著者
北澤 京子 佐々木 順一 中山 健夫
出版者
一般社団法人 日本薬学教育学会
雑誌
薬学教育 (ISSN:24324124)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.2017-007, 2017 (Released:2017-12-01)
参考文献数
16

6年制薬学部・薬科大学におけるEvidence-Based Medicine(EBM)教育の実態を把握する目的で質問紙調査を実施した.教員268人に調査票を送付し,72校の191人から回答を得た(回答率71.3%).EBMに関する50の主要キーワードのうち,研究デザイン(ランダム化比較試験,前向きコホート研究,後ろ向きコホート研究,症例対照研究)や研究結果の指標(オッズ・オッズ比,相対リスクと絶対リスク)は,ほとんどの大学で教育されていた.一方で,臨床推論,ランダム化比較試験の患者への適用,システマティック・レビューの批判的吟味,および診療ガイドラインの作成手順と解釈に関するキーワードは,教育している大学が少なかった.EBM教育が「充実している」との自己評価は32.2%にとどまり,主な課題として,時間不足,演習・実習の機会の不足,教員の意識・スキルの不足,適切な教材の不足が挙げられた.
著者
北澤 京子
出版者
一般社団法人 日本薬剤疫学会
雑誌
薬剤疫学 (ISSN:13420445)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.71-78, 2008 (Released:2009-03-06)
参考文献数
11

目的 : 英国および日本の医学記事の特徴を比較する目的で、両国の代表的なニュースサイトに掲載されている記事を、メディア・ドクター・オーストラリアのチェックリストを用いて評価する。研究デザイン : 横断研究方法 : 2007年1月から6月までの間に、英国(BBC、Guardian、Independent、Times、Yahoo! UK)および日本(朝日、読売、Yahoo! Japan)の健康・医学ニュース専門ウェブサイトに発表された病気の予防および治療に関する記事を抽出した。メディア・ドクター・オーストラリアが開発したチェックリストを適用し、記事の質を調べた。総合得点を両国間で比較した。結果 : 英国記事296本および日本記事79本が抽出された。媒体ごとの総合得点は朝日 (45.7)からIndependent (63.4)まで幅があった(満点は100)。日英で総合得点を比較したところ、英国 60.0 (95%CI 58.2-61.8)、日本 47.8 (同、45.4-50.2) で、英国記事の方が有意に高かった(p<0.001)。結論 : 今回の研究で抽出された記事は、メディア・ドクター・オーストラリアの観点からは必ずしも満足できる情報を提供しているとは言えなかった。質の高い健康・医療情報を一般市民に届けるために、医学研究者とジャーナリストが協力できる可能性が高いと思われた。
著者
北澤 京子 佐藤 正惠 渡邊 清高 山本 美智子
出版者
一般社団法人 日本医薬品情報学会
雑誌
医薬品情報学 (ISSN:13451464)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.109-115, 2019-11-30 (Released:2019-12-25)
参考文献数
12
被引用文献数
2

Objective: The objective of this study was to examine information quality by quantitatively evaluating newspaper stories on drug therapy using the “Media Doctor” instrument.Methods: A database search was conducted to extract newspaper stories on drug therapy published between July 1, 2017 and December 31, 2017. Two evaluators independently evaluated each story using the “Media Doctor” instrument. Each of the 10 evaluation criteria were rated as “satisfactory” or “not satisfactory.” When the content of the story was not suitable for the evaluation criteria, it was regarded as “not applicable”.Results: Fifty-nine news stories (Asahi: 13, Mainichi: 8, Nikkei: 8, Sankei: 14, Yomiuri: 16) were included. The median number of evaluation criteria that the two evaluators judged as “satisfactory” was 5. The proportions of stories that the two evaluators judged as satisfactory were “1. availability,” 73%; “2. novelty,” 66%; “3. alternatives,” 39%; “4. disease mongering,” 58%; “5. evidence,” 32%; “6. quantification of benefits,” 31%; “7. harm,” 41%; “8. cost,” 22%; “9. sources of information/conflict of interest,” 12%; and “10. headline,” 66%. Conversely, the proportions of stories judged as “not satisfactory” were “1. availability,” 0%; “2. novelty,” 5%; “3. alternatives,” 12%; “4. disease mongering,” 8%; “5. evidence,” 24%; “6. quantification of benefits,” 29%; “7. harm,” 41%; “8. cost,”44%; “9. sources of information/conflict of interest,” 32%; and “10. headline,” 12%.Conclusion: These results suggest that the quality of newspaper stories are insufficient as drug information in terms of the validity of its scientific evidence.
著者
狹間 研至 北澤 京子
出版者
日経BP社
雑誌
日経ドラッグインフォメーションpremium
巻号頁・発行日
no.179, pp.26-28, 2012-09

きっかけはすごく不純です(笑)。知り合いの医師から、僕が経営する薬局(ハザマ薬局)について、「薬剤師さんに血圧を測らせたら、他の薬局との差別化になっていいんじゃないの」と言われたんです。何気なく「そうですね」と答えたとき、コンセプトがポーンと降りてきて、直感的に「やろう」と決めました。確か2009年の初頭だったと思います。
著者
佐藤 正惠 北澤 京子 渡邊 清高
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第18回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.61-66, 2021 (Released:2021-06-21)

COVID-19流行により、信頼性に乏しい医療・健康情報インフォデミックへの関心が高まっている。メディアドクターは医療に関するメディア報道のあり方を検討する活動である。豪で始まり、日本では2007年にメディアドクター研究会が発足した。定例会での多職種によるディスカッションを通じて、メディア&ヘルスリテラシー向上につながっている。COVID-19の影響で2020年はオンラインのみで開催した。その成果と課題を報告する。
著者
北澤 京子
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.139, no.4, pp.575-578, 2019-04-01 (Released:2019-04-01)
参考文献数
18
被引用文献数
1

“Choosing Wisely” is a campaign activity promoting awareness of the dangers of providing medical tests, drugs, and procedures that are not supported by firm scientific evidence and that may harm patients. The American Society of Health-System Pharmacists has released a recommendation on polypharmacy. Stakeholders such as patients, health professionals, hospital executives, industry, and mass media may all contribute to treatment decision making. The patient-centric “five questions you need to ask your doctor” are a useful trigger for better dialogue between patients and health professionals and could contribute to appropriate drug prescription in which benefit always exceeds the potential for harm.
著者
佐々木 順一 北澤 京子 中山 健夫
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.138, no.5, pp.631-635, 2018-05-01 (Released:2018-05-01)
参考文献数
18
被引用文献数
1 3

This research aimed to clarify the present status and challenges of evidence-based medicine (EBM) education in schools of pharmacy. We sent a questionnaire to 268 faculty members in August 2015, and a total of 192 were completed. The educational contents by respondents differed considerably. Only about 30% of respondents self-assessed the current EBM courses they taught as “fulfilling”. Challenges such as “time deficits”, “lack of exercise lessons and practical training”, “limited awareness and skills of teachers”, “lack of appropriate educational tools”, and “insufficient academic ability of students” were mentioned.
著者
北澤 京子 石井 保志
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.56, no.9, pp.406-411, 2006-09-01

『健康情報棚プロジェクト』はそのユニークな活動を通じて,これまで「ありそうでなかった」健康・医療情報提供の一分野を切り開きつつある。公共図書館や患者図書室等に「闘病記文庫」というモデルケースを設置し,健康・医療情報コーナーに発展させようとする構想は,図書館員・医療者・患者当時者・古書店主など多くの職種のノウハウが集結されている。患者・家族へのわかりやすい情報提供をミッションに,情報ニーズの把握からデータベース開発を実現するため,メンバーでアイディアと労力を出し合い,外部諸団体との共同研究を積極的に推進してきた。健康情報棚プロジェクトのこれまでの歩みと,協力者との交流についてまとめる。