著者
原 純輔
出版者
日本行動計量学会
雑誌
行動計量学 (ISSN:03855481)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.11-19, 1997
被引用文献数
1

A history of postwar Japan in the aspect of social stratification or social inequality is presented by the data from the National Survey of Social Stratificaion and Social Mobility, called as &ldquo;the SSM survey&rdquo; in Japan, conducted in 1955, 1965, 1975, 1985, and 1995. Just after the defeat of World War II in 1945, nearly about 50% of Japanese workers were engaged in farming and kindred occupations such as fishing and forestry. However, in the following 50 years, Japanese society has accomplished industrialization and already arrived at post-industrial stage. Also, the &ldquo;affluent&rdquo; society was realized through the high economic growth in 1960s and 1970s. Changes in inequality in possession of social resources and opportunities and in class consciousness from 1955 to 1995 are examined. Contrary to the self-image by the people, Japanese society did not become equal at least in economic or social spheres. There appears tendency toward expansion of inequality and immobility of social stratification since latter half of 1970s.<br>However, class consciousness did not show corresponding change. Regarding those inequality and class consicousness, two turning points of Japanese society may be pointed out. One is the time of &ldquo;the oil crisis&rdquo; in 1973-74, and the other is the latter half of 1980s and 1990s, the period of low or stable economic growth. Changes at those turning points and their meanings are presented.
著者
原 純輔 安田 三郎
出版者
応用統計学会
雑誌
応用統計学 (ISSN:02850370)
巻号頁・発行日
vol.2, no.3, pp.119-136, 1973-10-20 (Released:2009-12-02)
参考文献数
58

社会学の学問的性格と,社会学的データの諸特徴のゆえに,一方において社会学における統計的方法の応用には自ら限界があるとともに,他方において社会学独自の諸方法も開発されるようになった.社会学データの源泉が主として社会調査に限定されるため,非実験データからの因果推論法としてパス・アナリシスが発達した.計量困難という特徴からは,一方で社会測定の諸方法が案出されるとともに,他方で属性の多変量解析法が考案された.データが個人と社会の2水準にまたがる点,からは,エコロジカル相関や構造効果の問題が出てくる.それらの諸展開のうち,本稿の後半ではパス・アナリシスをやや詳しく紹介する.それは重回帰分析の一種とみなしうる統計解析の一手法であるが,標準化された変数による連立方程式の逐次的システムを考えることにより,諸要因間の因果関係の強さを解明することができる.序数型データやパネル調査データへの適用も紹介する.3,4節は原が,残りを安田が執筆し,全体の調整は共同して行なった.
著者
原 純輔 秋永 雄一 片瀬 一男 木村 邦博 神林 博史
出版者
東北大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2006

これまでの研究の過程で、社会調査データアーカイブに関する整備体制と利用実態の国際比較を通して、わが国の現状を検討するという課題が、浮上してきた。そこで、世界最初の国勢調査実施国であり、データの整備と公開が進んでいるアイスランド国立大学およびアイスランド国立博物館における聴取調査を実施した(秋永雄一・原純輔)。また、昨年度に引き続き、社会調査データアーカイブについてのケルン大学社会調査データ・アーカイヴ、マンハイム社会科学方法論研究所での再調査(木村邦博・秋永雄一)を実施するとともに、ケルン大学におけるセミナーに参加した。この結果についても研究会で検討を行った。その結果、「公共財」としての社会調査データという理念が、両国に共通に存在しており、わが国との大きな違いとなっていることが明らかになった。また、過去2年間の実績をふまえて、SSM調査(報告者・片瀬一男。以下同様)、国民性調査(海野道郎)、生活時間調査(三矢恵子)、青少年の性行動全国調査(原純輔)、宮城県高校生調査(神林博史)に対象を絞り、調査の概要・成果に加えて、とくにデータの保存およびデータの公開・利用可能性に焦点をあてながら研究会における再検討を行った。その結果、企画者側の調査データの公開に関する姿勢は多様であるが、とりわけ社会的評価の高い調査では、データのとりかたに独特の工夫がされていることが多く、他の研究者がそれを利用することには相当の困難が伴うことを、具体的に明らかにした。以上の成果は、現在報告論文集としてとりまとめ中である。