著者
竹内 皓紀 川﨑 聡大 中川 雅文 川田 拓
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 (ISSN:13451537)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.79-86, 2019-05-28 (Released:2021-03-15)

クロノタイプが課題遂行に及ぼす影響を明らかにするため,大学生224 名を対象に日本語版朝型-夜型質問紙 (日本語版MEQ) を用いてクロノタイプを測定し,さらに夜型傾向者 15 名・朝型傾向者15 名に対して朝・夕の2 つの時間帯においてそれぞれstroop 課題を実施 した.本研究ではクロノタイプ不一致条件下における課題適応段階および疲労蓄積段階での課題遂行を観測するため,朝課題遂行条件下での夜型傾向者の課題初頭における行動的 (課題遂行状況) , 心理的 (主観的ワークロード) ,生理的 (自律神経反応・f-NIRS) 指標を測定した.また課題経過に伴う各指標の変動についても計測を行った.結果,クロノタイプ不一致条件下における行動・心理指標の変動においては有意差が認められなかったが,自律神経活動で一部仮説を支持する結果が得られた.また課題初頭では行動指標ならびに生理指標(f-NIRS) において急速な代償的適応過程を示唆する知見が認められた.
著者
中川 雅文 杉田 玄
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.150-162, 2008 (Released:2009-10-15)
参考文献数
6

デジタル信号処理 (Digital signal processing, DSP) 技術に助けられ補聴器は飛躍的に進歩し, 現在も革新的な変化を続けている。軽度難聴者への福音となったオープンフィッティングは, 従来解決が難しかった耳閉塞感などの愁訴がほとんどないなどの理由から適応が拡大される傾向にある。しかし, その特性に関する理解不足から来る不適切な処方やオープン対応式補聴器との混同などの問題も散見するようになっている。軽度難聴者へのオープンフィッティング式補聴器の適応と限界, 処方における具体的な指示事項の在り方, 装用後の適合評価の工夫など補聴器というハードウエアを軸とした補聴器フィッティングのあり方について記す。補聴器相談医として実務に就いている医師がこれらの最新の知見や知識を補足し実際の補聴器診療に役立ててもらえれば幸いである。
著者
土井 礼子 北野 庸子 中川 雅文
出版者
日本聴覚医学会
雑誌
Audiology Japan (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.55, no.6, pp.679-691, 2012-12-28
参考文献数
17

聴覚障害児と家族に対する支援として, 情報通信技術 (Information and Communication Technology: 以下ICT) を活用し, 遠隔支援プログラムサイトを構築した。聴覚障害児の親と言語聴覚士 (以下ST) を対象に遠隔支援プログラムサイトの評価を行った。各対象者にはサイトに接続してもらい, プログラムのわかりやすさ, 資料や映像のダウンロードなどの機能の使いやすさ, 映像内容, 指導内容, 遠隔支援の有効性について回答してもらった。肯定的な回答と否定的な回答に分けて二項検定を行ったところ, 聴覚障害児の親は48/53の, 言語聴覚士は47/53の質問項目において肯定的な評価が過半数以上であることが有意に示された。今後, 利用者のICTへの精通度, 対面の個別言語指導との併用などの検討が必要と思われたが, 遠隔地や海外滞在者を対象に支援を行う際に, 有効に活用できる可能性が示唆された。
著者
中川 雅文 小川 郁男
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.111, no.7, pp.445-455, 2018 (Released:2018-07-01)
参考文献数
34

PURPOSE: The hearing level and cognitive function were examined in 174 elderly persons admitted to a nursing care facility using the Auditory Checker (JB electronics.inc, Japan). The Auditory Checker is a screening tool that can evaluate pure-tone hearing level up to 1000 Hz and speech discrimination and sentence understanding; the results are expressed in terms of the auditory cognitive score. The baseline score and the score after one year were compared using a statistical approach. The background factors of the subjects, such as the age, sex, degree of disability, and MMSE-J scores were also evaluated by statistical methods.RESULTS: The results revealed a significant positive correlation between the auditory cognitive score and the MMSE-J score. Factors such as the age, gender, degree of need for long-term care, presence/absence of brain disease, etc., had no significant influence on the auditory perception.CONCLUSION: It was useful for the functional screening of hearing acuity and cognitive function in case that had the hearing loss conducted prior to cognito-psycho test batteries. It is useful to conduct functional screening of the hearing acuity and cognitive functions prior to administration of cognito-psycho test batteries in patients with hearing loss. The Auditory Checker is useful for evaluating the hearing ability and auditory perception of elderly people who need long-term care. When evaluating hearing-impaired elderly people whose cognitive function is significantly reduced, it is useful to use the MMSE-J, Barthel Index, motivation score, etc. (VI) It is also desirable to use internationally recognized test batteries. An outline of the test batteries and their application method are outlined. It is an urgent need to establish a screening system for hearing and auditory perception in elderly people.
著者
中川 雅文
出版者
Japan Audiological Society
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.50, no.6, pp.651-657, 2007-12-28 (Released:2010-08-05)
参考文献数
18

健聴者7名および難聴者5名を対象として有意味単語 (親密度の高い4モーラ音) と無意味単音 (語音聴力検査用音源 57S) を用いて音場での聴取能の比較評価を行った。健聴群では有意味単語およびそれを構成する有意味単音いずれの正答率も無意味単音よりも高値を示した。難聴例では, 健聴例同様のパターンを示すものと有意味単語と有意味単音いずれも低下するケースを認めた。親密度の高い有意味単語を用いた検査は, 脳内の処理資源 (ことばの記憶・イメージ) の活用や不足する音素を類推・補完するトップダウン処理を定量的に評価する手法として今後の臨床応用が期待できる。
著者
峯玉 賢和 川上 守 寺口 真年 籠谷 良平 米良 好正 隅谷 政 中川 雅文 山本 義男 松尾 咲愛 左近 奈菜 中谷 友洋 北野 智子 中川 幸洋
出版者
一般社団法人 日本脊椎脊髄病学会
雑誌
Journal of Spine Research (ISSN:18847137)
巻号頁・発行日
vol.13, no.5, pp.798-807, 2022-05-20 (Released:2022-05-20)
参考文献数
16

はじめに:腰部脊柱管狭窄症に対する監視下での理学療法(PT)は,非監視下での運動療法よりも短期的には有効であるが,その効果が持続するかについては明らかとなっていない.本研究の目的は,監視下でのPTと非監視下での運動療法の1年後の治療成績を比較することである.対象と方法:43例がPT群(週2回6週間),43例がホームエクササイズ(HE)群に無作為に割り付けられた.PT群は,徒手療法,個人に合わせたストレッチと筋力増強,自転車エルゴメーター,体重免荷トレッドミル歩行を実施した.主要評価項目は,チューリッヒ跛行質問票(ZCQ)の重症度とし,1年後の患者立脚型アウトカムと手術移行率を2群で比較した.結果:PT群はHE群に比べ,1年後のZCQ重症度と身体機能,日本整形外科学会腰痛質問票の腰椎機能障害,SF-36体の痛みと全体的健康感のMinimum clinically important difference達成率が高く,手術移行率は低かった(P < 0.05).結語:監視下での理学療法は,非監視下での運動療法に比べ,1年後でも有効で,手術移行率も低かった.
著者
加部 勇 古賀 安夫 幸地 勇 宮内 博幸 蓑添 葵 桑田 大介 堤 いづみ 中川 雅文 田中 茂
出版者
公益社団法人 日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
vol.57, no.6, pp.306-313, 2015 (Released:2015-12-18)
参考文献数
24

目的:国内では一般の産業現場において耳音響放射検査 (OAEs) は普及しておらず,実際の騒音職場での使用報告がほとんどない.本調査は,国内製造業の事業場で,騒音に曝露する作業者を対象にOAEsと最小可聴閾値(HTs)との関連を検討した.対象と方法:金属製品製造業の2事業場において騒音職場の作業者(曝露群)34名(平均年齢40.6±9.4歳)と,非騒音曝露作業者(コントロール群)9名(49.0±14.3歳)を調査対象とした.対象者毎に作業環境測定(ENM)と,騒音個人曝露測定(PNM)を同時期に実施した.騒音曝露による聴覚影響の評価指標として,作業開始前後の0.5 kHz,1 kHz,2 kHz,4 kHzと8 kHzのHTsおよび2 kHz,3 kHzと4 kHzの歪成分耳音響放射検査 (DPOAEs) を行った.HTs,OAEs,ENMとPNMの結果の曝露群と非曝露群の比較,作業前後の比較,NIHL有無の比較は,Student’s t検定を用いた.HTs,OAEs,ENMとPNMの結果の関連についてPearson相関係数を求めた.結果:ENMおよびPNMは,騒音曝露群がA測定(LAeq)84.5±4.1 dB (A),B測定(LAMAX)89.5±6.3 dB (A),時間加重平均(LTWA)83.4±4.7 dB (A),一秒率(LAE)153.1±15.7 dB (A),コントロール群がLAeq53.2±2.6 dB(A),LAMAX56.4±2.4 dB (A),LTWA67.8±5.6 dB (A),LAE119.5±5.6 dB (A)となり,騒音曝露レベルは曝露群が有意に高かった.作業前後のHTs,OAEsは,両群とも差は無かった.両群とも騒音曝露レベルのLAeq,LAMAX,LTWA,LAEとその影響指標であるHTs,OAEsに相関がみられなかったが,HTsとOAEsとの間には相関をみとめた.NIHLをみとめた群は,NIHLのない群に比べて,HTsおよびOAEsが有意に低下していた.結論:作業前後のHTsと OAEsの相関をみとめた.今後,日本の産業現場でも騒音性難聴のスクリーニング検査や騒音曝露作業者の聴力管理としてOAEが用いられることが期待される.
著者
渡邉 志 塚本 博之 松本 有二 中川 雅文 白濱 成希 宮本 和典 中谷 直史 冨田 雅史 森 幸男
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 (ISSN:13451537)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.75-84, 2014-04-25

8名の被験者(20代男性)について1/fゆらぎを持つとみなせる楽曲(以下,1/fゆらぎ楽曲)および環境音(白神山地のせせらぎ音)を聴取させたときの加速度脈波解析を行った.加速度脈波の測定は1/fゆらぎ楽曲および環境音の聴取前・聴取中・聴取後の合計300s間行い,その後Visual Analog Scale(VAS)による主観評価測定を行った.加速度脈波解析の結果,交感神経活動の指標値であるLF/HFについては,1/fゆらぎ楽曲の聴取時に有意に減少する傾向が見られた.一方,環境音聴取時には増加する傾向が見られた.また,これらの音源の印象についてのVASによる主観評価値から被験者を分類し考察することを試みた.