著者
三成 由美 濱田 綾子 北原 詩子 入来 寛 御手洗 早也伽 大仁田 あずさ 宮原 葉子 徳井 教孝
雑誌
中村学園大学薬膳科学研究所研究紀要 = Proceeding of PAMD Institute of Nakamura Gakuen University (ISSN:18829384)
巻号頁・発行日
no.8, pp.43-66, 2016-02-29

【目的】 平成17年に食育基本法が施行され、現在、第2次食育推進基本計画が実施されている。その中で、国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針として、生活習慣病の発症予防と重症化予防の徹底と健康を支え守るための社会環境の整備が掲げられている。平成20年よりメタボリックシンドローム関連リスク保有者のコントロール、すなわちハイリスクアプローチに主点を置いた特定健康診査・特定保健指導の制度がスタートしている。この事業に関わる管理栄養士は効果的な食事指導を行い、評価しなければならない。本研究は、対象者の身体状況に配慮しつつ行動変容につながる効果的な保健指導をすることができるように、家庭料理に着目して、食事パターンの構造とその栄養素摂取量について検討した。【方法】 1.基礎データの収集:1999年~2000年に福岡県志免町在住の一般主婦を対象に実施した食事秤量記録調査を基礎データとした。調査は55~65歳の女性48名の四季の各14日間の食事区分、献立名(料理名)、食品名、可食量が記録されたものを使用した。2.解析方法:食事パターンは、主食・主菜・副菜・副々菜・汁物を組み合わせて49パターンに分類し、さらに類似するものを15パターンに整理した。各パターンの栄養素等摂取量はエクセル栄養君Ver.4.5(建帛社)を用いて算出して、料理のデータベース化を行った。栄養素摂取量の評価基準は、日本人の食事摂取基準2005年版を基にして50~69歳 成人期女性{身体活動レベルのレベルⅡ(普通 : 1.75)}とした。解析には、統計解析ソフトExcel 統計2008 for Windowsを使用し、クロス集計にはχ2検定を用い、2群間の平均値の差の検定にはSteeldwassの多重検定を用い、有意水準はp <0.05とした。【結果】 一般の家庭料理で出現する様式は四季共に約60%が和食であり、洋食は約30%であった。家庭料理の全体の80%に寄与する献立は春期と夏期で各14パターン、秋期15パターン、冬期12パターンであり、家庭料理は習慣化された食事パターンであることが示唆された。食事区分別に朝食で寄与率の高いパターンはE1型(主食+副菜+汁物)でPFC 比率が14.0:16.6:69.4であり、基準値に比べて、たんぱく質、脂質、カルシウムそしてビタミン類が不足していた。昼食の22.1%に寄与するL2型(主食兼主菜)はPFC 比率が14.7:26.8:58.5であり、食物繊維とカルシウム、ビタミン類が不足し、食塩摂取量が過剰であった。夕食の14.9%に寄与するB1型(主食+主菜+副菜)は、PFC 比率が18.2:30.6:51.2であり、たんぱく質、脂質、食塩摂取量は過剰であり、食物繊維は基準値を満たしており、カルシウムが不足していた。【結論】 食事調査の調理品を一定基準で分類することにより、食事パターンと栄養素等摂取量の間に関連があることが示唆され、食事区分別の食事パターンの特徴及び不足や過剰となる栄養素等が明らかとなった。特に、「主食、主菜、副菜、副々菜、汁物」が揃った一汁三菜の食事パターンが健康増進に寄与すると考えられているが、本研究結果から「望ましい食事」だとは言い切れないことが示唆された。保健指導において、食事パターンとその栄養素摂取量を図示し、栄養指導媒体を作成し導入することにより、食習慣を変えず、効果の期待出来る栄養指導が可能になると考えられる。
著者
宮原 葉子 北原 詩子 金子 美帆子 三成 由美 徳井 教孝 印南 敏
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.22, pp.86, 2010

【目的】管理栄養士が特定健診・特定保健指導で栄養指導をする際には、個々人に対応した献立や調理品を提案し、行動変容につながる継続可能な指導をしなければならない。本研究では、長期食生活調査における食物繊維と食塩に寄与する調理品について検討した。<BR>【方法】1999年~2000年の夏季、冬季の各2週間、福岡県志免町在住の一般主婦28名を対象にした。調査内容は、食事評量記録法を用い、食事区分、献立名、食品名、可食量が記録されたものである。食事記録票の調理品は、三成らが開発した6桁の調理品コードを用いて入力し解析した。食品の栄養価計算はエクセル栄養君Ver.4.5を用いた。<BR>【結果】夏季、冬季の食事記録日数は総計784日、調理品出現回数は11,646回、全調理品数は1,110品であった。食物繊維摂取に寄与する上位2品は2季節ともに1位が味噌汁で夏季8.4%、冬季8.8%、2位が飯で夏季4.2%、冬季4.0%であった。寄与率50%の夏季28品、冬季30品中共通のものは、味噌汁、飯など13品であった。夏季のみ、そうめん、冷やし中華などであり、冬季はみかん、鍋物であった。食塩摂取に寄与する上位1品は2季節ともに1位が味噌汁で夏季8.1%、冬季は8.4%であった。寄与率50%の夏季32品、冬季36品中共通のものは、味噌汁、梅干しなど15品であった。夏季のみ、冷やし中華、冷奴などであり、冬季は漬け物、鍋物であった。<BR>【考察】食物繊維の寄与率の高い調理品は味噌汁、飯などであり、食塩の寄与率の高い調理品も味噌汁であった。飯を美味しく食べることのできる献立の提案、また味噌汁を減塩し、食物繊維を増やす方法の提案が今後の課題であると考えられた。
著者
三成 由美 徳井 教孝 酒見 康廣 北原 詩子 松田 千照
出版者
中村学園大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

保育所乳幼児の健康増進及び生活習慣病を予防するための、栄養教育を実現させることを目的に、乳幼児の食生活を明らかにし、また、腸内細菌叢都の関係を検討したので報告する。保育所乳幼児における食育は、保護者と子どもの育ちを共有し、保育所の長所を中心に家庭や地域と連携した食育実践が重要であり、保育所に栄養士の必置義務の導入が望まれる。