著者
伊藤 康宏 加藤 みわ子 古井 景 伊藤 祥輔 若松 一雅
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.52-59, 2019 (Released:2019-01-01)
参考文献数
18

多くの人々は, 若くて健康な人の肌の色は, そうではない人と比べて黒っぽいと考えることが普通である. しかしながら, 病気で入院している患者や血液透析を受けている人は肌の色が黒っぽく感じられる. 人は重度の病気になると不安を感じ, 抑うつが高くなるものである. われわれは, 健常な学生ボランティアの皮膚のメラニン度数と抑うつを測定し, 両者の関係を検討した. その結果, 皮膚のメラニン度数と抑うつには相関が認められた. メラニンには黒・褐色のユーメラニンとピンク・黄色のフェオメラニンがある. このうち, フェオメラニンの生成にはグルタチオンなど多量の抗酸化物質が必要である. 抑うつによる生活リズムの乱れは生体の酸化ストレスを誘導し, それに対応するために抗酸化物質が使われる. その結果, フェオメラニンの生成量が減少してユーメラニンの比率が増加し, 皮膚への色素沈着が起こるものと考えている.
著者
加藤 みわ子 伊藤 康宏 永 忍夫 清水 遵
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.44-48, 2006 (Released:2006-07-28)
参考文献数
21
被引用文献数
3 2

本研究では, 不安の特性が味覚に影響を与えるかを, 官能試験を行って検討したところ,   (1) 高不安の人は甘味の感受性が高かった。  (2) 高不安の人はストレス感が高く, 覚醒度も高かった。の結果を得た。味覚に影響を与える大きな要因のひとつが不安の特性であり, 不安状態やストレスを緩和することが, 若者の偏った食行動の改善に繋がることが示唆された。
著者
伊藤 康宏 深尾 英臣 海江田 章 石田 沙織 藤原 麻未 山本 賢 豊崎 正人 山城 知明 石川 隆志 川井 薫 渡邊 孝 日比谷 信
出版者
一般社団法人 日本体外循環技術医学会
雑誌
体外循環技術 (ISSN:09122664)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.11-14, 2014 (Released:2014-04-01)
参考文献数
12

補助循環中の症例から、連続する2週間に尿中に排泄された必須アミノ酸のトリプトファンの代謝産物のうち、キヌレニン経路からの代謝産物を測定した。比較対照として肝機能指標である総アルブミン、AST、肝臓で産生される腎機能指標BUNおよび炎症性ストレス反応物質であるCRP、プロカルシトニン、尿中コルチゾールを測定した。トリプトファン代謝は肝臓で行われるため、肝機能指標との関係が示された。また、トリプトファン代謝産物の経日的な動態から補助循環回路などに使われる可塑剤の影響が示唆された。更に、肝臓の重要な機能である栄養代謝のうち、エネルギー賦活源であるNADや解糖系への代謝障害が示唆され、栄養学的な観点からも重要な課題と考えられる。また、トリプトファン代謝産物と炎症性ストレス反応物質との間に高い相関係数が得られ、抗ストレス性、炎症反応との関連なども示された。
著者
武本 京子 伊藤 康宏 石原 慎 川井 薫 飯田 忠行
出版者
愛知教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

これまでの研究結果をもとに、新たにソルフェジオ音階を用いた楽曲を作曲し、これを実験に供した。ソルフェジオ音階とは174Hz、285Hz、396Hz、417Hz、528Hz、639Hz、741Hz、852Hz、963Hzの9種の音を指す。これらの音を用いた楽曲は、聴き心地が良く心身に何らかの良好な影響をもたらす可能性がある。近年、何の根拠もなくソルフェジオ音(単音)が身体に良いというマスメディアによる誇張が広がり、商品化さえされている。しかし、消費者に受け入れられること自体が何らかの効果を生じている証拠ではないかとも考えられる。したがって、本研究課題を進めるのにあたり、本年度はソルフェジオ音階による楽曲を用いた。実験方法は「イメージ奏法」を用いたイメージファンタジー(イメージ画像+演奏)を実験参加者に供与し、これまでと同じ実験方法により質問紙による状態不安得点と、唾液中生理活性物質の濃度変化を指標にソルフェジオ音階の効果の解析を行った。今回は新たに実験参加者の一部に目隠しをし、聴覚のみの入力と視聴覚入力との差異も含めて検討した。その結果、気分(mood)に関しては、目隠しした方が負の感情・気分が低下しなかった。一方、陽性の気分「活気」、「友好」については視聴覚対聴覚に差はなかった。すなわち、負の感情である「怒り」、「不安」などの亢進は音楽による誘導ではなく、色彩・言語による知覚感情効果であったと考えられた。逆に、陽性の気分は音楽だけで誘導されたことが示された。これは、音楽が喜びや幸福感をもたらすことを意味しており、個人の持つ記憶やそれらに裏打ちされた共感性に基づくものと考えられる。
著者
伊藤 康宏
出版者
一般社団法人 電気設備学会
雑誌
電気設備学会誌 (ISSN:09100350)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.188-192, 2007-03-10 (Released:2015-04-17)
参考文献数
4
著者
加藤 みわ子 伊藤 康宏 永 忍夫 清水 遵
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.140-144, 2007 (Released:2007-11-07)
参考文献数
18
被引用文献数
2 1

本研究では, 蓄積的疲労感が味覚に影響を与えるかを味覚試験を行って実験的に検討したところ,  &nbsp1) 蓄積的疲労感の高い人は塩味の閾値が低かった &nbsp2) 塩味閾値が低い人は抑うつ気分が高かった 3) 塩味閾値の低い人ほど呈味直後の快適感が減少していたの結果を得た。そして, 疲労感の蓄積が味覚に影響を与える大きな要因のひとつであること, 肉体疲労のみならず精神的な疲労感やストレスを緩和することが健康で良好な食生活の実現, 惹いては生活習慣病予防に大切であることが示唆された。
著者
加藤 みわ子 伊藤 康宏
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.185-192, 2016 (Released:2017-02-03)
参考文献数
34

Previous research has suggested a possible relationship between stress and the taste threshold. For example, it has been reported that chronic mental fatigue accompanied by dejection, or discomfort, greatly affected the threshold for salt taste. However, there are only a few studies on the effects of acute stress on taste. Therefore, the present study examined the influence of acute mental stress on the threshold for tasting saltiness. Participants in the study were healthy female university students (N = 57, Mean age: 21.8 ± 0.8 years). They were randomly separated into a stress group and a control group. Then, stress was induced in the stress group by an irregular training experience. Following stress induction, participants sat for 20 minutes and rested. Following this the taste for saltiness was compared in the two groups. All the participants were also assessed for feelings of anxiety and feelings of Pleasantness. Results indicated that the stress group had a significantly higher saltiness score than the control group. In addition, the stress group had less pleasant feeling after stress stimulation, indicating that acute mental stress was successfully induced in the stress group. These results suggest that the threshold for saltiness is reduced under conditions of acute mental stress.