著者
広瀬 直人 前田 剛希 和田 浩二 高橋 誠
出版者
一般社団法人 日本食品保蔵科学会
雑誌
日本食品保蔵科学会誌 (ISSN:13441213)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.143-148, 2013 (Released:2022-03-19)
参考文献数
24

To examine the possibility of using guava fruits as an ingredient in daily-use ketchup with food functionality, we prepared purees of eight pink guavas that were obtained from different areas in Okinawa and their chemical and physical compositions by measuring the Brix, pH, and color. The eight kinds of guava purees showed little difference in their compositions, Brix, pH, and color values. In addition, the purees maintained their color values after heating at 80℃ for 5 min. The guava puree was then treated with pectinase to decrease the puree viscosity. The viscosity of the puree treated with pectinase (0.24 Pa・s) was lower than that of the untreated puree (0.6 Pa・s). The guava ketchup was prepared using the untreated guava puree. In the sensory evaluation, the guava ketchup scored low for sourness because the citric acid content was lower than that in the commercial tomato ketchups. To evaluate the antioxidant activity, guava ketchups prepared using guava purees with and without pectinase treatment (GK-P and GK, respectively) were examined for total polyphenol contents and DPPH radical-scavenging activities. The total polyphenol content and DPPH radical-scavenging activities were higher in guava ketchups than in the commercial tomato ketchups. Interestingly, GK-P showed significantly higher radical-scavenging activity than GK. These results suggest that guava fruits have the potential to be used in the manufacturing of ketchup, which could serve as an antioxidant food.
著者
広瀬 直人 小野 裕嗣 前田 剛希 和田 浩二
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.27-31, 2019
被引用文献数
2

<p>試験用黒糖製造において,仕上加熱工程と冷却撹拌工程を連続して実施できる,卓上型の黒糖試験製造装置を開発した.この装置は,PC制御されたマイクロヒーターと水道水利用の冷却管を備えた加熱冷却容器,および撹拌トルクを検出できる撹拌装置から構成される.この試験製造装置を用いて黒糖を試作する過程で,冷却撹拌工程の終了時に品温が上昇する現象を見出した.この品温上昇は,温度上昇幅と糖蜜の推定比熱からショ糖の結晶熱が要因と推測された.</p>
著者
前田 剛希 下地 格 宮城 克浩 手登根 正 下地 浩之 上地 克美 知念 潤 伊志嶺 弘勝 砂川 正幸 まえだ ごうき しもじ いたる みやぎ かつひろ てどこん ただし しもじ ひろゆき うえち かつみ ちねん じゅん いしみね ひろかつ すながわ まさゆき Maeda Goki Shimoji Itaru Miyagi Katsuhiro Tedokon Tadashi Shimoji Hiroyuki Uechi Katsumi Chinen Jun Ishimine Hirokatsu Sunagawa Masayuki 沖縄県農業研究センター 沖縄県農業研究センター宮古島支所
出版者
沖縄農業研究会
雑誌
沖縄農業 (ISSN:13441477)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.3-16, 2015-02-12

宮古島は台風常襲地域であり,台風通過後,海岸付近の圃場では,サトウキビが葉の枯れ上がりや裂傷などの潮風害を受けている様子が観察される.多くの農家は,潮風で葉に付着した塩分を洗い流す目的で,台風直後はスプリンクラーによる除塩散水を行う.しかしながら,実際には葉に付着した塩分がサトウキビの生育に及ぼす影響については不明な点が多い.また,除塩に必要な散水量も除塩の効果自体不明である.そこで本研究では,生育旺盛期の7月下旬と登熟期の11月上旬に,春植えサトウキビに高濃度塩水を散布して葉の枯れ上がりを人工的に再現し,その後の生育や収量,晶質の変化を調べた.あわせて,塩分に曝されたサトウキビに生じる葉の枯れ上がりや,品質変化に対する除塩散水の効果を調べた.また,実際の台風時の塩分暴露による影響を考察するための資料として,台風接近時の飛来塩分量をドライガーゼ法で測定した.試験の結果から次の知見が得た.1)塩化ナトリウム(NaCl)濃度8.8% (葉面付着塩分量とし30FLg-NaCleq./cm_2) 以上の塩水散布により,サトウキビに葉の枯れなど目視で判断できる生育障害を人工的に発生させられる事が明らかになった.2)生育旺盛期の塩水暴露による葉の枯れ上がりは,登熟期までに葉が回復する事から糖度に対する影響は小さいと推察さたが,茎の伸長を一時的に抑制した.3)登熟期の塩水暴露による葉の枯れ上がりは,生育緩慢で茎の伸長がほとんど停止している時期なので,収量への影響は小さいが,糖度低下の原因になる事が推察さた.4)10mm以上の散水で,サトウキビの葉に付着した塩分を約80%程度除塩できた.
著者
広瀬 直人 前田 剛希 恩田 聡 正田 守幸 宮城 一菜 和田 浩二 太田 英明
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.81-89, 2017
被引用文献数
6

<p>シークワシャー搾汁残渣を原料として,市販シークワシャー果汁と同程度の7.5mg/100mLのノビレチンを含有するシークワシャー抽出酢の製造条件を開発した.</p><p> (1)搾汁残渣より種子とじょうのう膜を除去して搾汁果皮を調製し,乾燥処理を行わずに醸造酢で抽出すると,ポリメトキシフラボン類を含有し,リモニンが少なく苦味が弱い抽出酢が得られた.</p><p> (2)搾汁果皮20% (w/w)と醸造酢80% (w/w)を用いると,ノビレチンを7.5mg/100mL含有する抽出酢が得られた.抽出処理の破砕回数は10秒間で4∼5回が適した.</p><p> (3)抽出酢を常温保存すると,ポリメトキシフラボン類は安定であったが,モノテルペン類は急激に減少し,モノテルペンアルコール類は緩やかに減少した.</p>
著者
謝花 治 宮城 克浩 伊禮 信 宮平 永憲 金城 鉄男 島袋 正樹 神谷 寿幸 仲宗根 盛雄 前田 剛希 大城 良計 出花 幸之介 正田 守幸 恵比寿 則明 伊志嶺 正人 高江洲 賢文 大工 政信 神門 達也 平田 清勝 平田 清信
出版者
沖縄県農業研究センター
雑誌
沖縄県農業研究センター研究報告 = Bulletin of the Okinawa Prefectural Agricultural Research Center (ISSN:18829481)
巻号頁・発行日
no.3, pp.55-65, 2009-04

サトウキビ「Ni17」は、風折抵抗性が強く株出し多収性の品種を育成することを目標に、沖縄県農業研究センター作物班において「NiF8」を種子親に「RF79-247」を花粉親とした交雑後代から選抜・育成した。「RK91-1004」の系統名で鹿児島県の奄美以南の離島を含む南西諸島の生態地域において適応性が検討された。その結果、沖縄県久米島および鹿児島県奄美地域において優秀性が認められ、2002年に新品種さとうきび農林17号「Ni17」として命名登録され、奨励品種に採用された。「Ni17」の特性は以下のとおりである。1)風折抵抗性が優れる。2)台風時の潮風害による糖度低下が少なく、収穫期の糖度が高い。3)萌芽性が良く、株出し収量および可製糖量が多い。4)耐倒伏性が優れる。