著者
王 財源 遠藤 宏 豊田 住江 河内 明 北出 利勝 兵頭 正義
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.319-322, 1992-12-01 (Released:2011-05-30)
参考文献数
5

中国の鍼灸補瀉手技のひとつに「透天涼」と呼ぶ鍼技法がある。古くから伝えられて来た刺入方法で, 涼しいような, 冷たい, あるいは寒いといった寒冷感覚が局所に引き起こされる。今回, 腰痛患者5例を対象として, 局所と遠位の皮膚温度および深部温度を測定した結果, 局所より遠位部において, 温度が下降していくような現象が認められた。また, 患者自身の自覚症状においても「冷たくなるような」,「足が冷えて急にトイレへ行きたくなった」などの感覚が引き起こされた。特に炎症症状のある急性期の腰痛患者では,「大変に気持ちが良い」とのことであった。統計学的にも有意な差が認められた。
著者
渡辺 勝久 北出 利勝 廖 登稔 佐々木 和郎 北小路 博司 石丸 圭荘 大山 良樹 木下 緑 岩 昌宏 山際 賢 大藪 秀昭
出版者
公益社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.154-159, 1993-12-01 (Released:2011-05-30)
参考文献数
10

顎関節症は開口障害, 顎関節の疼痛, 関節雑音を主症状とする疾患で, 近年, 若年者を中心に増加の傾向にある。顎関節症は髄伴症状として, 鍼灸治療の適応である頭痛, 頸肩部の凝りなどの不定愁訴を有している場合が多い。そこで, 顎関節症に対する認識をより深め, 具体的な鍼灸治療の方法について, ビデオ教材を作成した。ビデオ教材の内容は, 前半は顎関節の解剖, 顎関節症の病態と分類などを解説し, さらに, 顎関節のMRI画像を紹介した。後半は診察の手順と治療を解説した。鍼灸治療は, 局所的常用穴を述べ手技の実際を紹介した。
著者
河内 明 豊田 住江 酒井 佳 北出 利勝 兵頭 正義
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.295-299, 1988-09-01 (Released:2011-05-30)
参考文献数
5

私達は, 音楽リズムを直接パルス波に変換し, 音楽と同調する音楽リズム低周波置鍼療法について従来の低周波置鍼療法との臨床効果を「肩凝り症」に限定して比較検討した。慢性化した肩凝り症の愁訴をもつ50名の患者を対象とし, これらの同一名患者を無作為に (1) 従来の3Hz連続波低周波置鍼療法群 (C群), 音楽の聴こえない音楽リズム低周波置鍼療法 (S群), (3) 音楽リズム低周波置鍼療法 (M群) の3群に分けて, その直後効果と快適度を比較した。治療は, 主に肩背部の圧痛および硬結部を基準とし, 使用鍼30ミリ20号鍼を用い, 音楽の種類は演歌, 通電時間15分とした。治療効果を比較するとM群 (有効率76%) は, C群 (60%), S群 (58%) に比べて約20%の有効率の増加が認められた。なお, 快適度についてもM群が, やや優れている傾向が認められた。すなわち, 音楽リズム低周波置鍼療法は, 音楽を同時に聴かせることが効果上, 心理的にも必要であることが分かった。
著者
王 財源 遠藤 宏 豊田 住江 河内 明 北出 利勝 兵頭 正義
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.370-373, 1991-12-01 (Released:2011-05-30)
参考文献数
5

『焼山火』は中国古来より刺鍼手技のひとつとして用いられてきた補法の変法手技である。刺鍼時において, 熱感や腫れぼさ覚え, 虚証で冷え症の患者に古くから行われてきた。では果たして刺針時において皮膚表面温度・深部温度・血流量がどのように変化をするか, 古来より伝えられてきた方法を用いて観察を行なった。今回は特に中国の老中医師に指導を賜わり研究を進め, 臨床的試験の結果, 皮膚温度・深部温度に上昇傾向が認められた。特に遠位部における皮膚温度と深部温度は, 刺鍼後40分目には1.0℃以上の上昇が認められた。局所においても0.5℃以上の温度上昇が認められた。
著者
縄田 隆生 中村 辰三 小田原 良誠 篠原 昭二 池内 隆治 北出 利勝 南川 正純 兵頭 正義
出版者
公益社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
日本鍼灸治療学会誌 (ISSN:05461367)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.105-112, 1981-03-15 (Released:2011-05-30)
参考文献数
8

We previously reported on needle damage to needles sterilized 50 times. This time we increased the number of sterilizations to 100 times and investigated needle damage. damage.Sterilization was performed using a small high pressure steam sterilizer at a temperature of 126°C for 25 minutes each time.1. Non-gold or silver needles had a tendency to become finer but there was no remarkable weight change noted.2. Resistance to bending tests showed that Chinese needles become more difficult to break.3. Elasticity tests showed that non-gold needles become easier to restore to their original state.4. Insertion tests showed that some needles, especially Chinese needles and stainless steel No. 3 needles, become more difficult to insert smoothly.5. Hardness and sturdiness tests showed a general decrease in both factors with the exception of hard silver No. 3 needles and Chinese needles which become sturdier.
著者
渡辺 勝久 北出 利勝 廖 登稔 大藪 秀昭
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.160-164, 1993-12-01 (Released:2011-05-30)
参考文献数
9

鍼麻酔は, 諸条件による効果の不安定さから今日の歯科臨床では, あまり適応されていない。しかし, 稀にみられる局所麻酔薬に対する薬物過敏者や内臓疾患や神経疾患のために局所麻酔薬の使用が困難な場合, 薬物投与によらない鎮痛手段が必要となる。今回局所麻酔薬過敏患者の下顎埋伏智歯の抜歯の際の鎮痛を, 鍼灸により心身のリラックスを促したのちに鍼麻酔により行った。抜歯時に薬物を併用すること無く疼痛管理ができ術中・術後とも経過は良好であった。
著者
北出 利勝
出版者
日本良導絡自律神経学会
雑誌
日本鍼灸良導絡医学会誌 (ISSN:02861631)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.18-23, 1988-03-01 (Released:2011-10-18)
参考文献数
13

D-phenylalanine (DPA) is known to block the activity of carboxipeptidase, an enzyme which degrades enkephalines, endogenous morphine-like substances. Therefore, it is considered that, DPA administered as an inhibiting drug of this degrading enzyme, might prolong analgesia induced by acupuncture.1) Thirty patients suffering from chronic low back pain were treated with acupuncture 30minutes after the oral administration of 4.0 gram of DPA. The results were: excellent in 7 cases, good in 11, fair in 6 and poor in 6. Cases graded excellent and good were then compared with a placebo group. The effect was increased 26% in DPA-acupuncture group, which shows no statistically significant difference (P<0.1).2) In 56 patients tooth e xtraction was performed under acupuncture anesthesia; 18 had received 4.0 gram of DPA (P.O. ) 30 minutes earlier. The results were excellent in 8, good in 6, f air in 3, and poor in 1. The excellent and good cases were compared with the 38 placebo gr oup cases. The effect in the DPA-acupuncture anesthesia group was significantly increased by 35%(P<0.01).3) I n order to determine the optimum time for the administration of DPA, two schedules of administration were compared, [1] DPA was given on the previous day in three 0.5 gram doses (26 cases).[2] A single 4 gram dose was administered minutes before treatment 30cases).The results from the excellent, good, and “fair” cases showed a 16% increa se in effectiveness when DPA was administered the day before, not a statistically significant difference (P<0.1), but a clear increase tendency was observed, The above findings show that DPA has an enhancing effect on acupuncture analgesia and anesthesia in clinical practice.
著者
亀井 順二 北出 利勝 豊田 住江 河内 明 兵頭 正義 中野 良信 小野 克己 細谷 英吉
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.136-139, 1981-11-01 (Released:2011-05-30)
参考文献数
4

ハリの鎮痛効果を増強する物質とされるD-フェニルアラニン (D-phenylalanine) を, 抜歯術に前投薬として応用し, その効果を検討した。方法はハリ麻酔単独で行った対照群31例と, ハリ麻酔30分前にD-フェニルアラニンを, 前投薬した試験群9例の抜歯術におけるハリ麻酔効果を比較することにより行った。対照群, 試験群ともに, 抜去歯に合わせて選穴したツボに, 中国針を刺針してハリ麻酔器に接続し, 約30分の誘導時間を経て抜歯術を行った。そしてそのハリ麻酔効果を2群間で比較した。効果判定はスコア1から5に分類し, それを著効・有効・やや有効・無効に判定した。その結果, 対照群のハリ麻酔成功率32%に対し, D-フェニルアラニンを前投薬した試験群の方が, 78%とハリ麻酔効果がより優れていた。