著者
原田 和記
出版者
獣医疫学会
雑誌
獣医疫学雑誌 (ISSN:13432583)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.85-90, 2015-12-20 (Released:2016-07-01)
参考文献数
11

In this time, I reviewed epidemiology of antimicrobial-resistant bacteria isolated from companion animals. In Enterobacteriaceae, Escherichia coli, Klebsiella pneumoniae, and Enterobacter spp. relatively frequently exhibited resistance to extended-spectrum cephalosporins and fluoroquinolones. Most of the ESC-resistant isolates harbored extended-spectrum β-lactamases (ESBLs). Some of the ESBL-producing isolates were genetically related and detected in specific veterinary hospitals. On the other hand, more than half of Proteus mirabilis isolates were susceptible to the tested antimicrobials. Most of Pseudomonas aeruginosa isolates were highly susceptible against most of antipseudomonal drugs, except for fluoroquinolones. In Staphylococcus pseudintermedius, methicillin-resistant isolates, exhibiting resistance against multiple drugs, become prevalent, especially in secondary medical hospital. In Enterococci, isolates from animals with antimicrobial exposure were more resistant to several antimicrobials, compared with those without antimicrobial exposure. Overall, in companion animals, ESBL-producing Enterobacteriaceae and methicillin-resistant S. pseudintermedius have been prevalent and, thus continuous monitoring would be needed to understand the trend of these antimicrobial-resistant bacteria.
著者
山﨑 真大 加納 塁 原田 和記 村山 信雄 佐々木 崇 折戸 謙介 近藤 広孝 村井 妙 山岸 建太郎 西藤 公司 永田 雅彦
出版者
日本獣医皮膚科学会
雑誌
獣医臨床皮膚科 (ISSN:13476416)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.127-134, 2017 (Released:2017-09-28)
参考文献数
20
被引用文献数
2

犬の表在性膿皮症は,皮膚表面に常在するブドウ球菌(Staphylococcus pseudintermedius,S. schleiferiなど)が表皮や毛包に存在,あるいは侵入して発症する。近年では薬剤耐性菌が病変部から分離される症例が増加しており,治療に苦慮することも多い。そこで,日本獣医皮膚科学会では犬の表在性膿皮症の治療ガイドラインの作成を試みた。近年,海外では複数のシステマティックレビューや,ガイドラインが報告されていることから,これらを参考にしつつ日本独自のガイドラインの作成を目指したが,エビデンスとなる論文が十分でなく,現時点では困難であることが明らかになった。この中で,現時点で有効であると考えられるいくつかの知見が得られたので治療指針として提示したい。また,現時点での問題点についても述べる。
著者
大西 守 澤田 拓士 原田 和記 江嵜 英剛 志村 圭子 丸茂 健治 高橋 敏雄
出版者
獣医疫学会
雑誌
獣医疫学雑誌 (ISSN:13432583)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.142-147, 2012
被引用文献数
2

本研究の目的は日本の乳牛における乳房炎に関与するCTX-M型 <I>β</I>-ラクタマーゼ(CTX-M)産生<I>Enterobacteriaceae</I>の存在を明らかにすることと,その乳房炎罹患牛の臨床経過を調査することである。2006年の8月から2007年1月に北海道根室支庁の1,000酪農場で発生した20,194頭の乳房炎牛の30,237検体の分房乳から分離した51株のセファゾリン耐性のオキシダーゼ陰性・グラム陰性桿菌株をClinical Laboratory Standards Institute(CLSI)標準のコンビネーションディスク法による基質拡張型 <I>β</I>-ラクタマーゼ (ESBLs) 確認テストを用いてスクリーニングした。ESBLs確認テスト陽性株はPCRとDNAシークエンスによりCTX-M-,TEM-,SHV-型 <I>β</I>-ラクタマーゼの遺伝子型別を行った。また21の抗菌薬の最小発育阻止濃度(MIC)を測定した。2農場における2頭の乳房炎罹患牛の3つの分房から3株のCTX-M-2産生<I>Klebsiella pneumoniae</I>を分離同定した。1頭の乳牛は全身症状のない軽症の急性臨床型乳房炎(ブツを含む軽症の水様乳汁,分房の軽度の腫脹と熱感・硬結)を表し,診断後4週間で軽快した。他の1頭の乳牛は全身症状を伴う重症の急性臨床型乳房炎を表し,診断後10週間で軽快した。これらの分離株はアンピシリ,セファゾリン,セフロキシム,セフォタキシム,セフトリアキソン,セフポドキシム,セフチオフル,セフキノム,カナマイシン,オキシテトラサイクリンには耐性を表した。一方,セフタジジム,セフメタゾール,モクサラクタム,イミペネム,アズトレオナム,ゲンタマイシン,トリメトプリム/スルファメトキサゾール,エンロフロキサシンには感性であった。本研究は日本における牛乳房炎に関与するCTX-M産生<I>K. pneumoniae</I>分離株についての初報告である。