著者
別府 賢治
出版者
香川大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

スモモの自家和合性に関わるS遺伝子を特定するとともに、自家和合化のメカニズムを解明した。また、S遺伝子による自家和合性の遺伝を確認するとともに、自家和合性個体選抜のためのDNAマーカーを作出した。これにより、スモモの自家和合性品種の育種を効率的に行うことが可能となり、このことは園芸的意義の大きいものである。
著者
別府 賢治 藤本 華倫 片岡 郁雄
出版者
香川大学
雑誌
香川大学農学部学術報告 (ISSN:03685128)
巻号頁・発行日
vol.59, pp.55-58, 2007-02-28

暖地条件における秋季のホウ素の葉面散布が、甘果オウトウ'佐藤錦'の翌春の花器の発育および結実に及ぼす影響を調査した。9月上旬にホウ素濃度500ppmのホウ酸溶液を鉢植え樹の全葉に噴霧処理した。ホウ素処理により、翌春の胚珠の寿命が延長し、花柱内での花粉管伸長がやや速まった。ホウ素処理区では対照区に比べて結実率がやや高まった。これらのことから、暖地条件における秋季のホウ素の葉面散布は、翌春の結実性を向上させる効果があることが示された。
著者
片岡 郁雄 杉山 明正 別府 賢治
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.72, no.1, pp.1-6, 2003-01-15
被引用文献数
1 57

光感受性の高いブドウ品種'グローコールマン'果実のアントシアニン蓄積における紫外線の関与について,成熟開始期の果実切片を用いて調査した.果実切片を太陽散乱光のもとで各種の資材;ガラス板,ポリオレフォンフィルム,ポリ塩化ビニール,紫外線除去塩化ビニールフィルム,エチレンテトラフルオロエチレンフィルム,ポリカーボネート樹脂板,ガラス繊維強化アクリル板で被覆して,72時間培養した.果皮のアントシアニン含量は,紫外線透過率の低い資材で被覆した場合,大きく減少した.人工的な紫外線照射(ピーク波長352nm)はアントシアニン蓄積を著しく促進させた.UV-A領域(320-400nm)での0.4W・m^<-2>までの紫外線照射によりアントシアニン含量は急増し,2.3W・m^<-2>まで高いレベルで平衡状態を保った.一方,白色光も8.5W・m^<-2>までの照射はアントシアニン含量を緩やかに増加させた.紫外線に4.1W・m^<-2>の白色光を組み合わせて照射した場合,アントシアニン含量はさらに増加した.以上の結果から,ブドウブローコールマン'果実のアントシアニン蓄積には紫外線成分が関わっており,施設の被覆資材の選択には,紫外線透過特性を考慮する必要があることが示された.
著者
片岡 郁雄 別府 賢治 田尾 龍太郎 久保田 尚浩
出版者
香川大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

モモの低温要求性の発現段階を中心に,覚醒段階での人為的調節および低温要求性の遺伝的制御を含め,以下の点について検討を行った.1)環境と樹体要因が低温要求性の発現時期と量に及ぼす影響.多低温要求性品種では、7月上旬より新梢基部のえき芽は休眠に移行し、9月には深い休眠状態に達すること、導入期においても石灰窒素の発芽促進効果が得られること、気温、日長は休眠導入の開始に影響しないことが明らかとなった。2)低温要求性の異なる品種の発芽・開花特性の比較.少低温要求性品種においては、低温遭遇350時間の早期加温でも高い発芽率が得られ、正常な開花がみられた。これらの品種では、休眠完了後、温度感応性が増大し、より早い開花がもたらされるものとみられた。3)低温要求性の異なる穂木,台木を組み合わせた樹の生長様相 発芽・開花は穂木の低温要求量に大きく依存すること、葉芽の発芽には台木の低温要求性が影響することが示された。4)雌性器官生育育に及ぼす休眠覚醒後の温度環境の影響 休眠完了後の雌性器官の退化は、高温により助長され、結実率の低下の一因となっていることが示された。5)各種の休眠覚醒物質処理が低温要求性の異なる品種の発芽に及ぼす影響 シアナミド、石灰窒素は、二硫化アリルに比べ休眠打破効果が大きいが、休眠最深期には効果が小さいことが示された。6)芽の休眠過程における関連遺伝子の発現 休眠期ならびに休眠覚醒期の花芽と葉芽からmRNAを抽出し,サブトラクション法により解析したところ,休眠期と休眠覚醒期で転写量の異なる遺伝子がいくつか見出され,その中にcell cycleの制御に関わっている遺伝子が含まれていた.7)多低温要求性品種と少低温要求性品種の交雑個体の低温要求性 '白鳳'と少ない低温要求性品種の交雑後代において、'白鳳'に比べ、低温要求量は低減した。