- 著者
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出口 顯
- 出版者
- 国立歴史民俗博物館
- 雑誌
- 国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
- 巻号頁・発行日
- vol.169, pp.7-28, 2011-11-30
スカンジナビア諸国では,不妊のカップルが子供をもつ選択肢として国際養子縁組が定着している。養子はアジア・アフリカ,南アメリカの諸国を出生国としており,国際養子は異人種間養子でもあり,親子の間に生物学的・遺伝子的絆がないのは,一目瞭然である。彼らの間では,遺伝子や血縁といった自然のつながりより,日々の生活をともにしたつながりが親子の絆として大切にされている。最近の国際養子縁組においては,養子に受け入れ国の一員としてだけでなく,出生国の文化を担った人間でもあるダブルアイデンティティをもたせようという考え方が浸透している。そのような中,国際養子が不妊になり,実子ではなく養子縁組によって家族を新たに形成するとき,養子の出生国選択の理由は何によるのか,養父母になった国際養子5例の事例を紹介し,生物学的特徴の類似性が決して重要ではないことを浮き彫りにする。