著者
高見 友也 山口 智之 畑野 光太郎 冨田 雅史
出版者
日本大腸肛門病学会
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.86-90, 2018 (Released:2018-01-29)
参考文献数
32
被引用文献数
1 2

経肛門的直腸異物は,性的嗜好などが原因で肛門より異物を挿入し抜去困難となったものである.当院では2008年4月~2017年3月までに8例を経験した.平均年齢は42.6歳(12~64歳),すべて男性であった.異物の種類は,ペンライト1例,性的玩具2例,プラスチックの筒3例,スプレー缶1例,綿棒1例であった.摘出方法は,経肛門的摘出が5例,内視鏡的摘出が2例,自然排泄が1例であった.摘出時の麻酔法は,無麻酔が4例,腰椎麻酔が2例,全身麻酔が1例であった.合併症は粘膜の裂傷が2例で認められたが,両者とも保存的に経過観察が可能であった.今回われわれが当院で経験した8例に加えて,本邦での報告例について検討を行った.
著者
森 幸男 佐巻 優太 多田 大希 渡邉 志 白濱 成希 中谷 直史 冨田 雅史
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 (ISSN:13451537)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.67-72, 2017 (Released:2020-11-04)

本論文では, 1/f ゆらぎがもたらす自律神経活動への影響を明らかにするため, 超音波領域(40kHz)の正弦波をベースとして, 振幅に1/f ゆらぎを与えた場合と与えない場合の音源提示による自律神経活動の相違を検討する. その結果, 1/f ゆらぎを与えた場合と与えない場合で被験者のLF/HF 指標の値のばらつきに差があることを示す. これは, 1/f ゆらぎによって, 被験者の自律神経活動を制御できる可能性があることを意味する. 本研究により, 従来曖昧であった1/f ゆらぎ独自の効果を客観的事実によって証明できたと考えている.
著者
渡邉 志 塚本 博之 松本 有二 中川 雅文 白濱 成希 宮本 和典 中谷 直史 冨田 雅史 森 幸男
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 (ISSN:13451537)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.75-84, 2014-04-25

8名の被験者(20代男性)について1/fゆらぎを持つとみなせる楽曲(以下,1/fゆらぎ楽曲)および環境音(白神山地のせせらぎ音)を聴取させたときの加速度脈波解析を行った.加速度脈波の測定は1/fゆらぎ楽曲および環境音の聴取前・聴取中・聴取後の合計300s間行い,その後Visual Analog Scale(VAS)による主観評価測定を行った.加速度脈波解析の結果,交感神経活動の指標値であるLF/HFについては,1/fゆらぎ楽曲の聴取時に有意に減少する傾向が見られた.一方,環境音聴取時には増加する傾向が見られた.また,これらの音源の印象についてのVASによる主観評価値から被験者を分類し考察することを試みた.
著者
山口 智之 片岡 直己 冨田 雅史 坂本 一喜 新保 雅也 牧本 伸一郎
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.73, no.7, pp.1722-1726, 2012 (Released:2013-01-25)
参考文献数
11

症例は55歳,女性.慢性関節リウマチに対しインフリキシマブの投与を受けていた.全身倦怠感と採血上の貧血の進行を認め,下部消化管内視鏡検査を受けたところ,回腸末端の潰瘍性病変を認め,生検の結果腸結核の診断となった.胸部CT検査では全肺野に小粒状陰影を認め粟粒結核と診断され,喀痰TB-PCR陽性,塗末で抗酸菌陽性であり,腸結核,粟粒結核の診断となり結核専門病院へ紹介入院となった.このころから腹痛と頻回の下痢を認めていた.結核専門病院を退院後,腹痛が増強したため受診し,CT検査上回盲部の狭窄像と回腸直腸瘻を認めたため外科紹介となった.回盲部切除術と直腸瘻孔部の縫合閉鎖を行った.術後は正常便となり特に合併症なく17日目に退院となった.インフリキシマブが結核発症の危険因子であるのは周知の事実であるが,腸瘻を形成する症例は極めて稀であるので文献的考察を加え報告する.