著者
高井 敦史 保高 徹生 遠藤 和人 勝見 武 東日本大震災対応調査研究委員会 地盤環境研究委員会
出版者
公益社団法人 地盤工学会
雑誌
地盤工学ジャーナル (ISSN:18806341)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.391-402, 2013-09-30 (Released:2013-09-30)
参考文献数
19
被引用文献数
8 9

東北地方太平洋沖地震では,地震動のみならず津波による甚大な被害が発生した。具体的には津波の波力による建築物の倒壊や堤防の損壊,土砂の運搬および堆積,膨大な災害廃棄物・津波堆積物の発生等が挙げられる。公益社団法人地盤工学会東日本大震災対応調査研究委員会地盤環境研究委員会(以下,地盤工学会地盤環境研究委員会)では,津波堆積物の堆積状況を広く把握することを目的とし,2011年12月20~22日に福島県沿岸部の東西約7 km×南北約12 km の津波浸水範囲において,計158 地点を踏査し堆積状況を調査した。本研究では,この調査結果を基に津波堆積物の分布特性を明らかにするとともに,津波堆積物を地盤材料として利活用するために不可欠な科学的知見の集積を目的に,当該地から試料を採取し,のべ約1400検体を用いた室内試験により,津波堆積物の物理化学特性を評価した。
著者
嘉門 雅史 張 虎元 勝見 武 澤 直樹
出版者
The Japanese Geotechnical Society
雑誌
地盤工学会論文報告集 (ISSN:13417452)
巻号頁・発行日
vol.42, no.6, pp.79-91, 2002-12-15 (Released:2008-02-29)
参考文献数
37
被引用文献数
1 12

Microbial activities can be enhanced by organic rich leachate occurring in solid waste landfills, which possesses the potential to alter the barrier capacity of clay liners. Flexible-wall hydraulic conductivity tests are conducted to investigate the effect of the microbial activities on the hydraulic conductivity of Osaka marine clay used for clay liners of offshore solid waste landfill sites in Japan. Permeants with different redox potentials are employed to investigate the redox effect; and, permeants with high nutrients are used to check the effect of the microbial production in soil specimens. Test results indicate that there are no obvious changes in the free swell index, the liquid limit, or the hydraulic conductivity of the marine clay when a strong reducing agent is used. When nutrients are applied for the growth of microorganisms, however, a decrease in hydraulic conductivity, ranging from greater than two orders of magnitude to less than one order of magnitude, is observed. The formation of biofilm and anaerobic inorganic precipitation on the surface of the soil particles is considered to be responsible for this reduction in hydraulic conductivity. Test results reveal that microbial activities, enhanced by landfill leachate, may not cause an increase in the hydraulic conductivity of natural clay liners of offshore landfill sites.
著者
ニーフ アンドレアス SINGER Jane 水野 啓 勝見 武 乾 徹 藤井 滋穂 原田 英典 小林 広英 藤枝 絢子 深町 加津枝
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は沿岸コミュニティが大規模災害からの復興するために必要な要件を、タイ、フィジー、ベトナム、日本の事例を学際的に比較することで検証するもので、以下の成果が得られた。(1)タイ南部で2004年に津波被害を受けたPhang Nga省の住民の再定住過程について現地調査を実施し、観光業や漁業を中心とする経済復興に際して外部からの援助の不適切な配分が住民間の格差を導くことを確認した。また少数民族Moklenのコミュニティにおいては、不適切な住宅整備や観光開発により災害の影響が拡大している現状が確認された。(2)フィジー西部Ba川流域において、2009年と2012年の洪水による影響と復興過程について約120件の聞き取り調査を行い、物的・人的支援が高い効果をもたらしているとともに、下流部の村落においては災害時の情報共有や相互扶助によるソーシャル・キャピタル向上の自助努力が被害軽減や迅速な復旧に寄与していることが判明した。(3)ベトナム中部フエ省で1999年、2009年に洪水被害を受けた60世帯で聞き取り調査を実施し、住居や生計を含む多様な災害の影響と、復旧過程における社会的ネットワークや生業多様化戦略の重要性を検証した。(4)宮城県気仙沼市および南三陸町における自然公園周辺地域を対象としてケーススタディを実施し、震災時に自然公園に関する施設などがどのような役割を果たしたかをふまえ、国立公園と地域をつなぐ「資源」や「人材・組織」の観点から今後の国立公園の保全管理や利用のあり方について考察した。(5)これらの事例研究に際し、災害前後と復興過程における生活に対する満足度をスコア化して回答する新しい調査法を提案・実践し、災害の影響や回復状態の個人間・世帯間の差異が明確に把握できることを確認した。