著者
伊藤 康宏 加藤 みわ子 古井 景 伊藤 祥輔 若松 一雅
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.52-59, 2019 (Released:2019-01-01)
参考文献数
18

多くの人々は, 若くて健康な人の肌の色は, そうではない人と比べて黒っぽいと考えることが普通である. しかしながら, 病気で入院している患者や血液透析を受けている人は肌の色が黒っぽく感じられる. 人は重度の病気になると不安を感じ, 抑うつが高くなるものである. われわれは, 健常な学生ボランティアの皮膚のメラニン度数と抑うつを測定し, 両者の関係を検討した. その結果, 皮膚のメラニン度数と抑うつには相関が認められた. メラニンには黒・褐色のユーメラニンとピンク・黄色のフェオメラニンがある. このうち, フェオメラニンの生成にはグルタチオンなど多量の抗酸化物質が必要である. 抑うつによる生活リズムの乱れは生体の酸化ストレスを誘導し, それに対応するために抗酸化物質が使われる. その結果, フェオメラニンの生成量が減少してユーメラニンの比率が増加し, 皮膚への色素沈着が起こるものと考えている.
著者
古井 景
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.137-143, 2019 (Released:2019-03-01)
参考文献数
4

公認心理師法第42条第2項において, 公認心理師は主治の医師の指示を受けなければならないとされている. その一方で, 公認心理師の業務は診療補助行為ではないとされている. 医療領域における公認心理師の位置づけについては, さまざまな課題が残されており, 今後解決していかなければならない. 近年, bio-psycho-social modelが重視されてきており, 公認心理師がbioとsocialのつなぎ役を担うことになろう. 本論では, 医療に関わる公認心理師 (医療心理士) の位置づけについて整理し, 今後の役割について, 私見を述べた.
著者
清水 光栄 古井 景
出版者
公益社団法人日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
vol.46, no.5, pp.173-180, 2004-09-20
被引用文献数
1 1

職域における抑うつと完全主義との関係について調査を行った. 対象は大手建設関連会社に勤務する380名で, ベック抑うつ尺度, 桜井, 大谷による新完全主義尺度などの質問紙調査を行った. 新完全主義尺度のうち「ミスを過度に気にする傾向(CM)」は年代を問わず抑うつと正の相関関係にあった. しかし「自分に高い目標を課する傾向(PS)」については若年群では抑うつと負の相関関係にあったが中高年群においては抑うつとの間に有意な相関関係が見られなかった. 抑うつに至る背景にはこのように年代間で差異があると考えられた. バブル経済崩壊以後, わが国の経済はいわゆる冬の時代, 平成不況が続いた. 雇用情勢が悪化する中で, 企業における「心の病」は増加傾向を示し, 心の病による長期休業の多くが「抑うつ」であると報告されている1). 抑うつに陥る要因は何であろうか.
著者
清水 光栄 古井 景
出版者
公益社団法人 日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
vol.46, no.5, pp.173-180, 2004 (Released:2006-09-21)
参考文献数
20
被引用文献数
2 1

職域における抑うつと完全主義との関係について調査を行った.対象は大手建設関連会社に勤務する380名で,ベック抑うつ尺度,桜井・大谷による新完全主義尺度などの質問紙調査を行った.新完全主義尺度のうち「ミスを過度に気にする傾向(CM)」は年代を問わず抑うつと正の相関関係にあった.しかし「自分に高い目標を課する傾向(PS)」については若年群では抑うつと負の相関関係にあったが中高年群においては抑うつとの間に有意な相関関係が見られなかった.抑うつに至る背景にはこのように年代間で差異があると考えられた.