著者
宇田 篤史 吉田 都 原口 珠実 櫨川 舞 水本 篤志 山本 和宏 平野 剛 内田 享弘 平井 みどり
出版者
日本病院薬剤師会
雑誌
日本病院薬剤師会雑誌 (ISSN:13418815)
巻号頁・発行日
vol.52, no.5, pp.529-532, 2016-05

現代の日本人における不眠症の有病率は、成人で約20%と言われている。睡眠治療にはベンゾジアゼピン系睡眠薬が主に使用されているが、より依存性が低い非ベンゾジアゼピン系睡眠薬として、ゾピクロン錠やエスゾピクロン錠が広く使用されている。両剤はともに味覚異常を示すことで知られているが、エスゾピクロン錠は、ラセミ体であるゾピクロンから、活性を有するS体のみを精製して開発されており、明確な違いは明らかではない。そこで本研究では、両剤の苦味を比較することを目的に検討を行った。その結果、苦味特異的な物質に反応を示す味覚センサ試験で、ゾピクロン錠がより強い苦味を示した。さらに健康成人を対象としたヒト官能試験でも、ゾピクロン錠でより強い苦味を示すことが認められた。本検討は薬剤の苦味強度を示すものであるが、エスゾピクロン錠に比べてゾピクロン錠がより強い苦味強度を有する可能性が示唆された。
著者
中井 由佳 徳山 絵生 吉田 都 内田 享弘
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.24, no.6, pp.1175-1182, 2009 (Released:2009-12-21)
参考文献数
19
被引用文献数
2

本特集では、種々の配合変化の中から、FDAからALERTが出されている、注射用セフトリアキソンナトリウム製剤とカルシウム含有製剤との配合変化に着目して、(1)カルシウム濃度、(2)温度、および(3)振とうの度合いが与える影響について、肉眼的・実体顕微鏡下の観察および光遮蔽型自動微粒子測定装置を用いた不溶性微粒子数 (以下、微粒子数と略す) 測定により評価した成果について述べた。10mg/mLの注射用セフトリアキソン生理食塩溶液10mLに最終のカルシウムイオン濃度が0.5、1、1.5、2、2.5mmol/Lとなるよう2%塩化カルシウム注射液を加え、薬剤が均一になる程度に緩やかに振り混ぜた後、20℃、25℃、30℃の温度条件下に保存した。混合溶液中の微粒子数を光遮蔽型自動微粒子測定装置により計測したところ、微粒子数はカルシウムイオン濃度と経過時間に比例して増加する傾向を認めた。混合直後では、すべてのサンプル中の微粒子数は日本薬局方 (以下、局方と略す) の許容範囲内であったが、混合1時間後では、すべての温度で、カルシウムイオン濃度2mmol/L以上で局方の許容微粒子数を超えた。配合変化に及ぼす温度の影響については温度が高いほど大きい粒子径の不溶性微粒子を実体顕微鏡下確認できた。逆に温度が高いほど微粒子数は少なかった。また、この事実は、沈殿物重量の測定結果と矛盾しなかった。また、振とうを与えることで微粒子数は有意に増加した。体内濃度を想定した1,000μg/mLの注射用セフトリアキソン生理食塩溶液10mLに最終のカルシウムイオン濃度が1.25mmol/Lとなるよう2%塩化カルシウム注射液を加えた溶液中の微粒子数の検討では、微粒子は有意に増加した。上記結果より、カルシウム濃度だけでなく、保存温度や振とうもセフトリアキソンとカルシウムの沈殿に影響を及ぼした。
著者
西山 祐美 北田 徳昭 関戸 聡子 小林 睦 渡 雅克 内田 享弘 松山 賢治 黒田 和夫
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.184-191, 2002-04-10 (Released:2011-03-04)
参考文献数
10
被引用文献数
4 4

A four-week practical hospital training course for undergraduates at Takarazuka Municipal Hospital has been conducted since 1998. The curriculum at our hospital consists of three elements, i.e., lectures on hospital pharmacy, the dispensing service and the clinical pharmacy service. Regarding the clinical pharmacy service, a case study had token a long time for the purpose of learning the actual services. In this study, we compared the results of the new curriculum with those of previous curriculums to establish a more effective and practical curriculum for undergraduates. Our curriculum showed no significant difference with the findings of other reports. Next, we investigated the student' s awareness by questionnaire. The results showed that most students developed on increased awareness of the pharmacist' s daily practice by the end of the practical training course. However it also showed a tendency that their interests in pharmacy practice differed according to their future courses and the university they were studying.From these results, further progress therefore appears to still be obtainable by increasing the cooperation between pharmaceutical universities and hospital pharmacies. In addition, it was considered that our curriculum should be further improved by better meeting the needs of students during the practical training course.