著者
木本 真司 河原 史明 安齊 泰裕 塩川 秀樹 鈴木 涼子 小室 幹男 市橋 淳 西郷 竹次 下山田 博久
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.563-571, 2017-08-31 (Released:2017-08-31)
参考文献数
10

目的:とくに救急医療において,地域で形式を統一したお薬手帳による薬物医療情報の共有化が必要であると考える。方法:お薬手帳に関するアンケート調査,病院薬剤師と保険薬局薬剤師が協同した協議会の発足,会津地方で統一した『會津お薬手帳』の構成検討を行った。結果:保険薬局対象のお薬手帳に関するアンケート調査では,お薬手帳のデメリットとして,「持参しない」が90.2%,「医療機関ごとに複数所持している」が85.7%であった。作成した『會津お薬手帳』は,情報共有の同意や病名等を記載する「サマリーページ」,残薬確認,医療スタッフからのメッセージ等を記載する「アセスメントページ」,過去の処方内容や変更が一目でわかる「薬歴ページ」で構成された。考察:救急医療において病名や薬剤服用歴,処方意図を把握することは重要であると考えられ,地域統一型の『會津お薬手帳』を用いての薬物医療情報の共有化が可能となることが示唆された。
著者
桑原 史明 平手 裕市 森 俊輔 高野橋 暁 八神 啓 臼井 真人 宮田 義彌 吉川 雅治
出版者
特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
雑誌
日本心臓血管外科学会雑誌 (ISSN:02851474)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.280-283, 2009-07-15 (Released:2010-04-07)
参考文献数
14
被引用文献数
2

症例は44歳,女性.不明熱の原因検索のため紹介された.血液培養でメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)を検出し,心臓超音波検査で大動脈弁に疣贅を認め,Duke criteriaに基づき感染性心内膜炎(IE)と診断した.バンコマイシン(VCM)とイセパマイシン(ISP)により治療を開始したが,その後も高熱が続き,皮疹も出現したため,抗生剤をテイコプラニン(TEIC)に変更したが効果が見られず,最終的には,第22病日よりリネゾリド(LZD)に変更した.LZDに変更して1週間後には解熱し,心内膜炎に伴う塞栓症による血管炎も軽快した.大動脈弁膜症による心不全を薬物療法によって管理しながらLZDを28日投与し,その時点で,その副作用と思われる貧血を認めたためLZDの投与を中止してレボフロキサシン(LVFX)の内服に変更した.感染の再燃がなく,機械弁による大動脈弁置換術を施行した.LZDは手術直前に投与し,術後も15日間継続した.その後,LVFXの経口投与に切り替えて術後35日目に退院した.退院後も1年間感染の再発がなく経過している.リネゾリドはMRSA心内膜炎の治療法の一つとして有効であると考えられるが,その投与法や投与期間に関しては,さらなる検討が必要である.
著者
吉川 雅治 川口 鎮 高野橋 暁 八神 啓 桑原 史明 平手 裕市 宮田 義弥
出版者
特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
雑誌
日本心臓血管外科学会雑誌 (ISSN:02851474)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.67-70, 2009-01-15 (Released:2010-02-08)
参考文献数
13

抗リン脂質抗体症候群を伴う全身性エリテマトーデスに血小板減少性紫斑病を合併した僧帽弁狭窄兼閉鎖不全症に対して機械弁を用いた人工弁置換術を施行した症例を経験した.症例は42歳女性.20歳時にループス腎炎の診断でステロイド治療を開始し,後に右網膜静脈分枝閉塞症を発症した際に,抗リン脂質抗体症候群と診断された.抗核抗体陽性,ループス型抗凝固因子陽性,抗カルジオリピン-β2グリコプロテインI抗体高値を示した.僧帽弁切除標本病理検査により典型的なLibman-Sacks型心内膜炎による弁変性と診断された.本症例では,抗リン脂質抗体症候群による血栓塞栓症素因と血小板減少性紫斑病による出血素因という相反する血液凝固異常が混在し,術前の病態把握,術中の出血コントロール,術後の抗凝固管理に注意を要したが,合併症なく独歩退院した.しかし術後145日後に血栓塞栓症で失った.本疾患群では弁膜病変を外科的に治療しえても,心房壁など弁尖以外の非定型的心内膜炎は再燃寛解を繰り返すことが予想され,凝固異常も永続的であるため,間断なき厳重なる抗凝固管理,主体疾患であるSLEの適切な治療が肝要であると考えられた.
著者
藤松 利浩 大澤 肇 高井 文恵 有賀 雅和 荻原 史明 馬渡 栄一郎 櫻井 俊平
出版者
日本循環制御医学会
雑誌
循環制御 (ISSN:03891844)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.63-66, 2008 (Released:2008-07-02)
参考文献数
10

We have reported a very rare case of biatrial ball thrombosis.A 71-year-old man was admitted with cardiac failure and tachycardia of atrial fibrillation. He had a long history of atrial fibrillation without anticoagulation therapy. Cardiac failure and tachycardia were improved with medical therapy. Echocardiography showed biatrial giant tumors. Removal of the tumors was carried out with the aid of cardiopulmonary bypass. Pathological examination revealed that the right and left atrial tumors were both organized thromboses.His postoperative course was uneventful, and he was discharged on the 17th postoperative day. Only atrial fibrillation is considered to have had an important role in the etiology of biatrial thrombosis. Therefore we suggest that he should be kept on anticoagulation to avoid recurrence of intra-cardiac thrombosis.
著者
原 史明 沼田 雅美 植原 啓介 砂原 秀樹 寺岡 文男
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.47, no.12, pp.3112-3123, 2006-12-15
被引用文献数
7

ユーザの位置情報に基づき,インターネットを利用した様々な位置情報サービスが実用化されている.しかし,より利便性の高い位置情報サービスを提供するためには,多様な位置測位デバイスに対応することに加えて,多様な位置の表現形式(空間参照系)に対応する必要がある.そこで本論文はインターネット上で汎用的に位置情報を取り扱う機構であるUniversal Location Platform(ULP)を設計・実装する.ULP は位置情報取得・管理機能,空間参照系変換機能,位置情報提供機能を持ち,それぞれの機能ごとに分散化することで規模拡張性を確保する.汎用的に位置情報を記述するため,XML を利用して位置情報を取り扱う.また,多様な位置測位デバイスに対応し空間参照系変換機能によって指定した空間参照系により応答する.さらに,位置測位デバイスを抽象化した位置情報提供インタフェースを実現し,プライバシルールを利用したプライバシ保護機構を持つ.評価として位置情報検索処理時間の測定,位置情報基盤の必要要件に基づく考察を行い,ULP の実用性を検証した.In this paper, we present the design and implementation of Universal Location Platform (ULP). ULP is a location information platform, that has the location collection, location management, and location transform function. ULP separates each functions, and decentralizes on the Internet. ULP realizes the provision of locations that has variety location representations by location transform function, and privacy protection function by access control with privacy rules and the modification of location resolution. In evaluation, we did performance evaluation and verificated the practicality of ULP.