著者
石森 洋行 遠藤 和人 山田 正人 大迫 政浩
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会論文誌 (ISSN:18835856)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.39-49, 2017 (Released:2017-04-11)
参考文献数
11
被引用文献数
2

放射性物質に汚染された廃棄物の焼却灰はその濃度によって埋立方法が異なるものの,放射性物質の拡散防止対策として土壌吸着層の設置は義務付けられており,その性能評価は重要である。本研究では,放射性セシウムに対する土壌や廃棄物,吸着材等の吸着特性を把握するために,放射能汚染飛灰から作製した4 種類の飛灰溶出液を溶媒として,22種類の試料を対象に吸着試験を行った。その結果より分配係数を評価し,その影響因子を検討した。また試料に吸着した放射性セシウムの脱着特性を調べるために,純水,1 mol/L 酢酸アンモニウム,人工海水,飛灰溶出液を溶媒とした溶出試験を行い溶出率を評価した。
著者
遠藤 和人 山田 正人
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第25回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.437, 2014 (Released:2014-12-16)

廃棄物最終処分場から放出されるガスや廃棄物中ガス濃度、土中ガス濃度等を測定する場合、現場で簡易に、かつ迅速に測定できるポータブル型のガスモニターを使用することが多い。一方で、ポータブルガスモニターは、処分場ガス等を測定する目的で開発された商品は少なく、労働環境や天然ガスの漏洩等を検出する目的で使用される。本論では、処分場ガスのような高濃度の共存ガスが存在する環境が、ポータブルガスモニターの指示値に及ぼす影響について検討した。気体熱伝導式センサーを用いてメタンを測定した場合、共存ガスとして水素ガスが1%上昇すると指示値が5.6~7%増加することが確認された。接触燃焼式センサーを用いてメタン(可燃性ガス)を測定する場合、酸素が8%以上存在する環境下でないと正確な値が表示されないことがわかった。また、電気化学セルを用いてCO濃度を測定する際には、水素ガスが存在していないことが条件となる。
著者
山田 正人 遠藤 和人 立尾 浩一 小野 雄策
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会研究発表会講演論文集 第19回廃棄物学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.48, 2008 (Released:2008-11-25)

産業廃棄物等の排出源は多種多様であり、異物の混入や有用成分含有の高低などの要因により、素材産業で直接活用できない廃棄物も少なくなく、これらの廃棄物を活用する産業の受入条件にあった原料に加工する役割を破砕選別業者が担っている。また、破砕選別業者は、分散した排出源から収集された廃棄物を集約し、より遠方の利用者への供給を行うなどの輸送効率の改善も担っている。 このように破砕選別技術は、廃棄物から循環利用される有価製品または廃棄物製品(処理費を利用側に支払って利用)を生産しており、産業廃棄物分野における循環型社会形成のコアとして機能しているが、同一の廃棄物であっても、破砕選別による生産品の質や生産物の輸送先、残さの埋立処分費等が廃棄物の発生や利用の地域や破砕選別施設が有する技術によって異なり、コスト構造が複雑である。そこで、破砕選別技術に要する処理コストの構造を明らかにし、破砕選別技術の活用を誘導する要因を解明するための基礎情報を収集した破砕選別対象品目の処理費用と再生利用率の関係を整理した内容を報告する。
著者
高井 敦史 保高 徹生 遠藤 和人 勝見 武 東日本大震災対応調査研究委員会 地盤環境研究委員会
出版者
公益社団法人 地盤工学会
雑誌
地盤工学ジャーナル (ISSN:18806341)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.391-402, 2013-09-30 (Released:2013-09-30)
参考文献数
19
被引用文献数
8 9

東北地方太平洋沖地震では,地震動のみならず津波による甚大な被害が発生した。具体的には津波の波力による建築物の倒壊や堤防の損壊,土砂の運搬および堆積,膨大な災害廃棄物・津波堆積物の発生等が挙げられる。公益社団法人地盤工学会東日本大震災対応調査研究委員会地盤環境研究委員会(以下,地盤工学会地盤環境研究委員会)では,津波堆積物の堆積状況を広く把握することを目的とし,2011年12月20~22日に福島県沿岸部の東西約7 km×南北約12 km の津波浸水範囲において,計158 地点を踏査し堆積状況を調査した。本研究では,この調査結果を基に津波堆積物の分布特性を明らかにするとともに,津波堆積物を地盤材料として利活用するために不可欠な科学的知見の集積を目的に,当該地から試料を採取し,のべ約1400検体を用いた室内試験により,津波堆積物の物理化学特性を評価した。
著者
遠藤 和人 中川 美加子 肴倉 宏史 井上 雄三 井 真宏 杉原 元一
出版者
公益社団法人 日本材料学会
雑誌
材料 (ISSN:05145163)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.31-36, 2012-01-15 (Released:2012-01-20)
参考文献数
8
被引用文献数
1

Necessity to promote a recycle of waste plaster board is mounting, since the waste plaster board has been legally prohibited to dispose into inert landfill site. However, it is concerned that the recycled waste plaster board (recycled gypsum) produces hydrogen sulfide gas, so that it is one of the interference with the recycling. There is a possibility to control the hydrogen sulfide gas production from the recycled gypsum by artificially changing into alkaline condition or adding iron oxide. In this study, we discussed the hydrogen sulfide gas production from a ground improvement with the recycled gypsum, quick lime, and/or iron oxide powder. In addition, unconfined compression strength of the ground improvement is evaluated in order to obtain an incentive of the recycling. Adding only the recycled gypsum cannot improve strength of a soft ground having much amount of fine particles. Quick lime was required for strength improvement. If pH of the ground improvement is greater than 9, it was observed that the hydrogen sulfide gas production potential is negligible. Increasing pH by adding the quick lime is able to more effectively control the production of the hydrogen sulfide gas than adding the iron oxide powder. The production of the hydrogen sulfide gas is able to be controlled by adding the quick lime more than half of the amount of gypsum addition.
著者
遠藤 和人
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会誌 (ISSN:18835864)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.39-48, 2019-02-28 (Released:2020-02-06)
参考文献数
24
被引用文献数
1

特定一般廃棄物や特定産業廃棄物 (事故由来放射性セシウムが 8,000 Bq/kg 以下) は,入念的措置が加えられて既に多くの最終処分場で埋立処分されている。また,福島県内の特定廃棄物 (8,000 Bq/kg を超える指定廃棄物と対策地域内廃棄物) は,減容化施設やセメント固型化処理施設や特定廃棄物埋立処分施設が整備され,処理・処分が進められている。本論では,これら放射性物質汚染廃棄物の埋立処分の現状,処分場内の放射性セシウム溶出挙動,埋立処分方法やセメント固型化方法の科学的根拠について紹介する。事故後に実施された政策対応研究の記録の一つとしてここに記した。
著者
肴倉 宏史 仲川 直子 前田 直也 角田 康輔 水谷 聡 遠藤 和人 宮脇 健太郎
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第25回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.399, 2014 (Released:2014-12-16)
被引用文献数
1

水素イオン濃度指数(pH)は,有害物質である重金属等の挙動に大きな影響を与えるだけでなく,その変化自体が生態系へ多大な影響を及ぼす。海水のpHは約8.1で安定しているが,都市ごみ焼却灰,廃コンクリート,製鋼スラグなど,廃棄物や副産物の中には水と接触すると高いアルカリ性を示すものが多い。これらは最終処分やリサイクルのために海面に投入される場合があり,その際に,海水のpHに影響を及ぼす可能性がある。ただし,海水は,外的なpH変化の要因に対して緩衝能力を有しており,pH変化の幅は蒸留水等よりも小さいことが知られている。そこで本研究では,海水のpH緩衝能力のうちの、水酸化物イオンの添加に対するモデルを構築し,緩衝のメカニズムについて考察を行った。