著者
井手 美稀 川越 仁 湯本 英二 兒玉 成博
出版者
日本音声言語医学会
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.214-219, 2019 (Released:2019-08-24)
参考文献数
8

MDVPは高価にもかかわらず音響分析に広く使用されている.一方,Praatはフリーソフトウェアである.無関位持続発声母音/アー/を用いて,正常声60音声(男性30名,女性30名)と嗄声73音声(男性21名41音声,女性17名32音声)を分析した.正常音声と病的音声を録音しデジタル化された音声ファイルであり,定常的な中央1秒区間を分析に使用した.同じ音声ファイルを用いて2つの異なるソフトウェア(MDVPとPraat)で音響パラメータ(F0,jitter,shimmer,HNR)を測定し両ソフトウェアで得られた結果を比較した.著者らはMDVPとPraatの両ソフトウェアを使用し各パラメータの測定値を比較し正常値を設定した.両ソフトウェアの測定結果は高い相関が見られた.F0は両ソフトウェアの測定結果がよく一致したがjitterはMDVPよりPraatの測定値が有意に小さく,HNRはPraatの測定値がMDVPの約2倍と有意に大きかった.shimmerは有意差がなかった.そのため,施設およびおのおののソフトウェアごとに正常値を設定する必要があり,学会発表や論文記載時には録音時の機器を含めた状況および測定に用いたソフトウェア(バージョン)を明記しておくことが望ましいと考えられた.
著者
山田 卓生 蓑田 涼生 三輪 徹 増田 聖子 兒玉 成博 鮫島 靖浩 湯本 英二
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.57, no.6, pp.283-289, 2011 (Released:2012-11-01)
参考文献数
24
被引用文献数
5

当科で施行した人工内耳埋込術 72 例について、「人工内耳埋込術後に何らかの追加の治療・処置を必要とした症状」を術後合併症と定義し、術後の合併症の有無について診療録の記載より調査を行った。72 例中 9 例(12.5%)に術後合併症を認めた。保存的治療もしくは経過観察のみで対処可能であった合併症(軽度合併症)は 4 例、観血的治療を必要とした合併症(重度合併症)は 5 例であった。軽度合併症の内訳は、味覚障害が 2 例、遅発性顔面神経麻痺が 1 例、人工内耳埋込部の感染が 1 例であった。また、重度合併症は、インプラント故障が 2 例、人工内耳埋込部の感染が 2 例、インプラントの露出が 1 例であった。このうち埋込部感染を認めた 2 例は、基礎疾患との関連が考えられた。インプラント故障を認めた 2 例においては、頭部打撲が原因であった。インプラントの露出を来した 1 例については、人工内耳埋込部と耳掛けの体外部との接触が原因と思われた。