著者
佐瀬 巧 北城 圭一 合原 一幸 平田 祥人
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.299-303, 2014-05-01 (Released:2014-07-31)
参考文献数
24

脳波力学系のダイナミカルノイズは,神経ネットワークの動的な振る舞いを理解する上で重要な情報である.本研究では,脳波力学系のダイナミカルノイズレベルの時間的変化を解析した.視覚野上の電極から得られた脳波データをダイナミカルノイズの時間的レベル変化に変換し,さらに,そのレベル変化をHurst指数により定量化した.結果として,開眼時にはHurst指数は徐々に低下し,閉眼時にはほぼ一定値を示した.つまり,開眼時における神経ネットワークの時間変化は過渡的な状態にあり,一方,閉眼時の神経ネットワークの時間変化は定常状態にあると考えられる.
著者
北野 勝則 北城 圭一 青柳 富誌生
出版者
立命館大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2015-06-29

・領域内A03班において、てんかん患者に対する治療の過程で計測された皮質脳波(ECoG)データに対し、情報理論的手法であるpermutation entropy(順列エントロピー)およびsymbolic transfer entropy(シンボリック移動エントロピー)を適用し、解析を行った。その結果、発作開始期には、電極間の相互作用より電極内部のダイナミクスの影響が大きいなど、発作期と発作間欠期における脳活動ダイナミクスの違いを特徴づけることに成功した。・様々な解析手法が非侵襲脳活動データに適用されているが、その結果が示すものについては不明な点が多い。脳活動に直接的な摂動を与えることが可能となる経頭蓋磁気刺激(TMS)による脳活動変化が検出可能かについて、permutation entropyおよびsymbolic transfer entropyを用いて解析した。その結果、上記手法はTMSの有無による脳活動の差を検出可能であること、後頭部に適用したTMSが前頭部に影響を与えることなどを明らかにした。・TMS-頭蓋脳波同時計測により、安静時には微弱な脳波の位相振幅ーカップリングが変調されるかを検証した。運動野、あるいは、視覚野に単発、あるいは、5 Hz、11 Hz、23 Hzでの5連発の反復刺激を行った。その結果、反復TMSの周波数での位相とガンマ波の振幅がカップルする位相ー振幅カップリングがTMSを印加しない場合に比べてより強くなる現象が見られた。過渡的な位相―振幅カップリングを効率よく検知する新規計測解析手法を提案した。
著者
北城 圭一 山本 義春 宮下 充正
出版者
一般社団法人 日本生体医工学会
雑誌
BME (ISSN:09137556)
巻号頁・発行日
vol.12, no.7, pp.40-48, 1998-07-10 (Released:2011-09-21)
参考文献数
36
被引用文献数
1
著者
佐瀬 巧 北城 圭一 合原 一幸
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.325-328, 2013-05-01 (Released:2013-09-06)
参考文献数
8

脳波におけるフラクタル解析がどのような特徴を捉えるのかは,いまだ明らかではない.本研究では,脳波をフラクタルの視点から詳細に解析することにより,フラクタル構造の特徴をより詳しく理解することを目的とする.脳波を各周波数帯域に分解し,どの要素がフラクタル構造の基軸となっているのかを解析した結果,ガンマ波がフラクタル構造の根幹をなす主要な情報であることが示された.更に,この結果により,ガンマ波だけでフラクタル構造を再現できる時間帯とそうではない時間帯とに選り分けることが可能になったので,他の帯域がガンマ波に混ざったりガンマ波から分離したりする脳波モデルを提案することが可能となる.