著者
久保田 明子 青木 睦 高岩 義信 飯田 香穂里 兵藤 友博 小沼 通二 後藤 基行 清原 和之 菊谷 英司
出版者
広島大学
雑誌
挑戦的研究(開拓)
巻号頁・発行日
2017-06-30

日本学術会議所蔵の歴史的資料について、(A)資料を用いた研究(日本の学術体制史研究)と(B)アーカイブズ学にのっとった資料整備を行うことが研究の計画であるが、本研究は特に(A)と(B)を別々に行うのではなく、日本の科学史等当該分野の研究者とアーカイブズ学を専門とする研究者が互いの知見や成果を相互に活用しながら共同で実施する試みである。
著者
保田 明子
出版者
慶應義塾大学出版会
雑誌
三田商学研究 = Mita business review (ISSN:0544571X)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.49-72, 2020-06

1947 (昭和22) 年に貿易に関する総合経済団体として設立された日本貿易会は,1986 (昭和61)年に貿易商社の業界団体へと改組を行い,その事業目的を大きく変更した経済団体として例のない存在である。改組を行った背景には,貿易振興という共通課題を有しながらも,貿易商社とそれ以外の利害が複雑化し,収斂していくことが困難となったことがある。貿易振興団体における利害の対立はいつ頃より生じたものであったか。 日本貿易会の前身団体である1885 (明治18) 年設立の日本貿易協会に注目し,戦前・戦時期経済団体における同種の衝突の存在について検討した結果,その設立初期より目的実現に向けた視点として,貿易業者を中心とする純貿易主義とそれ以外の産業振興主義という二面性が存在し,内外環境の変化に応じて両者のバランスを模索し,戦間期に双方の課題を取り扱う組織を形成していくプロセスが明らかになった。トップの変遷からも,明治期の産業振興主義から戦間期に純貿易主義へと軸が移行し,設立時の貿易業者の自立促進を目指す組織の変化を確認することができた。しかし,戦時期の貿易統制という特殊な環境下では,産業界をまとめる産業振興主義が台頭し,終戦を迎えることになった。 また,日本貿易会との比較では,日本貿易協会においても組織が成熟していくにつれて講演会事業や委員会活動などの情報サービス活動が多様化・多角化し,現在の日本貿易会とほぼ同様の活動がみられるようになり,貿易振興の実現に向けて組織的な意思を政策に反映させていこうとする過程が明らかになった。The Japan Foreign Trade Council, Inc.(JFTC, Nihon Boeki Kai)established in 1947 as a general economic organization for trade, was reorganized into an industry organization for trading companies in 1986. Why they reorganized?This paper is focusing on the Japan Trade Association(Nihon Boeki Kyokai) established in 1885, the predecessor organization of the JFTC and examined the root from the very beginning of the organization, and revealed that there were two aspects of pure trade promotion principle, and other industrial promotion principle, but the Japan Trade Association had managed to handle the two principles.論文