著者
加藤 由紀子
出版者
岐阜大学
雑誌
岐阜大学留学生センター紀要
巻号頁・発行日
vol.2002, pp.97-109, 2003-03

「基本的な動詞「分かる」は,初級の日本語の教科書にも必ず登場するものでありながら,その説明は教科書の中で十分になされていない。しかし,その語の意味は,和語の例にもれず幅広く,そのふるまいも特殊である。このことが,使用の際に日本語学習者が混乱する原因となっている。本稿では,「分かる」を「知る」と対比させながら,英訳・辞書の意味記述・教科書の取り扱いを通して,その意味特徴を明らかにし,アスペクチュアルな意味における特徴も明らかにすることを試みた。これらの考察から,以下のことが判明した。(1)「分かる」と「知る」の混同の原因のひとつは,辞書や教科書の意味記述において,一つあるいは二つの語で,対象語を置き換えることにある。置き換えられた語と,対象語には微妙な意味のずれがあるのに,それが無視されているのである。(2)「分かる」は,「知る」より意味範囲が広く,従来考えられていた意味に加え,「感覚的に察知する」ことを表す「感覚の動詞」という要素がある。(3)「分かる」は,「分かった」時点に視点を置きながらも,そこに至る過程を視野に入れている「線の動詞」であるのに対して,「知る」は,「知った」瞬間だけが意識される「点の動詞」である。
著者
有光 潤介 萩原 圭祐 大塚 静英 中西 美保 岸田 友紀 井上 隆弥 加藤 由紀子 大谷 安司 尾崎 和成 清水 健太郎 蔭山 充 西田 愼二
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.548-555, 2011 (Released:2011-10-21)
参考文献数
25
被引用文献数
1 1

サフランは,駆瘀血剤として使用される。瘀血は西洋医学的な病態で考えると,血液の粘稠度亢進と微小循環障害と解釈できる。今回我々は,サフランの臨床的な駆瘀血効果を観察し,血小板活性化の指標である,platelet factor4(PF-4)とbeta-thromboglobulin(β-TG)を瘀血のマーカーとして検討した。リウマチ膠原病アレルギー患者71人(女性66人,男性5人,平均年齢52.3 ± 16.1歳)にサフラン(300mg∼900mg)を投与し,78.7%(n=37/47)の自覚症状の改善を認めた。投与前後での血漿中PF-4,β-TGともそれぞれ有意な改善を認めた(PF-4:49.6 ± 29.8→24.0 ± 19.6,β-TG:117.5 ± 64.0→64.6 ± 47.1,paired t-test, p
著者
藤原 謙一郎 加藤 由紀乃 御幡 寿
出版者
茨城県畜産センター
雑誌
茨城県畜産センター研究報告 (ISSN:13466488)
巻号頁・発行日
no.39, pp.31-36, 2006-09

抗菌製剤無添加飼育法を検討するため、無薬飼料を用いてコクシジウムワクチンと生菌剤を使用した区を設け、コクシジウム症の発生や発育成績に及ぼす影響について検討した。その結果、コクシジウムワクチンを使用することにより、コクシジウム症の発生を予防することが可能であることがわかり、無薬飼料による飼養が可能であることが示唆された。また生菌剤を飼料に配合することにより、発育体重及び飼料要求率が改善されたことから、抗菌性物質と同程度とはいかないものの、増体改善効果があることがわかった。これらのことより、コクシジウムワクチンと生菌剤を使用することにより、無薬飼料による飼養が可能であることが示唆された。
著者
加藤 由紀 藤村 薫
出版者
社団法人 日本流体力学会
雑誌
日本流体力学会誌「ながれ」 (ISSN:02863154)
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.238-248, 1999

下面を加熱, 上面を冷却した水平な矩形流路において, 定常せん断流を伴う熱伝導状態の安定性を考える.熱伝導状態が不安定化するときに形成される熱対流パターンを, 弱非線形安定性理論に基づいて解析した.定常流のレイノルズ数がある値をとるとき, 流れの方向に軸を持っモード (縦ロール) とその方向に周期的なモード (横モード) とが, 同じレイリー数で同時に発生する.このときの両モード間の非線形相互作用を記述する振幅方程式を導出し, 振幅方程式に含まれる係数の値を数値的に決定した.その結果, 縦ロールと横モードの両成分が重畳されたパターンは不安定であり, 熱伝導状態以外の観察可能なパターンは縦ロールまたは横モードのいずれかであることが予測できた.
著者
杉原 伸幸 松崎 益徳 加藤 由紀子
出版者
The Japan Geriatrics Society
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.29, no.5, pp.403-410, 1992
被引用文献数
1

目的: 高齢者において, 骨カルシウム代謝が非炎症性の大動脈弁石灰化 (AVC) に関与しているか否かを検討した.<br>方法: 70・80歳代高齢者 (男性49例, 女性140例, 81.0±4.4歳) を対象に, 断層心エコー図により僧帽弁輪石灰化 (MAC) (-) 群とAVC (-) (C群), MAC (-) のうちAVCが一冠尖石灰化群 (A1群), 二冠尖石灰化群 (A2群), 三冠尖石灰化群 (A3群), およびAVC (+) とMAC (+) 群 (AM群) の5群に分類した. 骨量は腰椎CT検査に骨量ファントム (中外製薬, B-MAS) を用い海綿部骨量 (BMC: mg/cm<sup>3</sup>) を計算した. 血液検査は血清カルシウム, 血清リン, 副甲状腺ホルモン, カルチトニン, オステオカルシンを測定した.<br>結果: 男性において, BMC値は群間に有意な差異をみなかった. 女性において, BMC値はA3群がA1, A2群に比べ低値であったが, A1, A2, A3群ともにC群との間に有意な差異がなかった. 一方, BMC値はAM群がC群に比べ, 有意に低値であった (C群48±35 vs AM群29±24mg/cm<sup>3</sup>; p<0.05). 血液結果は男女とも群間に有意な差異をみなかった.<br>結語: 高齢者でのAVCは, 男女ともMACと比べ骨粗鬆症との関連が弱く, 主に他の要因 (おそらく圧負荷やストレスなど) の関与が考えられ, 血液因子の明確な関与も証明されなかった.