肉内注射の影響によつて筋線維に変性(線維化)が起こり, 筋肉の伸張性が減じて拘縮を発生し, 肩の機能に障害をもたらすものである. そして, 三角筋部の主として肩峰部に線維性索状化を発生することが多いため, 肩の外転位拘縮(内転制限)を主徴候とする. 三角筋部は, その解剖学的特殊構造よりみて, 障害を受ければ容易に拘縮が発生する要素を多分に含んでおり, 大腿四頭筋以上に危険な注射部位といえる.今回, 我々は, 昭和41年より51年にかけて, 当科を訪れた注射による三角筋拘縮症の44例55肢について各方向より検討を加え, いささかの知見を得たので報告する. また本症の治療については, 大腿四頭筋拘縮症と同様にいまだ確立されたものがないのが現状であり, その手術適応, 手術時期, 手術方法などについても, 我々の考えを述べてみる.
著者
渡邉 誠 熊谷 進 田口 收
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
年次大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.195-196, 2007

If a plastic eraser is placed in liquid nitrogen it will explode. The characteristics of explosion of the eraser were studied experimentally. The most probable cause of the explosion was cryopumping of a subsurface void. After boiling on the surface of the eraser, liquid nitrogen penetrates into the eraser and then flash evaporates in the subsurface void. A cryopumping model was proposed to capture the unique characteristics of the eraser frozen in liquid nitrogen.
著者
熊谷 進 小西 良子 作田 庄平 高鳥 浩介 PRAPEUK Tangmunkhong AMNART Poapolathep
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

カビ毒高濃度汚染地域であるタイにおいて、カビ毒を代謝し解毒する微生物や動物組織を探索するために、タイのカセサート大学と共同で収集したカッサバ栽培農地を中心とした土壌から分離した細菌と真菌のカビ毒代謝活性を調べた。カビ毒としてアフラトキシン(AF)、オクラトキシンA(OA)、ゼアラレノン(ZEA)を各試料に添加し培養した後に培養物を分析に供した。その結果、一部の菌によってAFB1とOAが代謝変換されることが認められた。また、タイ中央部において飼育されているウマ・ヒツジ・ブタの糞便および糞便に由来する嫌気性菌による上記カビ毒の代謝も合わせ調べたが、明瞭な代謝変換は認められなかった。動物組織に関しては、ブタやニワトリ等の家畜ならびにマウス等の実験動物の肝臓組織によるAFB2の代謝およびヤギ組織におけるゼアラレノンの代謝を検討したところ、各種動物の肝臓分画によるAFB2からAFB1への代謝の可能性が示唆され、ヤギの諸臓器におけるゼアラレノンからゼアラレノールへの代謝が認められた。