著者
保坂 哲朗 栗本 実咲 沼田 真也
出版者
首都大学東京 大学院 都市環境科学研究科 観光科学域
雑誌
観光科学研究 (ISSN:18824498)
巻号頁・発行日
no.10, pp.57-64, 2017-03-15

昆虫は地球上の生物多様性の大部分を占め、生態系のサイクルにおいて重要な役割を担うにも拘らず,世界一般的に認知度や好感度の低い生物である.昆虫に対するネガティブなイメージは欧米社会で特に顕著であり,人々が昆虫の保全に関心を持たない大きな要因となっている。一方で,日本は古くから昆虫に親しむ世界でも稀な文化を持ち,現在も昆虫に関連した多くのツーリズムが存在する「昆虫文化先進国」である.したがって本稿では,日本における昆虫を対象とした鑑賞文化の歴史,現代の昆虫ツーリズムの内容,海外の鑑賞文化との比較によって,日本の昆虫文化の特徴を浮き彫りにする.さらに、日本の昆虫ツーリズムの課題と世界の昆虫保全に向けた可能性について展望する.
著者
生亀 正照 沼田 真也 保坂 哲朗
出版者
日本景観生態学会
雑誌
景観生態学 (ISSN:18800092)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.139-148, 2014-12-25 (Released:2015-12-25)
参考文献数
38
被引用文献数
1

多摩丘陵で発見された絶滅危惧種タマノホシザクラの分布と多摩ニュータウン(以下NT)開発との関連性を明らかにするために,本種の分布調査を行なった.これまで本種は約100個体が生育すると考えられていたが,八王子市と町田市に多摩市を加えた3市の27個所に177個体が生育していることが明らかになった.うち81.9%がNT区域内に,17.5%が隣接する町田市の片所谷戸の二次林に生育し,NT区域における本種の生育地は全て東京都施行区域であったが,現在の管理者は異なっていた.胸高直径(DBH)と年輪解析をもとに推定した樹齢とNT開発年代の関係をみると,生育地の開発が行われた1980年代には,最も大きなサイズの個体でさえ幼苗か若齢木であったことが示唆された.また,公園管理者の資料には一部の個体がヤマザクラとして記載され,現在も同名の樹名板もつけられていたこと,そして東京都のNT開発資料から,自生地と推察される片所谷戸のような二次林からヤマザクラの稚樹が移植された可能性が高いと考えられた.以上のことから,現在のタマノホシザクラの分布は,自生地が僅かに残っている一方,東京都によるNT開発の際の人為的な植栽が強い要因として働いていると結論づけられた.本種のいくつかの個体群は10年間で消滅していたが,片所谷戸では,近年のボランティアによる二次林管理の再開によって萌芽個体数は増加していたため,タマノホシザクラの個体群の保全と持続可能な利用を維持するには,周期的な伐採や下草刈りなどの二次林の管理を,個体群の生育状況に合わせて適切に行うことが重要であると考えられる.
著者
保坂 哲朗 栗本 実咲 沼田 真也
出版者
首都大学東京 大学院 都市環境科学研究科 観光科学域
雑誌
観光科学研究 = The international journal of tourism science (ISSN:18824498)
巻号頁・発行日
no.10, pp.57-64, 2017-03

昆虫は地球上の生物多様性の大部分を占め、生態系のサイクルにおいて重要な役割を担うにも拘らず,世界一般的に認知度や好感度の低い生物である.昆虫に対するネガティブなイメージは欧米社会で特に顕著であり,人々が昆虫の保全に関心を持たない大きな要因となっている。一方で,日本は古くから昆虫に親しむ世界でも稀な文化を持ち,現在も昆虫に関連した多くのツーリズムが存在する「昆虫文化先進国」である.したがって本稿では,日本における昆虫を対象とした鑑賞文化の歴史,現代の昆虫ツーリズムの内容,海外の鑑賞文化との比較によって,日本の昆虫文化の特徴を浮き彫りにする.さらに、日本の昆虫ツーリズムの課題と世界の昆虫保全に向けた可能性について展望する.
著者
櫻澤 明樹 保坂 哲朗 沼田 真也
出版者
首都大学東京 大学院 都市環境科学研究科 観光科学域
雑誌
観光科学研究 (ISSN:18824498)
巻号頁・発行日
no.8, pp.125-131, 2015-01-31

北海道の帯広市では市によって公営競技であるばんえい競馬が運営されている。ばんえい競馬は単なる公営競技ではなく、北海道の文化遺産に登録され、帯広市の主要な観光資源の一つである。しかし、近年は馬券(勝馬投票券)売り上げの減少により、存続が危ぶまれている。本研究ではばんえい競馬に訪れる来場者に注目し、彼らの馬券購入を含む消費行動を明らかにするためにアンケート調査を実施した。調査結果から、時期によって異なるタイプの観光客が来場しており、勝馬投票券の購入金額も異なることが明らかになった。特に、夏季(8月)は性別や年齢などの属性によって使用額に有意な差が見られたが、冬季(12月)はばんえい競馬に対する愛着の度合によって使用額に有意な差が見られた。これらの結果を踏まえ、観光客のばんえい競馬への愛着度合いを考慮して、夏季、冬季で異なる取り組みを行うことが有効であると考えられた。
著者
櫻澤 明樹 保坂 哲朗 沼田 真也
出版者
首都大学東京 大学院 都市環境科学研究科 観光科学域
雑誌
観光科学研究 (ISSN:18824498)
巻号頁・発行日
no.8, pp.125-131, 2015-03

北海道の帯広市では市によって公営競技であるばんえい競馬が運営されている。ばんえい競馬は単なる公営競技ではなく、北海道の文化遺産に登録され、帯広市の主要な観光資源の一つである。しかし、近年は馬券(勝馬投票券)売り上げの減少により、存続が危ぶまれている。本研究ではばんえい競馬に訪れる来場者に注目し、彼らの馬券購入を含む消費行動を明らかにするためにアンケート調査を実施した。調査結果から、時期によって異なるタイプの観光客が来場しており、勝馬投票券の購入金額も異なることが明らかになった。特に、夏季(8月)は性別や年齢などの属性によって使用額に有意な差が見られたが、冬季(12月)はばんえい競馬に対する愛着の度合によって使用額に有意な差が見られた。これらの結果を踏まえ、観光客のばんえい競馬への愛着度合いを考慮して、夏季、冬季で異なる取り組みを行うことが有効であると考えられた。