著者
叶 恵娟 勝又 聖夫 南 正康
出版者
日本医科大学医学会
雑誌
Journal of Nippon Medical School (ISSN:13454676)
巻号頁・発行日
vol.67, no.5, pp.375-379, 2000 (Released:2001-11-15)
参考文献数
19
被引用文献数
2 2

Mercury spilled from a mercurial sphygmomanometer on a hot carpet can vaporize and pollute the environment. We observed the vaporization of mercury in model experiments. Mercury (0.15g) was heated on a hot carpet and the near-by air was sampled with a midget impinger. The evaporated mercury levels were 5.0, 6.3, 8.1 and 10.0mg/m3 at 20, 40, 60 and 80 minutes, respectively at a height of 30cm from carpet. The result indicated that even if a small quantity of mercury remained on the hot carpet, it could evaporate and pollute the indoor air. Little is known about the influence on human health of low mercury exposure, especially on children. In order not to pollute the air, we need to pay attention to mercury.
著者
南 正康 恵 答美 李 卿 稲垣 弘文
出版者
日本医科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

1.バイオロジカル・モニタリングの研究4名の患者の尿検体が被曝から約3週間に渡って採取したものが保存してあるのでそれについてサリン及びその合成時の副生成物の代謝物を測定して被曝の実態を解明した。多数の副生成物に被曝されていると思われる。さらにサリン代謝産物の一つメチルホスホン酸は、これが全てサリンに由来するとなると致死量を大幅に越えていたのであるが、我々が取り扱った患者4名の中1名は被曝後1年で死亡したが残り3名は2002年3月に至るも1名も死亡していない。その上このメチルホスホン酸値は症状が重症な程、尿中総排泄量が少なかった(Hui and Minami, Clin.Chim.Acta 2000,302:171-188.)。2.サリン被曝に依る中枢および自律神経系への影響1998年に当時、被曝者の救命救急に携わった消防士及び警察官にたいしてケース・コントロール研究を被曝者56名、対照者52名について行った。其の結果、数値の逆読みテストが被曝者群で点数が低かった。しかし、この結果は所謂PTSDの症状を持っこととは無関係であった。またBenton visual retention testも被曝者群で点数が低くかった。これらは記憶の機能の慢性的な低下を示唆するものである。(Environ.Hlth Perspect.2001;1169-1173.)3.現在進行中の研究i)サリン及び其の合成時の副生成物への被曝者の尿中8-ハイドロキシデオキシグアノシン(8-OHDG)の測定は1つの発癌のリスク評価となるが現在迅速に多数の検体を測定する方法を検討中である。ii)有機リンを代謝する酵素の一つパラオキソナーゼの従来から知られている酵素以外に至適pH6.5を持つ新しい酵素を発見した。これについても詳細を検討中である。
著者
佐々木 司 南 正康 尾之上 さくら 山野 優子 北島 洋樹 松元 俊 吉川 徹
出版者
公益財団法人大原記念労働科学研究所
雑誌
労働科学 (ISSN:0022443X)
巻号頁・発行日
vol.88, no.4, pp.143-147, 2012 (Released:2014-03-25)
参考文献数
10

第二世代の抗ヒスタミン薬は,自動車運転実験においても眠気がないと報告されている。しかし眠気は,昼間の概半日リズムの影響を強く受けもする。そこで本論文では,第二世代抗ヒスタミン薬のこの時刻帯の自動車シミュレータ運転時の眠気への影響を検討した。被験者は男性スギ花粉症患者16名であった。そのうち8名が午前群(10~12時)に,残りの8名が午後群(13~15時)に割り振られた。午前群は午前9時に,午後群は午後0時に服薬し,服薬60分後に1施行15分の運転を4試行×2セッション行った。その際,覚醒時脳波が測定され,シータパワー密度が分析された。薬剤は,服薬60分,120分,180分,240分後の採血によった。その結果,薬剤の血中濃度は,服薬60分目のみ高かった(p=0.04)。シータパワー密度は,両方のセッションで午後群に高かった(ss1; p=0.005, ss2; p=0.024)。したがって第二世代の抗ヒスタミン薬であっても早い午後に服用する際には,自動車運転は避けるべきと結論付けた。(図3)