著者
片桐 由希子 川戸口 雄太 清水 哲夫
出版者
首都大学東京 大学院 都市環境科学研究科 観光科学域
雑誌
観光科学研究 = The international journal of tourism science (ISSN:18824498)
巻号頁・発行日
no.9, pp.15-23, 2016-03

鉄道ファンは,趣味を通じて長い距離を移動し,一般に観光地として認知度が高くない地域にも足を運ぶなど,地方の観光振興に関わる場で活動する機会が多いと考えられるが,その行動が観光に及ぼす影響については明らかにされていない。本研究ではサークル活動として鉄道研究会に所属する大学生を対象としたアンケートを実施し,鉄道ファンの旅行・観光の消費動向や鉄道目的とする旅行での観光行動を把握,鉄道ファンとしての興味分野や活動との関連性を分析した。鉄道ファンは一般と比較して,旅行回数が多いが1回あたりの旅行の消費額は変わらないこと,「乗り鉄」「撮り鉄」「複合型」のそれぞれの時間的な制約と選択される観光行動の傾向を明らかにした。
著者
太田 慧
出版者
首都大学東京 大学院 都市環境科学研究科 観光科学域
雑誌
観光科学研究 (ISSN:18824498)
巻号頁・発行日
no.7, pp.37-44, 2014-03-20

近年,隅田川や東京臨海部をはじめとしたウォーターフロントへの関心が高まっている。そこで本研究では,東京ウォーターフロントにおける水上バス航路の変遷と運航船舶の多様化についての考察を試みた。東京における水上バスの歴史は明治時代に始まったが,高度経済成長期の水質悪化によって低迷した。その後,水質改善と1980年代のウォーターフロントブームが契機となり,水上バス事業者の新規参入が促された。1990年代の航路では,荒川や旧江戸川を航路とした広域的な航路が存在したが,2000年代になると隅田川およびお台場周辺の東京臨海部を中心とした航路に変化したことが明らかになった。また,近年は中小河川を周遊する小型船やデザインに特徴のある新型船の導入により運航船舶が多様化し,観光アトラクションとしての機能を高めている。
著者
下里 直生 菊地 俊夫
出版者
首都大学東京 大学院 都市環境科学研究科 観光科学域
雑誌
観光科学研究 (ISSN:18824498)
巻号頁・発行日
no.9, pp.33-39, 2016-01-31

本研究は,白山手取川ジオパークの活動を対象にして,時空間的ジオストーリーが地域融合にいかに貢献できるのかを検討した。ジオパークが発展するためには,地形・地質遺産などに基づくジオポイントやジオサイトを複数組み合わせることによりジオストーリーが地域の内発的な活動に基づいて構築されなければならない。その場合,地質学的なストーリーと地理学的なストーリーを組み合わせた時空間的ジオストーリーの構築が重要になる。この時空間的ジオストーリーを構築することにより,ジオポイントやジオサイトの組み合わせだけでなく,それらのまとまりからなるジオエリアの組み合わせも可能となり,地域のつながりや一体性が強調できるようになる。つまり,時空間的ジオストーリーは地域融合に貢献する可能性が高い。
著者
清水 哲夫
出版者
首都大学東京 大学院 都市環境科学研究科 観光科学域
雑誌
観光科学研究
巻号頁・発行日
no.7, pp.29-35, 2014-03-20

本研究は,東京,高松,ウィーンを対象に,自動車および自転車の外部費用を比較している。外部費用として,走行時空間機会費用,駐車時空間機会費用,道路建設費用,道理維持管理費用,駐車場建設・維持管理費用,交通事故費用,大気汚染費用,地球温暖化費用,放置自転車対策費用を考慮した。費用の単位については1 人当たり・1 日当たりとした。分析の結果,どの都市においても自動車の外部費用は自転車のそれの5倍程度であること,東京では空間機会費用,高松では交通事故費用の割合が高いこと,自転車の外部費用は利用者の行動によって大きく削減できる余地があることが明らかとなった。
著者
土居 利光
出版者
首都大学東京 大学院 都市環境科学研究科 観光科学域
雑誌
観光科学研究 (ISSN:18824498)
巻号頁・発行日
no.10, pp.39-48, 2017-03-15

動物園及び水族館の評価に関して取り上げられることが多い利用者数は,利用者の関心を示す一つの指標とされることから,10年間にわたる利用者数の変動やその理由などを調査し,利用者数の評価について考察した。年間の総利用者数は,園館によって大きく異なるが,基本的には立地する場所の人の集積度合いで決まってくる。一方,年度によって大きな違いがある場合においても,各年度の総利用者数に占める月別利用者数の割合は,連休などの時期を反映したパターンを示した。これは,動物園などを利用することが「その場所に行くことが望ましい」という規範の下での選択の結果であることを示していると考えられるため,評価において利用者数は,利用者の関心度合いを示す補助的な指標としてとらえるべきである。
著者
保坂 哲朗 栗本 実咲 沼田 真也
出版者
首都大学東京 大学院 都市環境科学研究科 観光科学域
雑誌
観光科学研究 = The international journal of tourism science (ISSN:18824498)
巻号頁・発行日
no.10, pp.57-64, 2017-03

昆虫は地球上の生物多様性の大部分を占め、生態系のサイクルにおいて重要な役割を担うにも拘らず,世界一般的に認知度や好感度の低い生物である.昆虫に対するネガティブなイメージは欧米社会で特に顕著であり,人々が昆虫の保全に関心を持たない大きな要因となっている。一方で,日本は古くから昆虫に親しむ世界でも稀な文化を持ち,現在も昆虫に関連した多くのツーリズムが存在する「昆虫文化先進国」である.したがって本稿では,日本における昆虫を対象とした鑑賞文化の歴史,現代の昆虫ツーリズムの内容,海外の鑑賞文化との比較によって,日本の昆虫文化の特徴を浮き彫りにする.さらに、日本の昆虫ツーリズムの課題と世界の昆虫保全に向けた可能性について展望する.
著者
賀 佳惠 川原 晋 岡村 祐
出版者
首都大学東京 大学院 都市環境科学研究科 観光科学域
雑誌
観光科学研究 = The international journal of tourism science (ISSN:18824498)
巻号頁・発行日
no.11, pp.19-25, 2018-03

本研究は、観光地化する歴史的町並み地区において、地域外資本の店舗が過度に入ることにより個性が喪失する問題に注目し、次のことを明らかにした。第一に、観光地化の進行する重要伝統的建造物群保存地区をねらって出店する、伝建チェーンと名付けた企業5社の存在を確認した。第二に、川越一番街商店街を対象とした調査から、地域内の様々な組織の主活動が町並み保全か、商業振興か、観光振興かの違いが、どのような店舗を外部資本店舗と捉えるかに違いがあること、第三に、外部資本店舗に対して、地区の個性を損なわないように誘導し、むしろ支える側の役割を期待する地域側の巻き込みが見られ、これに外部資本店舗も協力する「外部資本店舗の地域化」と考えるべき状況が見られたことである。
著者
洪 明真 太田 慧 杉本 興運 菊地 俊夫
出版者
首都大学東京 大学院 都市環境科学研究科 観光科学域
雑誌
観光科学研究 (ISSN:18824498)
巻号頁・発行日
no.11, pp.35-43, 2018-03-15

本研究は東京都台東区上野地域おける行楽行動の要素を歴史地理学的な観点から検討したものである。江戸期にわたって刊行された名所案内記の挿絵と錦絵を用い,これらの視覚史料に描かれた江戸期の上野地域の描写対象を分析した。江戸上野地域は,新しい都市となった江戸を象徴する建造物を建設するため,地形的・文化的条件が合致する場所であった。そして,為政者による江戸の都市施設と遊覧場所として計画された上野地域の「東叡山」とその周辺には,当時の人々の行楽行動が現われていた。江戸上野地域の視覚史料から描写対象としての「人的要素(女性)」と「物的要素(衣食住関連の商業活動)」に注目したところ,江戸上野地域の行楽行動の要因は「東叡山」と「桜」は江戸上野地域における行楽行動の重要な要素となっていた。
著者
櫻澤 明樹 保坂 哲朗 沼田 真也
出版者
首都大学東京 大学院 都市環境科学研究科 観光科学域
雑誌
観光科学研究 (ISSN:18824498)
巻号頁・発行日
no.8, pp.125-131, 2015-03

北海道の帯広市では市によって公営競技であるばんえい競馬が運営されている。ばんえい競馬は単なる公営競技ではなく、北海道の文化遺産に登録され、帯広市の主要な観光資源の一つである。しかし、近年は馬券(勝馬投票券)売り上げの減少により、存続が危ぶまれている。本研究ではばんえい競馬に訪れる来場者に注目し、彼らの馬券購入を含む消費行動を明らかにするためにアンケート調査を実施した。調査結果から、時期によって異なるタイプの観光客が来場しており、勝馬投票券の購入金額も異なることが明らかになった。特に、夏季(8月)は性別や年齢などの属性によって使用額に有意な差が見られたが、冬季(12月)はばんえい競馬に対する愛着の度合によって使用額に有意な差が見られた。これらの結果を踏まえ、観光客のばんえい競馬への愛着度合いを考慮して、夏季、冬季で異なる取り組みを行うことが有効であると考えられた。
著者
保坂 哲朗 栗本 実咲 沼田 真也
出版者
首都大学東京 大学院 都市環境科学研究科 観光科学域
雑誌
観光科学研究 (ISSN:18824498)
巻号頁・発行日
no.10, pp.57-64, 2017-03-15

昆虫は地球上の生物多様性の大部分を占め、生態系のサイクルにおいて重要な役割を担うにも拘らず,世界一般的に認知度や好感度の低い生物である.昆虫に対するネガティブなイメージは欧米社会で特に顕著であり,人々が昆虫の保全に関心を持たない大きな要因となっている。一方で,日本は古くから昆虫に親しむ世界でも稀な文化を持ち,現在も昆虫に関連した多くのツーリズムが存在する「昆虫文化先進国」である.したがって本稿では,日本における昆虫を対象とした鑑賞文化の歴史,現代の昆虫ツーリズムの内容,海外の鑑賞文化との比較によって,日本の昆虫文化の特徴を浮き彫りにする.さらに、日本の昆虫ツーリズムの課題と世界の昆虫保全に向けた可能性について展望する.
著者
延東 洋輔
出版者
首都大学東京 大学院 都市環境科学研究科 観光科学域
雑誌
観光科学研究 (ISSN:18824498)
巻号頁・発行日
no.7, pp.21-27, 2014-03

本研究では,日本の耐久消費財メーカーであるパナソニック,ソニー,トヨタ自動車が東京都内において運営する企業ショウルームを採り上げる。これらの施設は,産業遺産や実際に稼働する産業施設を対象とする産業観光の事例であり,それを運営する企業側の主体性を加味した評価が求められる観光資源でもある。本稿は,耐久消費財メーカー3社が運営する企業ショウルームについて,既存のマーケティング理論と照らし合わせて現状分析を行う。この結果を踏まえて,企業戦略によって決まる施設運営の方向性について考察し,観光資源としての可能性や,求められる観光産業との連携など,実学的な産業観光について試論する
著者
倉田 陽平 相 尚寿 真田 風 池田 拓生
出版者
首都大学東京 大学院 都市環境科学研究科 観光科学域
雑誌
観光科学研究 = The international journal of tourism science (ISSN:18824498)
巻号頁・発行日
no.9, pp.103-108, 2016-03

本研究ではWeb上で地域の「仮想ツアー」を作成・発信できるツール「だれでもガイド!」を開発した。このツールでは,GoogleストリートビューやWeb上の任意の画像に案内役キャラクター,セリフ,効果音を付加し,紙芝居形式で観光案内を行うことができる。ブラウザ上で動くGUI 形式の編集ツールを用意し,利用可能な案内役キャラクターや効果音を予め用意するなどの工夫を行い,徹底的にコンテンツ作成の敷居を下げた。学生を対象とした実験の結果,本ツールの評価は概ね良好であり,バラエティに富むコンテンツが得られた。本ツールは観光教育の現場で学生が企画した観光コースの発信や,駐車場や施設への道案内,マラソンコースやハイキングコースの案内などへの応用も期待できる。
著者
相 尚寿 前澤 由佳 本保 芳明 阿曽 真紀子
出版者
首都大学東京 大学院 都市環境科学研究科 観光科学域
雑誌
観光科学研究 = The international journal of tourism science (ISSN:18824498)
巻号頁・発行日
no.9, pp.83-91, 2016-03

地方の人口減少や産業構造の変化に対する活性化策として観光振興が注目されている。特に、外国人旅行者の誘致は日本人旅行市場が縮小傾向にあるため、重要性を増している。本研究では外国の旅行会社やメディア関係者を観光資源に招き、旅行商品造成やメディア露出増を期待するファムトリップに着目し、いかなる施策が効果的なのかを議論する。対象地は近年全国傾向以上に訪日外国人宿泊者が増加している岐阜県とし、県職員へのヒアリングによる施策の整理、他の自治体や旅行会社へのアンケートを通じた岐阜県の施策の特徴づけと評価を行ったところ、岐阜県は他の自治体においても実践されている各種の施策を、その一部を深化させ徹底することにより戦略的、総合的に実施している点において先進性を有し、それが外国の旅行会社からも評価を得ていることが明らかとなった。