著者
前川 孝昭 張 燕生 張 振亜
出版者
The Society of Agricultural Structures, Japan
雑誌
農業施設 (ISSN:03888517)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.69-75, 1997-09-25 (Released:2011-09-05)
参考文献数
15

嫌気性培養試験管を用いて酢酸分解系馴養メタン菌の回分培養を行った。初期菌体接種量の少ない場合において, 培養初期のメタン生成量は従来の微量金属塩濃度 (0.1mL/L) の時に最大であり, それより高い濃度ではメタン菌への阻害が見られた。しかしながら回分発酵の時間経過につれ, 最大のメタン生成量に対応する培地の微量金属塩濃度は高い濃度へ変化し, 16日後のメタン生成量は10mL/Lの微量金属塩液濃度の場合に最大になり, 従来の培地微量金属塩濃度の場合の2.2倍のメタン生成量が得られた。それと比較して接種量の多い場合には, 発酵の初期段階においてもメタン生成量は高い培地微量金属塩濃度 (15mL/L) の時に最大であった。時間の経過につれ, 15mL/L以上の高い微量金属塩濃度の場合のメタン生成量は, 15mL/L微量金属塩濃度の時の最大メタン生成量との差が小さくなる傾向が見られた。回分培養開始後2日目から7日目までの間のメタン生成速度を見た場合に, 微量金属塩濃度15mL/Lの時のメタン生成速度は従来の培地微量金属塩濃度の場合の3.7倍になった。
著者
中野 和弘 前川 孝昭 山沢 新吾
出版者
The Society of Agricultural Structures, Japan
雑誌
農業施設 (ISSN:03888517)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.29-34, 1982

日本到着直後のとうもろこしの水分と穀温を統計的に検討した結果, 次の結論を得た。<br>(1) 穀温と水分の間には正相関があった。<br>(2) 米国からのとうもろこしの水分は非常に安定しており12.0~14.4% (w.b.) で, タイからの場合は12.4~21.6% (w.b.) とばらつきが大きかった。<br>(3) 穀温の上昇は高水分によって引起こされた可能性があることがわかった。<br>(4) 日本到着直後のとうもろこしの状態は, 穀温9.0~50.0℃, 水分11.0~21.6% (w.b.) の範囲にあった。
著者
張 燕生 張 振亜 杉浦 則夫 前川 孝昭
出版者
The Society of Agricultural Structures, Japan
雑誌
農業施設 (ISSN:03888517)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.195-204, 2002-03-25 (Released:2011-09-05)
参考文献数
21

高速度メタン発酵を実現するために, メタン菌細胞の栄養元素の要求量を知ることが重要である。本研究では正確なメタン菌細胞中の微量金属元素の測定法を確立するために細胞の洗浄方法を検討した。遊離陽イオン並びに残留培地をメタン細菌の表面から取り除くために, 4種の, すなわち蒸留水, 生理塩水, 燐酸塩緩衝液及びEDTA混合液 (EDTAと燐酸塩との混合液) を洗浄液としてメタン細菌ペレットの洗浄を行った。洗浄したメタン菌細胞を湿式分解法で前処理し, ICP-MS (Inductively Coupled Plasma Mass Spectrometer) を用いてメタン細菌の微量金属イオン含有量を測定し, 比較した。供試洗浄剤を用いた洗浄結果, 細胞内イオン含有量計測値の変動率の最も大きい洗浄液は水であり, その変動率の最も少ないものは燐酸緩衝液であった。更に原子間力顕微鏡を用いて洗浄した細胞を検鏡した結果, 細胞の凹みと細胞破壊の現象が見られた。この細胞破壊の程度は水を洗浄液とした場合, 最も大きかった。また, 細胞洗浄における誤差は主に細胞の破壊に起因することが明らかになった。次に細胞破壊の現象を防ぐために, 細菌培養液にグルタルアルデヒド溶液を加え, 軽く固定化してから細胞サンプルを遠心分離・洗浄する方法を試みた。この場合, 水を用いた3回洗浄においても細胞の破壊がほとんど発生しなかった。この細胞洗浄方法は細胞の破壊に由来する誤差を有効に防ぐ事ができ, 細胞の微量金属元素分析の再現性を改善することが期待される方法であると考えられる。
著者
高原 健爾 前川 孝司
出版者
福岡工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

2019年度は,反応モデルの構築で大きな進展が得られた。粒子1つのミクロ的な反応のシミュレーションのモデル基盤が構築できた。具体的には,アコースティック・エミッション(以降AE)法により,亀裂が生じた際に発生する弾性波であるAEを水素発生時に測定することができた。その結果に基づいて,水素発生のファクターと考えられるき裂進展のシミュレーションモデルを構築した。実験では,あまり実績が得られなかった。これまでに設計した水素発生制御のファジィルールをさらに検討し,100[W]の燃料電池では,より精度良く水素発生を制御できるようになったものの,実験者の操作ミスにより発生装置の接続部等に変形・亀裂が生じ,一時的に充分な実験を行えない状況になった。一方,1[kW]燃料電池では,水素漏れが発生し,修理に時間がかかった。修理後に実験を行った。その結果,一部に改善が見られたものの,水素発生容器内の圧力が高いにも関わらず,燃料電池の出力が800[W]程度でダウンしてしまうという状況が続いている。大きな出力が得られないので,システムの検証実験が十分に行えないでいる。原因の一つとして,水素発生を増加させるために,送水量を増やすことでタンク内の温度低下が起こり,一時的に水素発生が抑制されることが確認できており,送水温度を上昇させるための方策を検討した。また,自動制御だけでなく,手動で水素発生の調節を行えるようにしており,余計な電力を使うことなく水素発生できるように改造した。
著者
チィーピモンチャイ ウィモンラット 院多本 華夫 石川 豊 前川 孝昭
出版者
The Society of Agricultural Structures, Japan
雑誌
農業施設 (ISSN:03888517)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.87-94, 2000-09-25 (Released:2011-09-05)
参考文献数
25

緑豆・大豆タンパク質を原料とした生分解性フィルムの特性を検討した。抽出した緑豆タンパクのタンパク質含有量は81.93%であった。緑豆および大豆タンパク質5%にグリセロールを添加し, テフロンプレート上に塗布し・乾燥することによりフィルムを作成した。グリセロール添加の増加により両製品とも引張強度は低下したが, 伸び率および水蒸気の透過性は増大した。緑豆タンパク質は生分解性フィルムの原料として使用できる。